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- 内外経済ウォッチ『欧州~ユーロ圏は20ヵ国体制に~』(2023年2月号)
クロアチアが単一通貨ユーロを導入
サッカー・ワールドカップ・カタール大会の決勝トーナメントで日本と激闘を繰り広げたクロアチアが1月1日から欧州連合(EU)の単一通貨ユーロを導入した。経済通貨統合を進めるEUは、加盟国の独自通貨を廃止し、共通通貨を利用する。かつてのドイツ・マルク、フランス・フラン、イタリア・リラは、ユーロに取って代わられた。1999年に11ヵ国で始まったユーロ圏は20ヵ国に拡大。英国の離脱で27ヶ国となったEU加盟国のうち、ユーロを導入していないのは、デンマーク、ブルガリア、チェコ、ハンガリー、ポーランド、ルーマニア、スウェーデンの7ヶ国にとどまる。
クロアチア国民の間では、ユーロ導入に伴う便乗値上げを不安視する声や、単一通貨が大国に有利になると批判的な声も一部にある。政府は取引頻度の高い商品の価格をモニターするとともに、適切な価格表示をしている商工業者に認定ステッカーを発行する。クロアチアはユーロ導入で為替変動を通じた対外競争力の調整メカニズムを失う一方、為替の両替コストやヘッジコストを節約できるとともに、他のユーロ圏との間の価格の透明性が高まり、産業誘致や貿易取引・観光客の増加が期待できる。投機的な取引からの防衛や資金調達コストの低下といったメリットも享受できる。

他のシェンゲン圏との往来も容易に
ユーロ導入と同時に、クロアチアは域外国境管理を共通化し、域内国境管理を撤廃するシェンゲン圏にも新たに加わった。クロアチアの加盟で、シェンゲン圏の構成国は、ブルガリア、アイルランド、キプロス、ルーマニアを除くEU諸国と、アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、スイスの欧州自由貿易連合(EFTA)に加盟する非EU諸国の計27ヶ国に拡大した。クロアチアと他のシェンゲン加盟国間を行き来する渡航者は、入国審査やパスポートの提示が不要になる。シェンゲン圏のボーダー国となるクロアチアは、ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア、モンテネグロの非EU・非シェンゲン国との国境管理、国境監視、入域検査などを担うことになる。
クロアチアは風光明媚な観光地として、近年、日本でも人気を集める。紺碧の海とオレンジ屋根の街並みのコントラストが美しいドブロブニクは「アドリア海の真珠」と称えられ、日本の名作アニメのモデルとなったことでも有名だ。エメラルドグリーンの湖と滝が織りなす幻想的な光景が広がるプリトヴィッツェ湖群国立公園など、他にも見どころが多い。近隣のユーロ圏やシェンゲン圏諸国と合わせて訪問し、EUの拡大や単一通貨の利便性を実感するのはいかがだろうか。

田中 理
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

