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2025.10.06
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OPECプラス有志国、11月も10月と同規模(日量13.7万バレル)の増産
~ロシアとサウジで見解に違いも原油安で小幅増産、先行きはバッファー縮小によるリスクにも要注意~
西濵 徹
- 要旨
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- OPECプラスの有志8ヶ国は、5日のオンライン会合で11月の産油量を日量13.7万バレル増産することで合意した。有志国は、昨年実施した大幅な自主減産を4月以降段階的に縮小しており、9月には完全に解除するなど実質増産に動いている。こうした姿勢は価格維持から市場シェア重視に方針がシフトしていることを反映している。一方、10月と11月の増産量は小幅に留まり、過剰供給懸念への配慮がうかがえる。サウジとロシアの間で増産規模を巡る意見の相違があったが、最終的に抑制的な立場で合意形成された。
- 一方、国際原油市場においてはトランプ米政権による対ロ制裁や2次関税の発動などが供給懸念を高めている。こうしたなか、4月以降の段階的増産を受けてOPECプラスによる予備生産能力は減少している。当面は供給過剰を背景に原油価格の上値が重い展開が予想されるものの、予備生産能力の減少による想定外の事態への対応が困難になっており、地政学リスク次第では相場が大きく変動する可能性がある。
主要産油国の枠組みであるOPECプラスの有志8ヶ国(サウジアラビア、ロシア、イラク、アラブ首長国連邦、クウェート、カザフスタン、アルジェリア、オマーン)は、5日に開催したオンラインの閣僚会合において、11月の産油量を日量13.7万バレル増産することで合意した。有志8ヶ国は今年4月以降、昨年実施した日量220万バレルの自主減産を段階的に縮小しており、9月には完全に解除するなど実質的な増産に動いてきた。なお、昨年末にはOPECプラス全体として日量200万バレルの協調減産に加え、有志国による日量166万バレルの自主減産を2026年末まで1年間延長することで合意したものの、今月からは有志国による自主減産を13.7万バレル縮小させている。有志国によるこうした姿勢は、過去数年にわたってOPECプラス全体として価格維持を重視する意思決定をみせてきたものの、市場シェアの確保に軸足をシフトさせていることを意味する。こうしたなか、今回の増産決定はOPECプラスによる市場シェアの確保を一段と重視したものと捉えられる。
ただし、10月と11月の増産幅は日量13.7万バレルと9月(同54.7万バレル)に比べて小幅に留めており、金融市場において過剰供給が懸念されるなか、そうした状況に配慮した判断がなされた。一方で、有志国のうち二大産油国であるサウジアラビアとロシアの間で見解に相違があった模様であり、ロシアは価格下落を抑制すべく10月と同水準(日量13.7万バレル)の増産を、増産能力にゆとりがあるサウジアラビアは大幅増産(報道では同27.4~54.8万バレル)を目指していたとされる。こうしたなか、このところの金融市場においては有志国による大幅増産を織り込む形で国際原油価格が調整する動きがみられたため、最終的にはロシアの意向を反映する形で10月と同水準とすることで意見集約が図られた。そして、今回の決定について先月と同じく「世界経済の見通しが安定していることに加え、原油在庫が低水準であるなど市場のファンダメンタルズが健全であること」を理由に挙げている。さらに、先行きの方針についても、前回同様に「市場環境の変化に応じて段階的、ないし全面的に回復させる可能性がある」として、一段の増産に含みを持たせる考えをみせている。

なお、このところの国際原油価格はトランプ米政権の政策運営に翻弄されている。米国は、ウクライナ戦争の早期終結に向けて、ロシア産原油などロシアからの輸入を拡大させている国に2次関税を課す方針を示した上で、8月末にインドに対する2次関税を発動している。さらに、米国は先月にもイラク産原油を装ってイラン産原油を密輸したことを理由に、イラクとセントクリストファー・ネイビスの国籍を有する実業者が主導する原油供給ネットワークに対して制裁を科した。また、トランプ氏はトルコなどNATO(北大西洋条約機構)加盟国の一部がロシア産原油の輸入を維持していることを問題視しており、その停止を米国の対ロ経済制裁強化の条件とする姿勢をみせている。こうしたなか、主要7ヵ国(G7)はロシア産原油を輸入し続けている国や、迂回を支援する国に対してロシアへの圧力を強める共同措置に動くことを表明するなど、供給の先細りを招くことが懸念される。ここ数年のOPECプラス全体、ないし有志国による減産を受けて、原油の予備生産能力は高止まりしており、原油に関連する地政学リスクが意識される事態が発生した際の原油価格の急騰の動きを和らげることに繋がってきた。しかし、4月以降の有志国による段階的増産により予備生産能力は着実に減少しており、今後中東情勢などに対する懸念が高まる事態となれば、国際原油価格を巡る状況が大きく変化するリスクを孕んでいる。よって、当面は供給過剰が意識される形で国際原油価格は上値の重い展開が続く可能性が見込まれるものの、その後の動向については上下双方に振れることに留意する必要がある。
西濵 徹
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 西濵 徹
にしはま とおる
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経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析
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西濵 徹

