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2024.12.18
アジア経済
中国経済
四半期見通し『アジア・新興国~中国は不動産不況が 尾を引き、アジアは外部環境に左右される展開~』(2025年1月号)
西濵 徹
中国では不動産不況が景気の重石となる展開
中国では、当局が9月末以降に五月雨式に公表する景気下支え策を受けて、金融市場は活況を呈する動きをみせた。しかし、具体的な需要喚起に繋がる内容ではなく、早くも息切れが意識されるほか、追加対策を催促する様相をみせる。当局は財政出動や金融政策の緩和シフトなど政策支援に動く姿勢を示すが、その内容には依然不透明感がくすぶる。他方、足下の企業マインドは底打ちするも、『雇用なき回復』の様相をみせるなど不透明感は残る。
足下の家計消費は当局が主導する買い替え促進などの動きが一時的な押し上げを促しているが、需要先喰いの域を出ないことを勘案すれば、先行きはその反動による下振れに注意する必要がある。また、規制緩和などを理由に一部の大都市では不動産市況に下げ止まりの兆しがみられるものの、多くの地方都市ではその兆しが出ておらず、人口減少に加え、若年層を中心とする雇用不安が需要の足かせとなる懸念もくすぶる。家計部門にとっては資産の7割を不動産が占めるなか、その市況低迷によるバランスシート調整圧力が家計消費の重石となる状況が続くことにも留意する必要がある。他方、米大統領選でのトランプ氏の勝利を受けて、同氏は中国からのすべての輸入品に10%の追加関税を課す方針を示しており、折しも欧米のみならず、新興国の間にも中国からの輸入増を警戒する向きが広がるなかで、外需を頼みにした景気回復のハードルも高まることは避けられない。

アジア新興国景気は外部環境に左右される展開
米中摩擦の激化の動きは、ASEANなどにおいてサプライチェーンの見直しの動きを反映した投資流入の動きを促すことが期待される。さらに、中国企業も対米輸出の悪化をカバーすべくアジア新興国への輸出や生産拠点の移管を進めると見込まれ、短期的にみれば景気の下支えに繋がることが期待される。しかし、中国からの投資受け入れを巡っては、中国国内における過剰生産能力も影響して概ねすべての部材や素材を中国からの輸入によって賄う動きがみられる。こうした状況を勘案すれば、中長期的にみた場合には、ASEANなどですそ野産業の『空洞化』を招くリスクに注意する必要がある。他方、中国に代わる生産拠点としてインドに注目が集まるなか、投資流入の動きが雇用創出などの効果に繋がれば、家計消費など内需をけん引役にした景気拡大が促される可能性はある。
ただし、サプライチェーンの見直しを受けて米国向け輸出が拡大した場合、トランプ氏が攻撃の『照準』を合わせることも予想され、思わぬ形で追加関税のリスクに晒される可能性にも留意する必要がある。他方、中国の内需低迷はアジア新興国にとって中国向け輸出の回復が遅れることを意味し、外需の足かせとなる可能性がある。そして、米トランプ次期政権の政策運営は米FRBの政策運営に影響を与えるほか、米ドル高が再燃して資金流出圧力に晒されることも懸念されるなど、金融政策の手足が縛られる可能性にも要注意と捉えられる。

西濵 徹
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 西濵 徹
にしはま とおる
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経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析
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