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2026.03.09
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米国:雇用者数は予想外の9.2万人減 (26年2月雇用統計)
~政策の不確実性と天候・スト等の特殊要因が重なり、雇用回復に急ブレーキ~
桂畑 誠治
- 要旨
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- 26年2月の非農業部門雇用者数(事業所調査)は、前月差▲9.2万人(前月同+12.6万人)と、市場予想中央値(ブルームバーグ集計)の同+5.5万人に反して減少した。内訳をみると、政府部門が同▲0.6万人(前月同▲2.0万人)と減少ペースが鈍化した一方、民間部門は同▲8.6万人(同+14.6万人)となり、市場予想中央値(ブルームバーグ集計)の同+6.0万人に反して減少に転じた。
- 非農業部門雇用者数の減少は、25年1月のトランプ政権発足以降で6回目となり、雇用は増減を繰り返す不安定な動きを続けている。2月の減少に関しては、一時的な要因に加え、前月の大幅増の反動が重なった。カリフォルニア州での看護師ストライキによって医療従事者3.1万人分の押し下げ要因となったほか、暴風雪・寒波の影響を受け建設業、外食、輸送・倉庫などが減少した。
- 雇用の基調を示す3カ月移動平均の非農業部門雇用者数は、前月差+0.6万人(前月同+5.0万人)に減速し、6カ月移動平均も同+1.4万人(同+0.3万人)と微増にとどまった。民間部門に限れば、3カ月移動平均で同+1.8万人(前月同+7.0万人)、6カ月移動平均で同+3.4万人(同+4.5万人)となり、増加ペースが徐々に鈍化していることが示された。
- 政府部門では、連邦政府は前月差▲1.0万人(前月同▲2.9万人)と減少幅を縮小し、州・地方政府が同+0.4万人と増加したことで、政府全体では同▲0.6万人(前月同▲2.0万人)と減少ペースが鈍化した。一方、民間部門では、通常は雇用を牽引する医療・社会支援(前月差▲1.86万人)がストライキにより減少したほか、悪天候の影響で飲食店(同▲2.97万人)、建設業(同▲1.1万人)、教育サービス(同▲1.57万人)、製造業(同▲1.2万人)、宿泊(同▲0.5万人)が軒並みマイナスとなった。また、船舶やドライバーの不足、物流停滞に悩む輸送・倉庫(同▲1.13万人)、生成AIの普及による構造変化に晒されている情報産業(同▲1.1万人)の減少も目立った。さらに派遣業(同▲0.65万人)、商業銀行(同▲0.3万人)、鉱業(同▲0.2万人)、卸売業(同▲0.04万人)も減少した。 一方で増加したのは、専門・技術サービス(同+1.11万人)、その他サービス(同+0.8万人)、芸術・エンターテイメント・余暇(同+0.76万人)などであった。
- 金融市場では、2月の非農業部門雇用者数減少や失業率の上昇を受け、利下げ期待が若干強まった。FF金利先物の示す3月FOMCでの据え置きの可能性が約96%(前日約96%)とほぼ横ばいだったが、4月は同約83%(前日約88%)、6月は同約56%(前日約67%)へと、据え置き予想が低下した。26年末のFF金利の水準は3.24%と、前日の3.29%から小幅に低下した。 雇用統計の発表直後、2年債と10年債の利回りは一時低下したが、すぐに反発。その後は再びやや値を下げて取引を終えた(P6)。為替市場では、ドルが対ユーロで弱含み、対円では方向感のない展開となった。主要株価指数は、水準を切り下げた。
- トランプ2.0では、多数の大統領令による制度・政策の早期実行が混乱を招き、25年以降、米労働市場は軟化している。通商政策では、関税の賦課・撤回・上乗せの実行、あるいはそれらを示唆する発言が繰り返されることで不確実性が高まり、企業が採用抑制や人員削減の動きを強めている。また、移民規制や不法移民の取り締まり強化が労働供給の抑制に繋がった。現在の米労働市場は、低雇用、低解雇が続き、ある種の均衡状況となっている。
- 平均時給は、前年同月比では+3.8%(同+3.7%)となり、市場予想中央値同+3.7%を上回った。22年3月の前年同月比+5.9%をピークに低下傾向にあるものの、依然としてインフレ率を上回る伸びが個人消費を支えている。
- 2月の失業率(U3、家計調査)は、4.4%(前月4.3%)へ上昇し、市場予想中央値4.3%を上回った。労働参加率が62.0%(62.1%)と低下する中で、失業率は依然として低い水準を維持している。「広義の失業率(U6)」は、7.9%(同8.1%)と低下した。これは、上述の失業率(U3)に“現在は職探しをしていないが過去1年間に求職活動を行った人“と”正規雇用を探しているがパートタイムで働いている人“を失業者に加えた指標である。U3、U6ともに緩やかな軟化傾向を示しているが、歴史的には依然として低い。
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本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 桂畑 誠治
かつらはた せいじ
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経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済
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