米国 消費、設備投資の上方修正で国内需要は底堅く (25年2QGDP、予測)

~2Qの民間国内最終需要は前期比年率+1.9%(前期+1.9%)を維持~

桂畑 誠治

要旨
  • 25年4-6月期の実質GDP成長率(2次推計)は、前期比年率+3.3%(1次推計+3.0%)と上方修正された。個人消費が同+1.6%(同+1.4%)、設備投資が同+5.7%(同+1.9%)と上方改定され、民間国内最終需要が同+1.9%(同+1.2%)と大幅上方改定となった。政府支出が▲0.2%(同+0.4%)と減少に下方修正されたが、実質国内最終需要は、同+1.6%(同+1.1%)と上方改定された。一方、在庫投資のGDP寄与が同▲3.29%(同▲3.17%)、純輸出のGDP寄与が同+4.95%(同+4.99%)とともに下方修正されたため、実質GDP成長率は同+3.3%(同+3.0%)への上方修正にとどまった。 -前期からの変化をみる。4-6月期の実質GDP成長率(2次推計)は、前期比年率+3.3%(1-3月期▲0.5%)と拡大に転じた。4-6月期の個人消費は、同+1.6%(1-3月期同+0.5%)と加速した。一方、住宅投資は、同▲4.7%(同▲1.3%)と減少幅を拡大した。また、設備投資は、前期比年率+5.7%(同+10.3%)と減速した。以上より、民間国内最終需要は、同+1.9%(同+1.9%)と同率の伸びとなった。実質国内最終需要は、政府支出が同▲0.2%(同▲0.6%)と減少幅を縮小したため、同+1.6%(同+1.5%)と加速した。このような中、在庫投資のGDP寄与が同▲3.29%(同+2.59%)とマイナスとなった。一方、純輸出のGDP寄与が同+4.95%(同▲4.61%)と大幅なプラスとなったため、実質GDP成長率は同+3.3%(同▲0.5%)と拡大に転じた。
  • 25年前半の実質GDP成長率は、1-3月期にトランプ関税で駆け込み輸入が急増した後、4-6月期に急減したため変動が大きくなったが、前期比年率+1.4%と24年後半の同+2.8%から鈍化したほか、実質国内最終需要も同+1.5%(同+3.3%)と鈍化しており、米景気は減速していると判断される。
  • トランプ2.0の関税政策では、4月に10%の相互関税、自動車輸入に対する25%の関税が発動された他、中国からの輸入製品に125%の追加関税が課された。5月は、25%の自動車部品への関税が発動された。6月は、鉄鋼・アルミニウム輸入関税を50%に引き上げた。8月は、50%の銅関税が発動されたうえ、相互関税の上乗せが7日に開始された。
  • 通商協議では、5月に米英が関税引き下げや輸入拡大などを含む通商合意が成立した他、米国と中国双方が115%の関税引き下げ、24%の相互関税上乗せの8月12日までの90日間の停止などで合意した。7月に、ベトナム、インドネシア、フィリピン、日本、EU、韓国と通商合意した。これらの合意では、米国が関税の上乗せを抑制する一方、相手国は米国からの輸入製品に対する関税の撤廃、米国から農作物やエネルギー、航空機等の輸入拡大、米国への投資拡大など、米国が一方的に利益を得られる内容となった。8月には、米国と中国が相互関税上乗せやレアアースなどの輸出制限を再び90日間停止(11月10日期限)することで合意したこと等を受け、不確実性が段階的に和らいでいる。
  • 今後、米中交渉が進展せず、24%の関税が上乗せされる可能性が高いものの、時期が後ずれしたことや、大幅な上乗せ関税を回避した国を経由した迂回輸出が行われることで、価格の異常な高騰や供給停止は回避されよう。ただし、医薬品、半導体、木材、家具、重要鉱物などへの関税賦課が計画されているほか、各国・地域の通商合意の履行が不十分とトランプ政権が判断すれば、相互関税が一段と引き上げられるリスクがある。
  • 年後半の米国では、通商合意による不確実性の和らぎを背景とした設備投資の拡大や、農作物やエネルギーの輸出拡大が期待できよう。一方、これまでの実質金利の上昇や、価格上昇が経済活動の抑制要因になると考えられる。個人消費は、株や不動産などの資産残高の増加が押上げ要因になるものの、雇用・所得の伸び鈍化、価格上昇等を背景に緩やかな伸びにとどまると見込まれ、米経済は潜在成長率(+1.8%程度)を下回る成長に減速する公算が大きい。インフレは、関税賦課の影響が徐々に顕在化するなかで、PCEデフレーターは前年比+3%台半ばに一時的に上昇する可能性が高い。
  • このような環境のもと、FRBは、インフレ加速が一時的との見方を維持するもと、更なる景気減速や労働市場の軟化を回避するために、9、12月のFOMCでそれぞれ25bpの利下げを実施すると予想される。ただし、失業率の大幅な上昇など労働市場が悪化すれば、利下げペースは加速する公算が大きい。
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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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