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2024.09.18
アジア経済
アジア経済見通し
中国経済
四半期見通し『アジア・新興国~中国は不動産不況が尾を引き、 アジアは外部環境に左右される展開~』(2024年10月号)
西濵 徹
中国では不動産不況が景気の重石となる展開
中国では当局が不動産在庫の解消に向けた取り組みを強化するとともに、内需喚起を目的とする買い替え促進策といった動きがみられるものの、若年層を中心とする雇用不安が需要の足かせとなる展開が続いている。さらに、不動産市況を巡っても当局の対応が小出しに留まるなかで調整の動きに改善の兆しがみられず、バランスシート調整圧力が家計、企業問わず幅広い分野にとって経済活動の足かせになっている。
7月に開催された中長期的な経済政策の運営方針を討議する3中全会では、習近平指導部が主導する「新質生産力」と「高質量発展」を重視する方針があらためて確認されるとともに、欧米と異なる経済発展モデルである「中国式現代化」の推進に向けて経済政策面でも国家の安全をその礎とする形で共産党による指導を強化するといった内容が示された。そして、戦略産業に新世代情報技術、人工知能(AI)、航空宇宙、新エネルギー、新素材、ハイエンド機器、バイオメディカル、量子技術といった分野を挙げており、こうした分野では政府による支援が一段と強化される展開が予想される。他方、積極的な内需拡大や税財政改革、不動産や地方政府債務を巡るリスクを認識していることが示されたものの、具体的な方策は示されず、今後も小出しの対応が続くと見込まれる。よって、先行きの中国経済はマクロ的には頭打ちの様相を一段と強める展開が続くものと予想される。

アジア新興国景気は外部環境に左右される展開
経済の外需依存度が比較的高い上、中国経済への依存度が相対的に高いASEANやNIEs諸国においては、引き続き中国景気の動向に揺さぶられる展開が続くと見込まれるほか、勢いを欠く推移が予想されるなかでは景気の重石となることは避けられないであろう。その一方、米中摩擦や世界的な分断の動きを追い風とするサプライチェーン見直しの動きは、生産拠点の受け入れに向けた対内直接投資を押し上げており、先行きもこうした動きが景気を下支えすると期待される。インドやASEAN諸国ではこうした期待の高さが、資金流入を追い風にした投資の活発化に加え、雇用拡大による家計消費の下支えといった動きに繋がると見込まれる。
また、昨年以降の各国のインフレは比較的落ち着いた推移をみせているものの、異常気象による食料インフレに加え、中東情勢の不透明感を受けた国際原油価格の高止まりなど生活必需品を中心にインフレ圧力がくすぶるなかで実質購買力の重石となる展開が続いている。足下の国際金融市場では米ドル高の動きに一服感が出ており、多くのアジア新興国通貨は底入れの動きを強めるなど輸入インフレの懸念は大きく後退している。一部の国は景気下支えを目的とする金融緩和に舵を切る動きをみせるが、先行きは米FRB(連邦準備制度理事会)をはじめ主要国中銀の動き次第の展開が続くと見込まれる。よって、当面の景気は公的需要への依存を強める様相が続くと考えられる。

西濵 徹
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 西濵 徹
にしはま とおる
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経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析
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阿原 健一郎

