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時事雑感(2025年8月号)

嶌峰 義清

今年も暑い夏がやってきた。西日本では6月27日に一斉に梅雨明けが発表され、九州北部、中国、四国、近畿は統計開始以来最も早い梅雨明けを記録した。一方、東日本では梅雨明けこそ発表されていないものの(7月7日時点)、太平洋側を中心に一日中雨といった日はほとんど無い。代わりに、短時間に大雨が降る“ゲリラ豪雨”が一段と目立つようになってきた。世界に目を転じても、局地的な豪雨や記録的な高温、干ばつなどに見舞われている。

もはや日常的ともいえるようになった“異常気象”だが、その源泉は地球温暖化にあるとされている。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)によれば、この100年で地球の平均気温は1.1度上昇したそうだ。一見小さな変化のようだが、過去1万年の間に、1度もの気温の変化がわずか100年の間に起きたことはなかったとされている。気温の急激な上昇は、氷河などの融解と、それに伴う海面上昇や異常気象を通じて、生態系にも急激な変化を及ぼす。環境の変化に耐えられない種は絶滅する一方で、環境に適合した種が他を圧倒するようなことが起こりうるとされる。

現代のような高温の時代を人類は経験していないのかというと、そうではない。約9000~5000年前、完新世温暖期と呼ばれる時代の気温は現代に近かったとされる(現代の方が0.2度ほど高い)。約1.2万年前に氷期が終わり、温暖化が進んだピークの時期にあたる。この頃の人類はどのような状況にあったかといえば、環境の変化を受けて農耕や牧畜が拡大して定住化が促進され、やがて都市国家が誕生、文明が一気に発展した。その後地球の気温は緩やかな上下を繰り返していたが、産業革命以降に急上昇を始めたのである。その原因は二酸化炭素の大量放出などによる“人為的”なもので、それまでの自然現象による気候の変動とは異なる。自然の変化の恩恵を受けて文明を発達させた人類が、その文明によって、恩恵をもたらした環境を破壊することで“淘汰される”側に回ってはいけない。

(嶌峰 義清)

嶌峰 義清


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