- 要旨
-
-
日経平均株価は先行き12ヶ月57,000円程度で推移するだろう
-
USD/JPYは先行き12ヶ月155円程度で推移するだろう
-
日銀は利上げを続け、政策金利は26年7月に1.0%、27年7月に1.5%超となろう
-
FEDはFF金利を26年9月に3.5%まで引き下げた後、様子見に転じるだろう
-
-
3月米雇用統計は利下げ観測の後退を招いたものの、全体としては景気後退の不安を和らげる結果であり、筆者は前向きに受け止めた。「強すぎる」雇用統計は労働市場がひっ迫し、インフレ圧力が高まっている局面においては、Fedが金融引き締めを選択せざるを得ないことから「Good News is Bad News」となるが、現在はそうした環境にはない。なお、3月以降の原油高は3月雇用統計にほとんど関係していないとみられる。雇用統計の調査基準日は12日を含む週であり、原油高が発生してから2週間程度しか経過していない段階である。労働市場の流動性が高い米国といえども、雇用の量的調整が実施されたとは考えにくい。
-
雇用者数は前月比+17.8万人と市場予想(同+7.8万人)を大幅に上回った。一見すると、労働市場の急激な改善を示す数値であるが、これは2月に急減した反動と捉えるのが自然であろう。年初来の大幅な変動は、寒波などの季節要因が除去できていない可能性が高い。2026年入り後の労働市場は実体としてほとんど変化していないとみられる。なお、大幅な下振れが常態化していた過去分の修正は、2月が▲13.3万人へと4.1万人の下方修正の一方、1月は+16.0万人へと3.4万人の上昇修正となり、累積で0.7万人の下方修正に留まった。雇用者数変化の3ヶ月平均値は同+6.8万人、6ヶ月平均値は同+1.5万人と小幅ながらプラス圏に回帰した。
-
業種別にみると、教育・ヘルスケアが前月比+9.1万人と増加に転じ、圧倒的な寄与となった。その他では宿泊・飲食が同+4.4万人、建設が同+2.6万人、運輸・倉庫が同+2.1万人、製造業が同+1.5万人とそれぞれ増加した。反対に金融が同▲1.5万人、ITが同▲0.3万人と弱さがみられた。雇用増をけん引した教育・ヘルスケアは景気に敏感な職種でないことから、労働市場の強さを論じる文脈ではその増加は、割り引くべきという評価が多く、筆者もそう判断している。もっとも、個人消費を論じる文脈では個人消費の源泉となる賃金がどの職種に支払われたのかは、さほど問題にはならない。
-
失業率(U3失業率)は4.26%へと0.19%pt低下した。人種別では、黒人が7.1%へと0.6%pt低下したほか、アジア系が3.7%へと1.1%ptもの低下となった。この間、白人の失業率は3%台後半で大きな変化はなく、こうした状況はK字型経済を象徴する。もっとも3月は、失業者を広義の尺度で捉えて算出するU6失業率、すなわちフルタイムの職が見つからず止む無くパートタイム勤務に従事している人等を失業者と見なす基準では8.0%(前月7.9%)へと僅かに上昇した。またU3失業率の低下は、労働参加率が61.88%へと0.17%ptも低下したことによって下押しされており、必ずしも労働市場の改善を意味していないことに注意が必要である。
- 平均時給は前月比+0.2%となり、前年比では+3.5%へと減速した。前年比伸び率は2021年以来の低水準であり、賃金インフレの完全収束を象徴する結果である。瞬間風速を示す3ヶ月前比年率(3ヶ月平均)でみても+3.5%と減速基調にある。この間、週平均労働時間は34.2時間と過去2年程度のレンジ下限となり、この結果、民間名目総賃金(就業者数×時給×労働時間)は前年比+3.9%へと減速した。
- 3月雇用統計は強弱区々の結果となった。決して強い数値ではないものの、悪化・軟化に歯止めがかかったか否かを点検するという、低い目線で評価すれば、及第点に近い結果であったように思える。また賃金インフレが抑制されている点は、Fedの自由度を高める。様々な点において好感すべきデータであろう。
藤代 宏一
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一ライフ資産運用経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。










