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2026.07.17
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半導体株の調整はいつまで続くのか
~ファンダメンタルズ変化による利益確定主導であれば自律反発も~
嶌峰 義清
- 要旨
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半導体・AI関連株を中心に調整が強まっている。日経半導体株指数は高値から▲31.1%下落し、日経平均株価も▲11.4%下落した。一方、半導体関連銘柄のウェイトが相対的に小さいTOPIX株価指数の高値からの下落率は▲4.5%にとどまっている。このことから、足元にかけての株価の調整は、半導体・AI関連株が牽引したものだといえる。
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株価調整のきっかけの一つになったのは、金利の上昇と考えられる。日経半導体株指数の年初来上昇率は+175.2%と、半年弱で2.75倍に達する猛烈なものだった。急激すぎる上昇への潜在的な警戒感が強まってもおかしくない状況で、株価にとっては下押し圧力となる金利の上昇は、株価の上昇圧力を削いだ可能性がある。加えて、ホルムズ海峡が再封鎖されるなど、イラン情勢が振り出しに戻り、先行きの不透明感が強まったことは、投資家の利益確定を優先させることに繋がったと考えられる。
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もっとも、半導体やAI市場を取り巻く環境が変調していることを示すデータは確認されていない。今期の予想収益にもネガティブガイダンスは発表されていない。今後発表される、米国の大手テック企業の業績、及び業績予想が、市場の期待に添った内容であれば、下げ止まりのきっかけとなるだろう。
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1. 急落に転じた半導体・AI関連株
イラン情勢が混沌としている中で急激に上昇してきた半導体・AI関連株の調整が急激に進んでいる。日経半導体株指数は、6月22日つけた過去最高値(36378.32ポイント)から▲31.1%下落した(7月17日終値との比較、数字はいずれも終値ベース)。これを受けて、日経平均株価も高値から▲11.4%下落した。一方、半導体関連銘柄のウェイトが相対的に小さいTOPIX株価指数の高値からの下落率が▲4.5%にとどまっていることから、ここのところの株価の調整は、急騰してきた半導体・AI関連株の下落によるところが大きいと言える。
半導体・AI関連株調整のきっかけの一つに、日本の長期金利の上昇が影響した可能性がある。長期金利の上昇は、債券と比べた株式の相対的な魅力を低下させる。折しも、日経半導体株指数の急騰で、同指数の予想PERは上昇傾向を辿っており、同指数の益回り(PERの逆数)は低下傾向を辿っていた。6月末の同指数の予想PERは21.24倍、益回りは4.71%とPER水準が高すぎるとは言えない水準にはあるものの、ほぼ一本調子に急騰してきた半導体・AI関連株が“一息つく”には、長期金利の上昇は格好の材料となった可能性はある。
2. 中東情勢が振り出しに戻ったことが、投資家の利益確定売りを急がせた
米国とイラン情勢が不透明感を増したことは、株安の大きな要因となった可能性がある。ホルムズ海峡が再び封鎖状態に置かれたことで、2月末のイランへの空爆開始前の水準にまで下落していた原油価格は上昇に転じ、世界的なインフレ緩和期待に水を差したほか、原油や石油関連製品の供給懸念も残存する格好となった。1ヶ月と経たないうちに事態が振り出しに戻ったことで“原状回復”に対する期待はむしろ遠のいたとさえ言える。
投資家にとっては、半導体・AI関連株の上昇に一旦歯止めがかかったうえ、先行き不透明感が再び強まったことで、ここまでの上昇によって得られた利益を一旦確定する機運が高まったとしてもおかしくはない。これまでの株価上昇を牽引してきた「AIの発展とともに拡大する半導体・AI関連需要」といった長期的な好材料から、メモリなど関連資材の「足元のボトルネック」や「一部企業の上場による需給悪化懸念」といった短期的でネガティブな材料に関心が移り、焦燥感に駆られた益出しや、先安を期待した投資(空売り)なども巻き込んで値を下げている可能性もある。
もっとも、日経半導体株指数の年初来上昇率は半年で+175.2%(2.75倍)と猛烈なものであり、1ヶ月弱で▲31.1%という調整は“変動の範囲に過ぎない”とも言える。一連の動きがいわゆる「スピード調整」なのか、それとも「熱狂の終わり」なのかは、今後の半導体・AI関連市場や、これに関連する企業の業績次第だ。
3. 半導体・AI関連市場の変調を示唆するデータは確認されず、調整は短期的なものにとどまる可能性
半導体やAI関連市場の先行きについては、こまでのところ悲観的な見方を後押しするようなデータは確認されていない。むしろ、経済安全保障の観点から国策で需要の拡大を後押しする動きが相まって、関連資材のボトルネックが危惧されている状況に変わりは無い。したがって、ボトルネックや価格の高騰によって業績予想を下方修正せざるを得ない企業や業種が出てくるリスクがある一方で、市場全体として長期的な視野で見た場合、市場の拡大が止まるといった懸念は少ない。
こうした半導体市場やAI市場の長期的な拡大期待に変化がないことを勘案すれば、投資家の益出しが一巡すれば、株価も下げ止まる可能性が高い。もっとも、下げ止まるにもやはり材料は必要で、長期金利の上昇やイラン情勢などの調整のきっかけとなった材料の変化のほか、7月下旬に相次ぐ米大手テック企業の業績発表などをこなすことで、市場のセンチメントが「短期的な懸念材料」から「長期的な期待」へと変わる可能性は十分にある。
嶌峰 義清
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一ライフ資産運用経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

