米国 1Qマイナス成長も2Qはプラス成長へ (25年1QGDP:2次推計、予測)

~設備投資が大幅増も個人消費が暴風雪で急減速~

桂畑 誠治

要旨
  • 25年1-3月期の実質GDP成長率(2次推計)は、前期比年率▲0.2%と1次推計の同▲0.3%から小幅上方改定された。ただし、個人消費、住宅投資が下方改定されており、1次推計値よりも経済の実態は減速していたことが示された。

  • 需要項目では、設備投資が同+10.3%(1次推計同+9.8%)と上方改定された一方、個人消費が同+1.2%(同+1.8%)と下方修正された。また、住宅投資は、同▲0.6%(同+1.3%)とマイナスに下方修正された。これらの結果、民間国内最終需要は、同+2.5%(同+3.0%)と下方改定された。実質国内最終需要は、政府支出が同▲0.7%(同▲1.4%)と上方修正されたものの、同+2.0%(同+2.3%)への下方改定となった。純輸出のGDP寄与が、同▲4.90%(同▲4.83%)と下方改定された一方、在庫投資のGDP寄与が同+2.64%(同+2.25%)と上方改定されたため、実質GDP成長率は同▲0.2%(同▲0.3%)と小幅の上方改定となった。

  • 前期からの変化では、1-3月期の実質GDP成長率(2次推計)は、前期比年率▲0.2%(10-12月期同+2.4%)と22年1-3月期の同▲1.0%以降で初めてマイナス成長となった。もっとも、1-3月期は、関税賦課前の駆け込みによる輸入の急増や、暴風雪による個人消費の一時的な下振れの影響でマイナス成長となった他、民間国内最終需要は設備投資の拡大によって前期比年率+2.5%成長と堅調さを維持しており、米経済が急激に悪化したわけではない。

  • 1-3月期の個人消費は、同+1.2%(10-12月期同+4.0%)と1月の暴風雪による縮小や、昨年末に販促等によって高い伸びとなった影響で減速した。自動車などの耐久財が減少に転じた他、非耐久財、サービスが鈍化した。また、住宅投資は、悪天候や建設業者のマインドの悪化等によって同▲0.6%(同+5.5%)と減少に転じた。一方、設備投資は、情報化投資の拡大や民間航空機メーカーなどのストライキ終了で、前期比年率+10.3%(同▲2.9%)と増加に転じた。

  • 以上より、民間国内最終需要は、同+2.5%(同+2.9%)と減速したものの高い伸びを維持し、民間需要の堅調さを示した。実質国内最終需要は、政府支出が連邦政府の民間企業への発注の見送りなどの支出削減を背景に同▲0.7%(同+3.1%)と失速したことで、同+2.0%(同+3.0%)と減速幅が大きくなった。このような中、関税賦課に備えた在庫積み増しによって、在庫投資のGDP寄与が同+2.64%(同▲0.84%)とプラスとなったものの、関税賦課前の駆け込みによる輸入の急増を背景に、純輸出のGDP寄与が、同▲4.90%(同+0.26%)と大幅なマイナスとなったため、実質GDP成長率は同▲0.2%(同+2.4%)と失速した。

  • 米国の経済成長の基調をみると、3四半期移動平均で1-3月期の実質GDPは前期比年率+1.7%(前期同+2.8%)と減速したが、実質国内最終需要が前期比年率+2.9%(前期同+3.1)と高い伸びを続けており、米経済は1-3月期も堅調さを維持していたと判断される。 ー 今後に関して、4-6期に不確実性の高まりで設備投資は鈍化すると予想される。一方、輸入はトランプ関税発動前の急増の反動によって減少に転じ、GDPを押し上げると見込まれる。また、個人消費は、価格上昇の影響を受け減速するものの、3月に高い伸びとなったことで、4-6月期に+2%台半ば程度に加速すると予想される。このため、4-6月期の実質GDPは前期比でプラス成長になると見込まれる。

  • 年後半には、通商合意による不確実性の弱まりを背景に、設備投資の緩やかな拡大が予想される。また、個人消費は、資産残高の増加、借入コストの低下にもかかわらず、雇用・所得の伸び鈍化、価格上昇等を背景に伸びが抑制され、米経済は潜在成長率を下回る成長に減速する公算が大きい。

  • この間の金融政策について、パウエルFRB議長は、関税賦課によるインフレへの影響が短期的、持続的のどちらになるか、最終的には長期的なインフレ期待をしっかりと維持できるかにかかっていると認識しており、タカ派的な姿勢を維持するとみられる。関税政策の不確実性が強い8月まで様子見を続け、9月以降に数回の利下げを実施すると見込まれる。ただし、景気が大幅に減速したり、労働市場が大幅に軟化したりすれば、利下げを前倒しする可能性がある。

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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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