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英スターマー首相が辞任表明

~秋にバーナム新首相が誕生へ~

田中 理

要旨
  • これまで度重なる辞任要求を拒否してきたスターマー首相だが、次期首相の最有力候補であるバーナム氏の国政復帰を受け、22日に労働党党首と首相を辞任することを表明した。後継党首は、7月9日に立候補の受付を開始し、夏の議会休会期間中に党首選を行い、9月の議会再開前には新党首を選出する。

  • スターマー氏は次の党首選に出馬せず、新首相が就任するまでの間、首相の座にとどまる。後継党首選でのバーナム氏の優位は揺るがず、余程のことがない限り、9月にバーナム新首相が誕生することになるだろう。

英国のスターマー首相は22日、首相辞任を発表した。18日の下院補欠選挙に勝利し、後継首相の最有力候補とされるバーナム・マンチェスター市長が国政復帰を果たしたことを受け、この週末の間に党内からもスターマー氏の辞任を求める声が一段と勢いを増していた。

首相官邸前で演説したスターマー氏は、6年前に労働党の党首の座を引き継ぎ、瀕死の状態にあった党を立て直し、2024年の総選挙で地滑り的な勝利に導いたこと、2年前の首相就任以来、経済の立て直し、賃金の上昇、緊縮財政の終結、NHSの受診待機患者数の減少、貧困削減、国際社会での英国の評判回復など、労働党政権が成し遂げた変革を振り返ったうえで、次の総選挙で労働党を率いるのに最も相応しい人物が誰か、党内の声を潔く受け止め、労働党の党首と首相を辞任することを決断したと述べた。スターマー首相は後継党首選について、7月9日に立候補の受付を開始し、夏の議会休会期間中に締め切るよう、労働党の全国執行委員会に要請することを明らかにした。これにより、9月の議会再開前に新党首が就任することが確実となり、スターマー氏は党首選が終了するまでの間、首相の職にとどまり、秩序立った政権引き継ぎが行われるように全力を尽くすと説明した。

英国がEU離脱を決めた国民投票から23日で10年が経過するが、今回の首相交代も含めると、この10年で7人目の首相が就くことになる。労働党は保守党政権時代の政治混乱に終止符を打つとしていたが、このまま混乱が続けば、国民の政治不信や政権奪取の機会を窺う右派ポピュリスト政党・リフォームUKを勢いづかせかねない。国民の審判を得ない首相交代には批判がつきまとう。リフォームUKを率いるファラージ氏は、スターマー首相の辞任を受け、議会の解散・総選挙の前倒しを求めている。最大野党の保守党は、党首選を通じた首相交代に理解を示し、総選挙の前倒しを求めないとしている。

スターマー首相はこれまで度重なる辞任要求を頑なに拒否し、同氏の辞任を求める“党首チャレンジ”の手続きが開始された場合、自身も改めて党首選に名乗りを上げる方針を表明してきた。だが、今回の辞任表明では党首の座を退き、良き夫・良き父親としての役割により多くの時間を割くと言及しており、次の党首選には出馬しない意向とみられる。夏場に予定される労働党の党首選は、ソフトレイバー路線のバーナム氏を軸に、スターマー路線の踏襲者、改革派のストリーティング保険相などの争いとなることが予想される。バーナム氏の優位は揺るがず、余程のことがない限り、9月にバーナム新首相が誕生することになりそうだ。

以 上

田中 理


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田中 理

たなか おさむ

経済調査部 首席エコノミスト(グローバルヘッド)
担当: 海外総括・欧州経済

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