「自動文字要約AI」の衝撃

~あなたの「議事録確認業務」を省力化する世界~

柏村 祐

目次

1.「議事録作成業務」を効率化する「自動文字起こしAI」

いまだに多くの職場では「議事録作成業務」が存在している。

「議事録作成業務」は、会議や打ち合わせの内容を記録し、参加者の合意事項や共通認識をまとめるという重要な仕事だが、それ相応の時間を要する。筆者は以前、「議事録作成業務」の業務プロセスを代替するテクノロジーとして「自動文字起こしAI」を取り上げた(注1)。「自動文字起こしAI」は、高度に発展したAIが音声を認識し、精度の高い議事録を作成するテクノロジーである。リアルタイムでの文字起こしはもちろん、パソコンやスマートフォンなど様々な機器に対応しており、会社内、外出先、在宅など場所を選ばず利用することが可能だ。従来の人による手動文字起こしでは、文字化の品質は作成する担当者の力量や経験に左右されたが、「自動文字起こしAI」を使うことで、担当者の議事録作成能力に依存せず、記録の品質を確保することができる。  

筆者はこの「自動文字起こしAI」を実際に操作してみたが、話し手の音声を正確に文字化できる効果を確認できた。気になる点を挙げるとすれば、音声を全て文字化することから、会議時間が長くなるほど文字量が多くなり、読むのに時間がかかることである。読む人にとって、「自動文字起こしAI」が文字化した議事録により会議内容全てを把握できる一方、全文に目を通す負担もあるのではないか。

そこで本稿では、文字化された議事録を効率よく確認できるテクノロジーを取り上げる。

2.活用が進む「自動文字要約AI」

議事録を読む人の業務効率化につながるテクノロジーとして、文字化された情報の要点をまとめる「自動文字要約AI」が登場している。「自動文字要約AI」は英語のみならず日本語でも展開されている。また、インターネットにつながる環境があれば、社内、外出先、在宅など場所を選ばず利用できる。

「自動文字要約AI」では、高度に発展したAIが、長文の文字情報を指定された要約率で短時間に要約する。筆者は、アメリカのドナルド・トランプ前大統領が2021年1月19日に行った20分程度の退任演説録画「Farewell Address(「別れの挨拶」)」の文字データを題材として「自動文字要約AI」を試してみた。「別れの挨拶」全文の文字データを設定する場所に配置し、「要約ボタン」を押すだけで「自動文字要約AI」が自動的に要約文を表示する。この事例の場合、半分相当の分量となる45%に要約された(図表1緑枠)。45%相当に要約された文章を、さらに好みの要約率に変更したい場合は、「マニュアルモード」により10~90%の範囲で自由に設定することが可能だ(図表1青枠)。

長い議事録データであれば文字数も相当な量になるが、「自動文字要約AI」では、元の文字量に応じて読み手が最適と考える要約率を選択できる。つまり、「自動文字要約AI」は、効率的に議事内容を確認できるプロセスを新たな価値として議事録の読み手に提供している。

図表 1 トランプ前大統領の退任演説を自動文字要約 AI で要約した結果画面
図表 1 トランプ前大統領の退任演説を自動文字要約 AI で要約した結果画面

また、「自動文字要約AI」については、英語のみならず日本語での活用も始まっている。例えば、徳島県では「自動文字起こしAI」と「自動文字要約AI」を採用し、知事の記者会見や審議会等の記録の業務効率化を推進している。従来の議事録作成は、会見後に職員が文字起こしをして議事録にまとめていたが、「自動文字起こしAI」と「自動文字要約AI」を活用することにより、現在は、集音マイクで音声を拾い、「自動文字起こしAI」が文字起こしを行っている。その結果、県のホームページに掲載されるまでの所要時間は、5日から3時間に大幅に短縮されている(注2)。また、議事録が長いという課題に対して、読む人自身が文章量を設定できる自由度の高い要約メニューがホームページで展開されており、県民の満足度は91%と高い評価を得ている(注3)。

徳島県のホームページを実際に閲覧すると、県知事による令和4年1月7日年頭(臨時)記者会見のページでは原文が表示され、10~90%の1%刻みで読み手が要約率を指定できる仕組みとなっている。要約率10%を指定してみたところ、原文文字数7,161文字は要約文字数531文字、要約率7.42%と表示され、その時間は0.517秒と処理が定量的に表示される。要約された内容を確認してみたが、「まとまりのある要約」となっており、記者会見内容を迅速に把握することができた(図表2)。

図表 2 令和 4 年 1 月 7 日 年頭(臨時)記者会見を自動文字要約 AI で要約した結果画面
図表 2 令和 4 年 1 月 7 日 年頭(臨時)記者会見を自動文字要約 AI で要約した結果画面

以上、2つの事例のように、会議や打ち合わせの議事録を短時間で確認したい際に「自動文字要約AI」を活用することは、作成する人・読む人双方の「2つの仕事」の業務効率化、生産性向上につながるだろう。

従来、議事録をまとめることは、人間にしかできない「仕事」と考えられてきた。しかしながら、「自動文字要約AI」の登場により、それはテクノロジーが代替可能な「作業」へと位置づけが変わったのである。

業務効率化、生産性向上があらゆる組織で求められる今、議事録の要約を「自動文字要約AI」に任せれば、そこで捻出された時間を「他の仕事」に充てることができる。その意味では、「自動文字要約AI」は、議事録の要約・確認の省力化によって新たな価値をもたらすテクノロジーといえよう。


柏村 祐

柏村 祐

かしわむら たすく

ライフデザイン研究部 主席研究員
専⾨分野: テクノロジー、DX、イノベーション

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