都区部版・日銀基調的インフレ率の試算(2025/11)

~横ばいから鈍化~

星野 卓也

目次

図表
図表

横ばい~鈍化

以前のレポートで試算した①東京都区部版の基調的インフレ率3指標、②日銀が賃金から物価への波及度合いを分析する際に利用した低変動品目CPIについて、本日公表の11月都区部CPIを用いて計算した。

計算値をみると、刈込平均値(全国ウェイト換算)は10月:+2.4%→11月:+2.4%、加重中央値(全国ウェイト換算)は10月:+1.6%→11月:+1.2%、最頻値は10月:+1.6%→11月:+1.4%(いずれも前年比)となった。また、全国版の低変動品目CPIは9月:+1.4%→10月:+1.4%、都区部では10月:+1.8%→11月:+1.8%となった。

加重中央値の低下には生鮮食料品・日用品・家電製品などで下落品目が増えていることなどが影響。最頻値も伸び率を縮小、刈込平均や低変動品目CPIは横ばいだ。分布等に着目したこれらの指標からはインフレ圧力が強まっている印象はない。

一方、足元で高まっているのが市場の予想インフレ率だ。日銀も合成予想インフレ率の推計に利用している5年先・5年インフレスワップは10月末:1.84%→11/27:1.99%(Bloomberg)に上昇。高市政権の財政政策スタンスを織り込んだ動きとみられ、市場の中長期のインフレ期待が2%に達しつつある。12月利上げを市場は織り込みつつあるが、かねてから“2%までもう少し”と説明してきた基調的インフレ率の日銀評価に変化がみられるかも注目である。

図表
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(参考文献)

星野(2023)「東京都区部版・日銀基調的インフレ率の試算」第一生命経済研究所 Economic Trends

星野(2024)「日銀の「第二の力」指標を再現してみた」第一生命経済研究所 Economic Trends

川本・中浜・法眼(2015)「消費者物価コア指標とその特性 — 景気変動との関係を中心に —」日銀レビュー・シリーズ、15-J-11

白塚(2015)「消費者物価コア指標のパフォーマンスについて」日銀レビュー・シリーズ、15-J-12

尾崎・神保・八木・吉井(2024)「賃金・物価の相互連関を巡る最近の状況について」日銀レビュー 2024-J-2

星野 卓也


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星野 卓也

ほしの たくや

経済調査部 主席エコノミスト
担当: 日本経済、財政、社会保障、労働諸制度の分析、予測

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