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2025.12.26
日本経済
物価
物価指標(日本)
消費者物価指数(東京都区部・2025年12月)
~食料品価格の伸びが鈍化。26年2~3月は2%割れの公算大~
新家 義貴

電気・ガス代の前年の裏に加え、食料品価格の鈍化が影響
本日総務省から発表された25年12月の東京都区部消費者物価指数(生鮮食品除く)は前年比+2.3%と、前月の+2.8%から上昇率が大幅に縮小した。市場予想の+2.5%を下回っており、やや弱めの結果である。前月からの鈍化の要因としては、①昨年12月に補助終了の影響で上昇していた裏が出たことで、電気・ガス代が下落に転じたこと、②ガソリン補助金の段階的拡充、③食料品価格の伸び鈍化、などが挙げられ、特に①の要因が大きい(電気・ガス代の前年比寄与度:11月+0.14%Pt→12月▲0.16%Pt)。もっとも、①と②については事前に想定されていたことから、予想下振れの要因としては③の影響が大きいとみられる。食料品はまだかなり高い伸びのままだが、前年比ではピークアウト感が出ている。なお、エネルギー以外のコアコア部分については、日銀版コア(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)が前年比+2.6%(11月:+2.8%)、米国型コア(食料及びエネルギー除く総合)が前年比+1.5%(11月:+1.6%)と、それぞれ前月から鈍化している。米国型コアは概ね前月並みの動きが続いているといって良さそうだが、日銀版コアについては食料品価格の鈍化の影響で緩やかな鈍化傾向にあるように見える。
食料品価格の鈍化が続くも、先行きには不透明感
電気・ガス代は下落に転じた(前年比寄与度:11月+0.14%Pt → 12月▲0.16%Pt)。これは、昨年12月に電気・ガス代補助金の終了により電気・ガス代が大きく上昇していたことの裏が出た影響が大きい(12月分の前月比は▲0.3%と小幅減にとどまる)。
なお、政府は今冬についても再度電気・ガス代補助を復活させることを決めており、26年1~3月(CPIへの反映は2~4月分)に実施予定である(25年も同じ時期に実施)。補助の規模はかなり大きく、補助実施による押し下げ寄与は26年2、3月に▲0.6~▲0.7%Pt、4月に▲0.2%Pt程度とみられる(詳しくは(改定版)電気代・ガス代補助金の家計、物価への影響 ~旧暫定税率廃止と合わせ、CPIコアを瞬間風速で▲0.8~▲0.9%Pt下押しか~ | 新家 義貴 | 第一生命経済研究所)。このことが、26年2~3月のCPIコア2%割れに寄与するだろう。
ガソリン価格は前年比▲6.4%と、11月の▲0.6%から下落幅が大きく拡大した(前年比寄与度:11月▲0.00%Pt → 12月▲0.04%Pt)。ガソリンの旧暫定税率廃止に向けて、ガソリン補助金が段階的に拡充されたことが影響している。
12月の食料品(生鮮除く)は前年比+6.2%(前年比寄与度:+1.52%Pt)と前月の+6.5%(同寄与度:+1.59%Pt)から鈍化した。引き続き非常に高い伸びだが、前年比でみればピークアウト感が出ている状況は変わらない。なお、食料品(生鮮除く)を前月比でみると▲0.3%と1年ぶりのマイナスに転じている。10月に価格引き上げが積極的に実施されたこともあり、11、12月と値上げがやや一服している印象を受ける。
もっとも、食料品価格の先行きについては不透明感が強く、このまますんなり価格が落ち着いていくかどうかははっきりしない。足元の為替動向を踏まえると、企業が再び価格転嫁に積極的になる可能性も十分考えられるところで、特に価格改定期となる来年4月は要注意だろう。食料品価格は前年の裏要因を主因として先行き鈍化傾向が続く可能性が高いが、鈍化のペースについては想定よりも緩やかなものにとどまるリスクに注意しておきたいところだ。
エネルギー以外のコアコア部分については、前述のとおり日銀版コア、米国型コアともやや鈍化した。日銀版コアは食料品価格鈍化によるところが大きい。米国型コアについてはこれまで通り前年比+1%台半ばでの安定的な推移が続いていると見て良いだろう。
26年2、3月に+2%割れの公算大だが、食料品価格に不透明感
本日の東京都区部の結果を踏まえると、1月23日に公表される25年12月の全国CPIコアは前年比+2.3~2.5%程度と、11月の+3.0%から大きく鈍化するだろう。前年の裏の関係で電気・ガス代が下押し要因になるほか、ガソリン補助の拡大、食料品価格の鈍化などが影響するだろう。
その先もCPIコアは鈍化が見込まれる。食料品において昨年の上昇率が高かったことの裏が出ることが今後も下押し要因となることに加え、前述のとおり電気・ガス代補助金の実施によって下押しされることが大きい。26年2~3月にCPIコアは前年比+2%を下回る可能性が高い(食料品価格次第では1月に2%割れの可能性もある)。
一方、懸念されるのが円安による物価上振れリスクだ。今後の為替レートの動向次第では、企業が価格転嫁を積極化させ、値上げが再び加速する可能性も十分ある。その場合、食料品価格の鈍化ペースが想定よりも緩やかなものにとどまり、CPIが思うように鈍化しないという展開も十分ありうるだろう。電気・ガス代補助の額が大きいこともあり、26年2、3月のCPIコア+2%割れの可能性は高そうだが、補助が縮小・終了に向かう4月以降については不透明感が残る状況である。年度替わりである4月に値上げが前年以上に積極化する場合、4月に再び+2%台に戻る展開も考えられる。

新家 義貴
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。