株高不況 株高不況

増加した台湾の輸出受注 駆け込み需要以外も強い?

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均株価は先行き12ヶ月39,000円程度で推移するだろう。
  • USD/JPYは先行き12ヶ月150円程度で推移するだろう。
  • 日銀は半年に一度の利上げを続け、2026年1月までに政策金利は1.0%に到達しよう。
  • FEDはFF金利を25年末までに4.0%まで引き下げ、その後は様子見に転じるだろう。
目次

金融市場

  • 前営業日の米国市場は、S&P500が▲0.0%、NASDAQが+0.3%で引け。VIXは20.3へと低下。

  • 米金利はカーブ全般で金利低下。予想インフレ率(10年BEI)は2.363%(▲0.1bp)へと低下。実質金利は2.156%(▲7.0bp)へと低下。長短金利差(2年10年)は+53.4bpへとプラス幅縮小。

  • 為替(G10通貨)はUSDが堅調。USD/JPYは144近傍へと上昇。コモディティはWTI原油が61.2㌦(▲0.4㌦)へと低下。銅は9500.5㌦(▲33.0㌦)へと低下。金は3295.0㌦(▲18.5㌦)へと低下。

図表1-4
図表1-4
図表1-4
図表1-4

経済指標等

  • 4月米中古住宅販売件数は前月比+2.0%、400万件となった。販売価格の上昇率は鈍化してきたものの、住宅ローン金利が高止まりする中、リーマンショック時のボトム付近での推移が続いている。実際の販売に1~2ヶ月の先行性を有する販売成約指数は停滞しており、当面は反発が見込まれない。

図表5
図表5

  • 5月米製造業PMIは52.3へと2.1pt上昇。悪化を見込んでいた市場予想に反して景況感は改善し、ISM製造業景況指数の改善にも期待を持たせる結果であった。なお調査期間は5月12~22日であり、調査票は5月12日の米中暫定合意の後に集計されている。ヘッドラインを構成する5つの項目は、生産(49.6→50.7)が50を回復し、新規受注(50.8→53.3)が伸長、雇用(49.4→49.6)も小幅改善となった。サプライヤー納期(52.6→53.8※数値上昇が納期長期化を意味するように筆者が公表値を符号調整)は長期化し、購買品在庫(48.4→56.7)は著しく増加した。生産と新規受注の上昇は、米国が英国と中国に対して通商交渉で暫定合意に達したことで不透明感が後退した可能性が指摘できる。ヘッドライン構成項目外では仕入価格と販売価格の著しい上昇基調が継続。全ての貿易相手に対する相互関税10%が仕入・販売の双方に影響を与えた可能性が濃厚。少なくとも初期反応として関税はインフレ的と理解される。サービス業PMIも改善した。ヘッドラインは52.3へと1.5pt改善し、新規受注も52.2へと0.4pt上昇した。販売価格は58.5へと5.5ptの急伸。サービス業PMIは小売業を調査対象としていないため、この指標からは、消費者段階にどれだけインフレが波及したかは判然としないものの、少なくとも企業段階において関税負担が価格転嫁された可能性が高い。もっとも、実務上、注文から米国への入着まで数ヶ月を要する取引も多いと推察される。5月12日の米中暫定合意が5月データにどれだけ反映されていたかを含め、6月以降のデータに今後期待される通商交渉の合意がどのタイミングで反映されるかは幅を持って解釈する必要がある。
図表6-9
図表6-9
図表6-9
図表6-9

注目点

  • 筆者が定点観測する台湾の輸出受注は4月に前年比+19.8%と3ヶ月連続で2桁の増加。前年比伸び率は2024年央に足踏みした後、2025年入り後は明確な加速傾向にある。品目別では電子製品が前年比+35.0%とはっきりと加速し、情報通信技術製品も同+20.0%と大きく伸びた。これらは輸出受注全体の約6割を占める。報道によれば4月の受注増加の背景には米国向けの駆け込み需要があったと言い、実際に米国からの受注は同+30.3%と鋭く伸びた。まだ詳細が発表されていない半導体関連製品の関税発動を控えた動きがあるのかもしれない。もっとも、受注から米国への入着までに要する時間を踏まえると、輸出受注が本当に企業の機敏な対応によって押し上げられたのかは疑問が残る。通商交渉の帰趨を見極めるまで様子見を続けたいという企業も多いと推察されることから、4月の段階における駆け込み需要の存在はやや疑いの目を持った方が良いかもしれない。そうなると、実勢として需要が強まっている可能性があるだろう。事実、関税影響が直接関係しないはずの日本からの受注も同+16.3%、欧州からも同+10.5%と伸び、中国からも同+5.7%とそれぞれ増加基調にある。輸出受注の力強さは、4月製造業PMIの弱さと整合しないなど多くの謎が残るが、今後の可能性として輸出受注(半導体需要)が加速を続ける展開は想定しておいた方が良いだろう。なお、5月22日に発表された日本の5月製造業PMI速報値は49.0へと0.3pt改善した。2025年入り後、非線形な変化は確認されておらず、現時点で関税影響はマクロ的な動きには至っていない。また、4月に発動済みの自動車関税および全貿易相手国に対する10%を、輸出価格の引き下げによって相殺する動きから「販売価格」が急低下する事態も観察されていない。
図表10-14
図表10-14
図表10-14
図表10-14

藤代 宏一


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