株高不況 株高不況

3票の反対を押し切り政策金利を据え置いた

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均株価は先行き12ヶ月61,000円程度で推移するだろう
  • USD/JPYは先行き12ヶ月155円程度で推移するだろう
  • 日銀は利上げを続け、政策金利は26年7月に1.0%、27年7月に1.5%超となろう
  • FEDはFF金利を26年9月に3.5%まで引き下げた後、様子見に転じるだろう

<総裁会見前に執筆>

  • 日銀は大方の予想どおり金融政策の現状維持を決定した。利上げ見送りは3会合連続で政策金利は2025年12月以降、0.75%で据え置かれている。

  • 今回、驚きだったのは3名の政策委員が反対票を投じたこと。これまでに続き、高田委員が反対票を投じたほか、3月会合で金利据え置きに賛成した田村委員が反対に回った。ここまでは大方の予想どおりであるが、今年6月29日で任期満了を迎える中川委員が反対票を投じたことは驚きを禁じ得なかった。3名が反対票を投じた理由は以下の通り。

高田委員

「物価安定の目標」は概ね達成されており、海外発の物価上昇の二次的波及から国内物価の上振れリスクが既に高まっている

田村委員

物価上振れリスクが大きく拡大する中、中立金利に少しでも近づけるため

中川委員

中東情勢の不透明感はあるが、経済情勢を踏まえると、緩和的な金融環境の下で、物価の上振れリスクが高い

  • 次回6月会合で、上記3名は利上げを主張する可能性が高い。もっとも、7月会合からは中川委員の後任としてリフレ派と目されている佐藤綾野氏が就任見込みであり、政策委員会全体としてはハト派方向に傾くことになる。また今回の会合から同じくリフレ派と目されている浅田委員も加わっている。ちなみに高田委員と田村委員は来年7月に任期満了となる。

  • 展望レポートの見通しは、経済成長率が下方修正、物価上昇率が上方修正となり原油高の直接的な影響が色濃く反映された。見通しの作成にあたっては、ドバイ原油価格が1バレル105ドルから70ドル台程度まで下落し、サプライチェーンの大規模な混乱は生じないことが前提に置かれているとのことであった。

  • 2026年度の実質GDP成長率は+0.5%へと0.5%pt下方修正され、コアCPI(除く生鮮食品)は+2.8%へと0.9%ptもの上方修正となった。生鮮食品とエネルギーを除いた日銀版コアCPIも+2.6%へと0.4%ptの上方修正となり、インフレ高止まりの警戒感がにじみ出た。2027年度は実質GDP成長率が+0.7%と小幅に持ち直し、コアCPIは+2.3%へと0.3%pt上方修正、日銀版コアは+2.6%へと0.5%ptもの上方修正となった。2028年度は実質GDP成長率が+0.8%、コアCPIが+2.0%、日銀版コアCPIが+2.2%となり、潜在成長率の達成と2%の物価目標が概ね達成される姿となった。

  • この後の総裁会見を含め、今後の焦点は原油高と基調的な物価上昇率の関係に尽きる。植田総裁は3月の金融政策決定会合後の記者会見において、原油高は「短期的にはエネルギー価格を押し上げるほか、企業や家計の予想物価上昇率の上昇を通じて、基調的な物価上昇率を押し上げる可能性もある」とした一方、景気への下押し圧力を通じて基調的な物価上昇率を鈍化させる可能性があるとも言及している。今回の展望レポートの数値は、原油高が基調的な物価上昇率を押し上げる方向に作用すると読む政策委員が多かったことを物語っているが、その辺りを総裁がどのように表現するのか注目したい。

藤代 宏一


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