インドは中国を超えるのか インドは中国を超えるのか

ニュージーランド中銀は当面緩和維持、市場予想より「ハト派」の模様

~2026年内の利上げ織り込みは行き過ぎか、当面のNZドル相場は上値の重い展開が見込まれる~

西濵 徹

要旨
  • ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は2月18日の会合で政策金利(OCR)を2.25%に据え置いた。2024年以降の断続的な利下げによって足元の景気は持ち直しつつある。一方、2025年に入りインフレが再加速しており、直近では目標上限を上回る伸びで推移している。したがって、RBNZは前回会合で利下げ局面の終了を示唆していた。今回の据え置き決定は、その流れに沿ったものと考えられる。

  • 声明では、インフレは短期的に高止まりするものの、2025年7〜9月には目標域に戻り、中期的には2%近辺に収束すると予測している。景気についても、足元の需給ギャップはマイナスと推計するも、回復が進んでおり、過去の利下げが内需を支えるとの見通しを示した。当面は緩和的な政策を維持する可能性が高いものの、最新の金利見通しにおいては利上げ開始時期が前倒しされる可能性も示された。

  • ブレマン新総裁は、年末の利上げの可能性に言及しつつ、景気とインフレの動向次第と説明し、不動産価格の急騰は見込んでいないとした。市場では2026年内の利上げ観測が強まっていたが、雇用環境は回復途上であり、当研究所は早期利上げ観測を過剰と判断していた。今回の決定は、市場予想よりハト派的であり、NZドルは当面上値が重く、円高基調も相まって対円でも弱含む展開が続く可能性がある。

ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は、2月18日に開催した定例の金融政策委員会において、政策金利であるオフィシャル・キャッシュ・レート(OCR)を2.25%に据え置くことを決定した。RBNZは2024年8月に約4年ぶりの利下げに動き、その後も一時休止を挟みつつ、2025年11月の前回会合まで断続的な利下げを実施するなど金融緩和を進めてきた。ニュージーランドでは、ここ数年インフレが高止まりしてきたものの、2024年後半以降のインフレはRBNZが定める目標(1~3%)域内で推移するなど落ち着きを取り戻した。さらに、物価高と金利高の共存長期化による内需の下押しに加え、最大の輸出相手である中国景気の低迷も重なり、2024年半ばにかけてテクニカル・リセッションに陥るなど景気が失速したことも利下げを後押しした。しかし、2025年以降のインフレは加速に転じ、2025年10-12月は前年比+3.1%と、2四半期連続で目標の上限を上回って推移している(注1)。また、RBNZによる断続的な利下げ実施も追い風に景気は堅調さを取り戻しているうえ、その後も企業マインドは改善が続くなど景気回復を示唆する動きが確認されている。したがって、RBNZは2025年11月の定例会合で追加利下げを決定する一方、先行きの金融政策を巡って利下げ局面の終了が近いことを示唆したため(注2)、今回の決定はそうした判断に沿った動きと捉えられる。

図表
図表

なお、今回の定例会合は2025年12月に就任したブレマン新総裁の下で開催される初会合であり、今回の決定に加え、先行きの見通しが注目された。会合後に公表した声明文では、物価動向について「目標をわずかに上回るなど短期的な上昇に直面するが、今年7-9月には目標域に戻る可能性が高く、コアインフレの安定も追い風に、中期的に2%近傍に戻る」との見通しを示している。また、景気動向について「負の需給ギャップ(2025年10-12月時点でGDP比▲1.5%)があると推定されるものの、足元の状況は回復途上にある」としたうえで、「過去の利下げが内需を支える形で中期的な内需拡大が見込まれ、政府消費も中期的に緩やかな拡大が続くと見込まれる」との見方を示した。物価見通しについて「短期的には上下双方のリスクはあるが、リスクは均衡している」とする一方、世界経済についても「不透明感が強い」との見通しを示した。その上で、先行きの政策運営について「景気回復が進んでインフレが目標に向けて持続的に低下すれば、徐々に正常化に向かう」一方、「景気が想定通りに推移すれば当面緩和姿勢を維持する可能性がある」、「当面は緩和的であり続ける必要があるとの認識で一致した」とするなど、しばらくは現行水準を維持する可能性を示唆している。ただし、同時に公表した最新のOCRの見通しでは、2025年11月の前回会合時点に比べて利上げ開始時期の前倒しが示唆された。

図表
図表

会合後にオンライン会見に臨んだRBNZのブレマン総裁は、先行きの金融政策について「我々の景気認識に基づく」としたうえで、「年末にも利上げを行う可能性はある」との考えを示した。ただし、「今年10-12月の利上げ実施は見通しに完全には織り込まれていない」としたうえで、「景気回復がより強固なものとなり、インフレ圧力が強まるまでは利上げを計画していない」とした。また、RBNZによる断続的な利下げの効果が期待されるも、このところの不動産価格は改革や規制などの影響を反映して上下に振れるなかで「不動産価格の急上昇は見込んでいない」との見通しを示した。定例会合の回数については「2027年には年8回に増やす予定である」との考えを示した。一方、「RBNZのバランスシートの縮小が続く見込みである」として金融政策の漸進的な正常化を続ける考えをみせた。金融市場においては、2026年内にもRBNZが利上げに動くとの見方が広がりをみせる一方、足元の雇用環境は回復途上であることが確認されており(注3)、当研究所は金融市場における早期利上げ観測は『行き過ぎ』とみていた。今回のRBNZの決定はそうした見方に沿ったものと捉えられるうえ、金融市場の認識に比べて『ハト派』姿勢が強かったと判断できる。このところの金融市場においては、RBNZによる早期利上げ観測に加え、オーストラリア(RBA:オーストラリア準備銀行)がすでに利上げを実施して豪ドル高の動きが進んだことに連れてNZドルも上昇基調を強めてきた。しかし、RBNZが金融市場の想定に比べてハト派に傾いていることもあり、当面のNZドル相場は上値の重い展開をみせる可能性は高いと見込まれる。さらに、このところの金融市場においては円高が意識されやすくなっていることを勘案すれば、当面のNZドルは円に対して下値を探る展開が続く可能性も予想される。

図表
図表

以 上

西濵 徹


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

西濵 徹

にしはま とおる

経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析

執筆者の最近のレポート

関連テーマのレポート

関連テーマ