家計調査・日次・品目別支出の動向(2021年11月)

~11月下旬のサービス消費が好調も、月末にかけて回復は足踏み~

星野 卓也

要旨
  • 家計調査で11月までの日次支出データを確認すると、財消費の回復や11月下旬期のサービス消費回復がみられ、感染の落ち着きが追い風になっていることを示唆。ただし、サービス消費の回復は11月末にかけて足踏み。オミクロン株が海外で広がりを見せ始めた時期であり、消費者マインドに悪影響を及ぼした可能性が高い。
  • 品目別データを見ると、11月は外食の持ち直しが確認できる。贈答用需要とみられる菓子類が好調。このほか、男性・女性用洋服、かばんなどの財消費、理美容サービスが回復。外出機会の増加に伴うものとみられる。
目次

11月下旬のサービス消費が好調

本稿では前月1に続き、緊急事態宣言解除後の消費回復過程やリベンジ消費の動向をウォッチするため、総務省「家計調査」における品目別・日別のデータチェックを行った。粒度の細かいデータであり、消費のつぶさな動きを把握するには有用だ。

まず、10月~11月について日毎の消費支出全体、財、サービス支出の動向をみたもの(極力曜日や祝日の影響を除去するために後方7日移動平均をとっている)が次ページのグラフである。横軸に時間軸を取り、2019・2020・2021年での色分けを行って、前年・前前年同時期との比較を行えるようにしている2

2021年のグラフ(青)を見ると、11月中下旬ごろの消費支出が2019・20年を上回っており、好調であったことが推察される。財消費が2019年水準を上回っているほか、サービス消費も23日の勤労感謝の日周辺が強い。感染状況の落ち着きや外出機会の増加が消費の回復につながっているとみられる。一方、2019・20年と異なり、11月末にかけてのサービス消費は減少方向で推移している。海外でオミクロン株の感染拡大が取り沙汰されるようになっていた時期であり、消費者マインドに悪影響を及ぼした可能性が考えられるだろう。

食関連:水準は低いが外食が持ち直し、菓子類増加は贈答向け需要回復か

10月の外食代は2019・20年のレベルをともに下回る傾向にあったが、11月下旬は20年水準を上回っており、次第に回復に向かっていることがうかがえる。もっとも、飲酒代は依然2019年水準を大きく下回っており、コロナ影響が強く残存。菓子類の回復が顕著で、コロナ禍で減少した贈答向けの需要等が回復している可能性があろう。

サービス関連支出:旅行やレジャーが回復も、コロナ前水準には届いていないものが中心

鉄道・タクシー・航空といった交通機関の支出はおおむね2020年と2019年の間を推移するような姿に。11月の宿泊料は2019年のレベルに近くなっており、旅行需要の回復が顕著。映画演劇や遊園地等も2020年を上回るが、11月末にかけての回復は足踏みしており、海外におけるオミクロン株拡大の影響が示唆されている。

衣服・化粧品など:外出機会の増加が後押しに

男性・女性向けの洋服やかばん類、理美容サービスなどの消費が好調。外出機会の増加によって衣料品などへの需要が回復しているとみられる。化粧品をみると化粧水向けの支出が回復する傍ら、口紅やファンデーションの消費は振るわず。在宅勤務の拡大等によって、ニーズが変化しているものとみられる。

消費は再び「K字化」か

以上のように、11月の品目別・日別データからは、感染拡大の落ち着き・外出機会の増加が消費の追い風になっていることが確認できる。特に11月下旬の消費が好調だったようだ。一方で、11月末にかけてはサービス消費を中心に回復が足踏みする動きがみられる。昨日公表の12月の景気ウォッチャー調査でも小売関連DIの上昇とサービス・飲食関連DIの低下がみられている。オミクロン株の拡大のもとで、今後の消費は再び財消費・サービス消費間で「K字化」する可能性が高くなっている。

以上

1 Economic Trends「リベンジ消費は起きているのか?~家計調査の品目別・日別データからみる緊急事態宣言明けの消費動向~」(2021年12月8日)

2 2019年10月は消費税率が8→10%に引き上げられており、財消費を中心に駆け込み需要の反動減が生じている点には留意。また、2019年11月は勤労感謝の日(23日)が土曜日と重複している。

星野 卓也

星野 卓也

ほしの たくや

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 日本経済、財政、社会保障、労働諸制度の分析、予測

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