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英国政治を翻弄するファラージ氏

~英国民は何度この男に踊らされてきたことか~

田中 理

要旨
  • 政権奪取の機会を窺うリフォームUKのファラージ党首は7日、下院議員を辞職し、改めて同一選挙区から再出馬することを明らかにした。政治資金疑惑の追及から逃れるとともに、リフォームUKの党勢回復の一助にしようと画策したものと考えられる。リフォームUKの支持率は、引き続き二大政党をリードしているが、一時の勢いはない。同党離党者が旗揚げした新興右派ポピュリスト政党に支持を奪われているほか、若者を中心に緑の党が二大政党に対する新たな不満票の受け皿となっている。

英国で政権奪取の機会を窺う右派ポピュリスト政党「リフォームUK」のファラージ党首は7日、イングランド東部のクラクトン選挙区の下院議員を辞職し、同一選挙区の補欠選挙に再出馬することを明らかにした。今回の突然の辞職と再出馬の引き金となったのは、同氏が直面する政治資金疑惑が背景にある。ファラージ氏はここ数週間、暗号資産取引で巨額の富を築いた個人投資家からの巨額献金と、米国で詐欺罪の有罪判決を受けた元側近からの現物利益の受領を巡って、厳しい批判に晒されてきた。議員規則によれば、議員に就任する以前の1年以内に受け取った300ポンド以上の贈り物を申告する義務があるが、ファラージ氏はこれを怠っていた。同氏は今回の疑惑を「当時は公職にない一般人だったため、規則違反ではない」、「メディアや規制政党からの政治的な迫害である」と釈明している。議会の倫理委員会による処分が下る前に辞職し、有権者に審判を委ねる形を作り出す狙いがあるのだろう。

労働党と保守党の二大政党や、リフォームUKの離党者が旗揚げした右派ポピュリスト政党「リストア・ブリテン」は、補欠選挙に候補者を擁立しない方針を示唆している。補欠選挙の実施に税金が使われることを批判する声や、一部の有権者からはファラージ氏に裏切られたとの声も浮上しているが、有力な対立候補がいないなか、今のところ同氏が再任される可能性が高い。但し、同氏が補欠選挙に勝利し、下院議員に復職した場合には、倫理委員会の調査が再開され、改めて政治責任を問われる可能性がある。有権者の10%が請願書に署名する場合、下院議員を解任され、補欠選挙が再び行われる。

リフォームUKは5月の統一地方選で大勝し、世論調査でも二大政党をリードするが、一時ほどの勢いはない。ピーク時に30%に迫った支持率は、最近では20%台半ばにとどまっている(図)。政権奪取を睨み、リフォームUKが現実路線にシフトするなか、リストア・ブリテンに一部の支持を奪われている。二大政党の支持が下げ止まってきたことや、若者を中心に環境政党・緑の党が二大政党に対する新たな不満票の受け皿となっていることも、リフォームUKの躍進に歯止めを掛けている。スターマー首相が辞任し、次期首相就任が有力視されるバーナム前マンチェスター市長への期待から、労働党の支持率が回復する可能性もある。ファラージ氏は自らが演出した補欠選挙を「庶民とエスタブリッシュメントの戦いである」と訴えており、自身の潔白を印象づけるとともに、リフォームUKの党勢回復の一助にしようと画策しているのだろう。劇場型政治の極みと言える。

図表
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以 上

田中 理


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