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OPEC有志7ヵ国、自主減産終了後の10月は様子見姿勢で合意

~OPECプラスの結束にほころび、生産政策の不透明感高まる懸念も~

西濵 徹

要旨
  • OPECプラスの有志7ヵ国は9月6日の閣僚会合で、10月の生産量を据え置くことを決定した。有志7ヵ国は、イラン情勢悪化による原油高を受けて4月以降、自主減産を段階的に縮小し、9月には日量165万バレル規模の自主減産を解消した。しかし、ホルムズ海峡の事実上の封鎖やウクライナ戦争の激化により、湾岸産油国やロシア、カザフスタンの生産・輸出が混乱し、増産合意の多くは実際の供給増につながっていない。7月の有志7ヵ国の産油量は日量約2,400万バレルと2月を大幅に下回り、生産枠にも届かないため、OPECプラスの原油価格や市場シェアへの影響力は制約されている。米国とイランの対立激化で原油価格が高止まりするなか、有志7ヵ国は様子見姿勢を維持した格好である。

  • 一方で、OPECプラスは2022年に合意した日量200万バレルの協調減産を2026年末まで維持する方針だが、2027年以降の扱いを巡る調整は難航する可能性がある。UAEのOPEC脱退と増産に続き、イラクが生産枠の大幅引き上げを求め、ベネズエラにも脱退観測が浮上するなど、枠組みの結束には綻びがみられる。今後は加盟国の生産能力の再評価を巡る利害対立が激しくなる可能性があり、OPECプラスは組織の結束維持と原油価格の安定を両立させる難しい舵取りを迫られるであろう。

目次

【有志7ヵ国は10月の原油生産方針を据え置き、自主減産終了後は様子見姿勢】

主要産油国の枠組みであるOPECプラスの有志7ヵ国(サウジアラビア、ロシア、イラク、クウェート、カザフスタン、アルジェリア、オマーン)は、9月6日にオンラインで閣僚会合を開催した。イラン情勢の悪化による原油価格の上昇を受けて、有志国は4月以降、2023年に合意した日量165万バレル規模の自主減産を段階的に縮小させてきた。そして、有志国は8月会合において、9月に自主減産をすべて解消することで合意した(注1)。

しかし、同情勢の悪化によりホルムズ海峡が事実上封鎖されるなか、湾岸産油国は大幅な減産を強いられている。さらに、ウクライナ戦争も激化するなか、足元ではロシアやカザフスタンの輸出も混乱しており、増産合意の大部分は実際の生産増にはつながっていない。その結果、7月時点における有志7ヵ国の産油量は日量約2,400万バレルと2月時点(同2,931万バレル)を大きく下回るうえ、生産枠に対しても約660万バレル下回る水準にとどまる。このため、OPECプラスによる原油価格や市場シェアに対する影響力が制限される展開が続いている。

一方で、足元では米国とイランが船舶に対する攻撃の応酬を繰り広げるなど、イラン情勢を巡る不透明感が高まっている。これを受けて原油価格は高止まりしており(図1)、一部の国にとっては財政均衡水準を上回っている。こうしたなか、有志7ヵ国は10月の生産量を据え置くことで様子見姿勢を維持した格好である。会合後に公表された声明では、10月以降の政策に関する言及はなく、引き続き「協力宣言」の完全な順守の実現に向けた決意をあらためて表明したとの表現にとどめた。

図表
図表

【OPECプラスの結束にほころび、価格安定との両立に難しさが増す】

OPECプラス全体としては、2022年に合意した日量200万バレルの協調減産を2026年末まで維持する方針を示している。しかし、今後は期日が近づくなかでその扱いに関する議論が活発化することが予想される。UAE(アラブ首長国連邦)が2026年5月にOPEC(石油輸出国機構)から脱退するとともに、その後は増産の動きを強めていることを受けて、枠組みの結束に綻びが生じる兆しがみられる。

報道では、イラクがOPECによる生産枠の大幅引き上げを要望し、仮に受け入れられなければ脱退を検討していることが明らかになっている。さらに、8月末にはベネズエラがOPECからの脱退を検討し、米国と協議を進めている旨の報道も出ている。背景には、原油価格の下落を狙うトランプ米政権が、ベネズエラとの連携強化を通じてOPECの影響力の低下を図っているとの見方もある。

こうしたなか、OPECプラスとしては、2027年以降の生産方針を協議する前提として、加盟国の生産能力の再評価を行う必要がある。その協議を巡って、加盟国によるつばぜり合いが激化することが予想されるとともに、その行方によっては枠組みの結束力が弱まる可能性も考えられる。OPECプラスとしては枠組みの結束と原油価格の安定の間で難しい舵取りを迫られるであろう。

以 上

西濵 徹


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西濵 徹

にしはま とおる

経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析

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