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- 四半期見通し『日本~緩やかな持ち直しも、加速感は出ず~』(2025年4月号)
高成長だが、割り引いて見る必要あり
内閣府から公表された2024年10-12月期の実質GDPは前期比年率+2.2%(前期比+0.6%)の高成長となった。もっとも、こうした表面上の数字よりも内容が悪いことには注意が必要だ。高成長をもたらしたのはもっぱら外需であり、外需寄与度だけで前期比年率+3.0%Ptも成長率を押し上げている。そして、そのうち輸入の大幅減少による押し上げ分が、前期比年率+2.1%Ptを占める。輸入の減少は内需の弱さを反映したとの解釈も可能で、前向きな評価ができるものではない。
一方、内需は前期比▲0.2%と足踏みとなった。内需の柱である個人消費は前期比横ばいにとどまる。定額減税により押し上げられたことで7-9月期の個人消費が出来過ぎだったことの反動もあるが、ボーナス増や児童手当拡充といったプラス材料もあったなか、回復感に欠ける動きが続いている。食料品を中心として物価の高止まりが予想以上に長引いていることが、消費に悪影響を及ぼしている可能性が高い。加えて、住宅投資、公共投資は小幅減となったほか、期待された設備投資も前期比+0.6%と、7-9月期に自動車の供給制約で押し下げられた後にしては物足りない。このように、10-12月期の内需は総じて足踏みとなっている。日本経済は緩やかに持ち直してはいるものの、牽引役不在のなか、引き続き回復感に欠ける状況にあると判断して良いだろう。

25年1-3月期はマイナス成長か
こうした高成長は持続的ではなく、25年1-3月期の実質GDPは小幅マイナス成長に転じると予想している。懸念されるのは物価上昇を背景とした個人消費の停滞だ。食料品価格の再加速により物価は高止まりが長期化している。冬のボーナス増加もあって24年10-12月期の実質賃金はプラスとなったが、ボーナス要因が剥落する1-3月期には再びマイナスに転じる可能性が高い。生活に身近な食料品価格の上昇は心理面への悪影響が大きいことも懸念材料だ。また、海外経済に停滞感が残るなか輸出は小幅な伸びにとどまることに加え、輸入で反動増が予想されることから、10-12月期とは逆に、外需は成長率の押し下げ要因になるだろう。
先行きは緩やかな持ち直しも、加速感は出ず
25年4-6月期以降も物価上昇が家計の購買力を抑制する状態は続く。①強い人手不足感、②物価高への配慮、③底堅い企業業績などを背景に、25年春闘では24年(5.33%)をやや上回る賃上げが実現する可能性が高いと予想するが、それでも賃金の増加ペースが物価上昇率をはっきり上回るには至らないだろう。実質賃金が安定的にプラスになるタイミングは、物価上昇率の鈍化が見込まれる25年秋までずれ込む可能性が高い。消費の回復度合いもその分抑制され、小幅な伸びにとどまるだろう。
トランプ大統領の経済政策が、世界経済を下押しする可能性が高いことも懸念材料である。減税により期待されるプラス効果は26年以降が中心であり、25年については関税賦課とその報復による悪影響が勝る。特に中国経済への悪影響は大きく、日本からの輸出も下押し圧力を受ける。また、政策の予見可能性が低下したことで先行き不透明感が増し、世界的に企業が投資を手控えるといった行動に出た場合、日本の輸出の多くを占める資本財輸出が下押しされることになるだろう。
25年の景気は緩やかに回復する可能性が高いが、内外需とも牽引役に欠けるなか、加速感が出るには至らないと予想する。

26年は実質賃金の増加から内需も持ち直しへ
一方、26年には景気回復感が徐々に強まるだろう。25年には、物価上昇率が高止まることから実質賃金はゼロ近傍の推移を続けるとみられるが、コストプッシュに由来する物価上昇圧力が弱まることで26年には実質賃金の増加幅が緩やかに拡大する可能性が高い。こうした状況を受け、個人消費も伸びを徐々に拡大させることが見込まれる。設備投資についても、製造業部門が持ち直すことに加え、研究開発投資や脱炭素関連投資、デジタル・省力化投資等の押し上げもあり、持ち直しが続く。物価鈍化に伴って内需の下押しが弱まることで、景気は安定感を増し、緩やかに改善する可能性が高い。
25年度の物価は高止まり
消費者物価指数(生鮮食品除く総合)は24年度が+2.7%、25年度が+2.3%、26年度が+1.6%と予想する。食料品価格における予想以上の高い伸びが続いていることから、足元のCPIコアは再び伸びが高まっており、前年比で+3%を上回る。輸入コストの上昇に加え、物流関係費の上昇や人件費の増加などによる価格転嫁が活発化している。先行きも、こうしたコスト上昇の影響が残存することから、CPIコアは25年秋まで前年比+2%台半ば~後半で高止まりが続く。このことが実質購買力の毀損を通じて個人消費の下押し圧力となるだろう。
もっとも、輸入物価上昇によるコスト増加圧力は、時間の経過とともに徐々に弱まる。人件費増分の価格転嫁によりサービス価格に上昇圧力がかかる一方、財価格の伸びは鈍化が見込まれることで、CPI全体としては次第に鈍化するだろう。26年にはCPIコアが前年比+2%を割り込むと予想する。

新家 義貴
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。