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2025.08.20
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ニュージーランド中銀、再利下げ決定に加えて追加利下げも示唆
~ホークスビー総裁はNZドル安を容認する考えをみせ、当面は上値の重い展開が続く可能性~
西濵 徹
- 要旨
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- 二ュージーランド準備銀行(RBNZ)は、20日の定例会合で政策金利(OCR)を25bp引き下げて3.00%とし、約3年ぶりの水準にした。昨年以降のインフレ率は目標範囲(1~3%)に収まるなか、物価高と金利高の共存による内需停滞や中国の景気減速も重なり、同国景気はリセッションに陥った。よって、RBNZは断続的な利下げを実施してきた。7月は一時的に利下げを見送ったものの、国際原油価格の伸び悩みや国内外の不透明感を背景に再び利下げを決定した。声明では、「インフレ率は来年半ばに2%近傍へ低下」と見通しを後ろ倒しする一方、追加利下げの可能性も示唆した。議事要旨では、今回の決定が「4(25bpの利下げ)対2(50bpの利下げ)」であったことが明らかにされるなど、今後もさらなる利下げ観測が強まっている。RBNZのホークスビー総裁も「OCR2.5%はさらなる利下げと一致」と述べるとともに、NZドル安を容認する姿勢を示している。よって、先行きのNZドル相場を巡っては上値の重い展開が続く可能性が高まっている。
ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は、20日に開催した定例の金融政策委員会において、政策金利であるオフィシャル・キャッシュ・レート(OCR)を25bp引き下げ3.00%とすることを決定した。この決定によりOCRは約3年ぶりの水準となる。RBNZは昨年8月に約4年ぶりの利下げに転じ、その後も今年5月の定例会合まで6会合連続で利下げを実施した。ニュージーランドはここ数年、物価高に直面してきたが、昨年後半以降のインフレはRBNZの定める目標(1~3%)の範囲内で推移し、落ち着きを取り戻している。さらに、物価高と金利高の共存が幅広く内需の足かせとなるとともに、中国景気の勢いに陰りが出たことで外需も鈍化し、昨年半ばにかけて同国景気はテクニカル・リセッションに陥った。こうした事情がRBNZの断続的な利下げを後押しする一方、RBNZは7月の前回会合で追加利下げの可能性を留保しつつ、短期的な物価上振れを警戒して利下げを一時休止した(注1)。しかし、中東情勢の沈静化などを受けて国際原油価格は上値が重い展開が続く一方、足元の同国経済には国内・外で不透明要因が山積するなか、RBNZは利下げ再開に舵を切った。
上述したように、昨年後半以降のインフレ率はRBNZが定める目標の域内で推移する一方、7月の前回会合では短期的な物価上昇を警戒して利下げを一時休止する判断を下した。しかし、4-6月のインフレ率は前年同期比+2.7%と前期(同+2.5%)から加速し、コアインフレ率も同+2.7%と前期(同+2.6%)からわずかに加速しているものの、ともに目標域内に留まっている。さらに、足元では食料品やエネルギーなど生活必需品を中心に物価上昇の動きが確認される一方、幅広く財価格の上昇ペースは鈍化しており、物価上昇圧力が後退している様子が確認されている。なお、雇用を取り巻く環境は悪化の度合いが強まっているにもかかわらず、サービス物価は上昇ペースが加速して物価への懸念はくすぶるものの、足元の失業率は上昇の動きに歯止めが掛からない様子が確認されており、先行きの物価は頭打ちの様相を強める可能性が高まっている。こうした事情に加え、トランプ関税を巡っては、各国・地域との協議を経て税率がほぼ確定して不透明感が後退しているものの、今後は世界貿易の萎縮が世界経済の足かせとなる懸念はくすぶる。よって、金融市場においてはRBNZが7月会合において追加利下げに留保する考えをみせていたこともあり、今回再利下げに動くとともに、その後も追加利下げに含みを持たせるとの見方が強まっていた。
会合後に公表した声明文では、物価動向について「足元では目標の上限近傍にあるが、先行きは余剰生産能力によるインフレ圧力の後退を受け、来年半ばまでに目標の中央値(2%)近傍に戻る」と前回会合(来年初旬)と比較して時期を半年弱後ろ倒しさせている。一方、景気動向について「世界経済の不確実性や雇用悪化、生活必需品の物価上昇、住宅価格の下落も追い風に4-6月は失速した模様」とした上で、先行きは「上下双方のリスクがある」との見方を示している。その上で、先行きの政策運営について「景気動向を巡るデータの影響を受ける」としつつ、「中期的なインフレ圧力が想定通り緩和し続ければ、OCRをさらに引き下げる余地がある」として、追加利下げに含みを持たせる考えをみせた。また、同時に公表された議事要旨では、「3つの選択肢(据え置き、25bpの利下げ、50bpの利下げ)が協議された」ことを明らかにした上で、今回の決定(25bpの利下げ)について「見通しを巡る上振れリスクと下振れリスクのバランスが取れていること」を挙げるとともに、最終的に「4(25bpの利下げ)対2(50bpの利下げ)」で決定したとしている。そして、RBNZが示した先行きのOCRの見通しは、短期的に一段の利下げに動く可能性を示唆している。また、会合後に記者会見に臨んだRBNZのホークスビー総裁は「OCRの見通しが2.5%に達するのは、さらなる利下げと一致している」とした上で、「その行方はデータ次第」との考えを示している。その上で、足元のOCRの水準について「もはや抑制的ではない」との認識を示すとともに、「これまでの累計250bpの利下げは景気を下支えする」との見方を示している。また、NZドル相場について「調整の動きに満足している」と発言しており、NZドル安を志向している様子がうかがえるなど、当面のNZドルについては上値が抑えられる可能性が高まっている。
注1 7月9日付レポート「ニュージーランド準備銀、追加利下げを留保しつつ利下げを一時休止」
西濵 徹
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 西濵 徹
にしはま とおる
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経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析
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