- 要旨
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- 日経平均株価は先行き12ヶ月42,000円程度で推移するだろう。
- USD/JPYは先行き12ヶ月150円程度で推移するだろう。
- 日銀は利上げを続け、2026年前半に政策金利は1.0%に到達しよう。
- FEDはFF金利を25年末までに4.0%まで引き下げ、その後は様子見に転じるだろう。
金融市場
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前営業日の米国市場は、S&P500が▲0.5%、NASDAQが▲0.7%で引け。VIXは17.9へと上昇。
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米金利カーブはツイスト・フラット化。予想インフレ率(10年BEI)は2.348%(▲1.0bp)へと低下。
実質金利は1.860%(+2.7bp)へと上昇。長短金利差(2年10年)は+48.4bpへとプラス幅縮小。 -
為替(G10通貨)はJPYが最弱。USD/JPYは147後半へと上昇。コモディティはWTI原油が65.2㌦(▲1.1㌦)へと低下。銅は9638.5㌦(▲48.5㌦)へと低下。金は3381.9㌦(+7.5㌦)へと上昇。
経済指標等
- 7月米ISMサービス業は50.1へと0.7pt低下。注目の仕入価格指数は69.9へと上昇し関税インフレの発現を示唆。これらから判断すると、関税負担が企業景況感を悪化させた可能性が浮かび上がるが、類似指標のサービス業PMIはむしろ改善傾向にあり方向感は一致しない。
注目点
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8月5日に6月16-17日の金融政策決定会合の議事要旨が発表された。6月の金融政策決定会合は政策金利の据え置きと、長期国債の買入れ減額計画の修正を決定した会合であり、植田総裁の記者会見では慎重な見通しが示された。
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議事要旨内では、複数の委員の声として「堅調な賃金や若干上振れ気味の物価を念頭に置くと、通商問題が穏当なかたちで推移する見通しになってくれば、現在の様子見モードから脱却し、利上げプロセスの再開を考えることになる」として利上げ再開が模索中であることが示された。7月下旬以降に実現した日本、EU、韓国等との通商合意が「穏当な形」に合致するか否かの判断は難しいとはいえ、日銀(展望レポート)が認識する不確実性の度合いは「きわめて高い」から「高い」に落ち着いており、「穏当」に近づいていること自体は疑いの余地がほとんどない。そうした下、一人の委員は「不確実性の高さを踏まえると、利上げの動きは当面休止する局面と考えられるが、米国の政策動向によって再び利上げ局面へ回帰する柔軟かつ機動的な対応も求められる」として比較的早期の利上げ再開を主張した。そして「インフレが想定対比、上振れて推移する中、たとえ不確実性が高い状況にあっても、金融緩和度合いの調整を果断に進めるべき局面もあり得る」というタカ派な声もあった。過去の情報発信から判断すると、この発言の主は最タカ派として認識されている田村委員である可能性が高い。なお筆者は、田村委員の発言は、政策委員の間で「外れ値」としては認識されておらず、内心で傾聴している委員も多いのではないかと推察している。この見方が正しければ、日銀は利上げ再開を早期に模索し始める。
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通商政策の不透明感が後退する中、市場関係者の予想インフレ率は上昇している。日銀が、トランプ関税が本邦製造業の収益に打撃を与え、賃金上昇率が低下し、それに応じて基調的な物価上昇率が足踏みすると懸念するのをよそに、市場関係者の予想インフレ率はじりじりと上昇を続けている。QUICK月次調査<債券>によれば、今後10年のCPI上昇率は7月に+1.76%となり、2004年の調査開始以来で過去最高を更新。最頻値は7ヶ月連続で2.00%となっており、朧気ながらも2%という数値がアンカーされつつあるようにみえる。米価格の高止まりなど食料品の値上がりが一時的でないとの見方に傾く市場関係者が増加している可能性があるだろう。この点、日銀は展望レポートで食料品価格について「人件費や物流費を販売価格に転嫁する動きも相応に影響しており、企業の賃金・価格設定行動次第では、価格上昇が想定以上に長引く可能性もある」と指摘していた。
- そうした下で、予想ターミナルレート(今次利上げ局面における政策金利の最終到達点)の代理指標である2年先1年金利は1%程度で推移している。7月金融政策決定会合後の記者会見で植田総裁が次回の利上げ時期について一切の言質を与えなかったことで利上げ観測がやや後退したものの、政策金利の1%到達(2回の追加利上げ)が市場参加者の中心的な予想であることに変わりはない。

- 筆者は次回の利上げが10月までに実施される可能性が高いと判断している。9月19日と10月30日のどちらになるかは微妙なところだが、9月はその直前にFOMC(17日)で利下げが決定される可能性があり、その直後に利上げを実施すると、金融市場のボラティリティを増幅してしまう懸念がある。様式美の観点から展望レポートが公表される10月が選好される可能性が高いと予想する。
藤代 宏一
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