米国 トランプ2.0発足直後にマイナス成長へ (24年4QGDP:3次推計、予測値)

~25年1-3月期の成長率は輸入の急増等により一時的に失速~

桂畑 誠治

要旨
  • 24年10-12月期の実質GDP成長率(3次推計)は、前期比年率+2.4%(2次推計同+2.3%)と上方改定され、市場予想同+2.3%を上回った(筆者予想同+2.3%)。住宅投資が前期比年率+5.5%(同+5.4%)、設備投資が同▲3.0%(▲3.2%)と小幅上方修正された一方、個人消費が同+4.0%(同+4.2%)と下方修正されたため、民間国内最終需要は同+2.9%(同+3.0%)と下方改定となった。実質国内最終需要は同+3.0%(同+3.0%)と変わらずとなった。さらに、在庫投資のGDP寄与が同▲0.84%(同▲0.81%)と下方修正された一方、純輸出のGDP寄与が同+0.26%(同+0.12%)と上方修正されたため、実質GDP成長率は同+2.4%に上方改定となった。

  • 前期比からの動きでは、10-12月期の実質GDP成長率(3次推計)は、在庫投資の押し下げによって前期比年率+2.4%(7-9月期同+3.1%)と減速したが、潜在成長率と推測される同+1.8%を上回る成長を維持した。また、設備投資が先行き不透明感から減少に転じたものの、個人消費が同+4.0%(同+3.7%)と加速し高い伸びとなっており、トランプ2.0発足前の米国経済は堅調さを維持していた。

  • 10-12月期の設備投資は、大統領選による政策の先行き不透明感の高まりや民間航空機メーカーなどのストライキの影響で、前期比年率▲3.0%(7-9月期同+4.0%)と減少に転じた。一方、個人消費は同+4.0%(同+3.7%)と高い伸びに加速した。非耐久財が鈍化したものの、サービスが小幅加速した他、自動車などの耐久財が大幅に加速した。個人消費は、良好な雇用・所得環境、株価や住宅価格の上昇による資産効果、消費者マインドの安定等を背景に、拡大ペースを速めた。また、住宅投資はハリケーン被害の復興需要、建設業者のマインドの改善等によって同+5.5%(同▲4.3%)と増加に転じた。以上より、民間国内最終需要は、同+2.9%(同+3.4%)と減速も高い伸びを維持し、民間需要の好調持続を示した。このような中、純輸出のGDP寄与が、輸入の減少によって同+0.26%(同▲0.43%)と4四半期ぶりのプラス寄与となったものの、在庫投資のGDP寄与が同▲0.84%(同▲0.22%)とマイナス幅を拡大したため、実質GDP成長率は同+2.4%(同+3.1%)と減速した。

  • トランプ2.0発足直後の米国では、暴風雪などの悪天候の影響で経済活動が抑制された中、トランプ2.0での不確実性の高まりを受け、経済活動に悪影響が及んでいる。トランプ関税では、2月に、中国からの輸入製品に対して10%の関税が賦課された。3月には、中国からの輸入製品に10%、カナダ、メキシコからの一部の輸入製品に25%の関税が賦課されたほか、鉄鋼・アルミ製品の輸入に25%の関税が課された。また、4月初からの相互関税の発動や自動車の輸入に対する25%の関税賦課の開始が予定されているうえ、銅、医薬品、半導体などへの関税賦課も計画されている。他の政策では、連邦政府の民間企業への発注の見送りや、不法移民の取り締まりの強化などが行われている。これらの政策が、不確実性を高め、設備投資や採用の先送り、駆け込み輸入など企業行動に大きな影響を及ぼしている。

  • このような情勢の中、25年1-3期の米国経済は、ストの終了などによって設備投資の増加や、関税賦課の影響回避のための在庫投資の拡大が見込まれる。一方、個人消費は暴風雪で1月に減少した影響もあり大幅に減速しているほか、住宅投資は悪天候で減少に転じ、国内最終需要は減速すると予想される。さらに、関税賦課の影響を抑えるための輸入急増を背景に、純輸出が前期比年率▲2.8%p程度GDPを押し下げる可能性が高い。以上より、トランプ2.0が発足した1-3月期の実質GDP成長率は、前期比年率でマイナスに転じると見込まれる。

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桂畑 誠治

かつらはた せいじ

経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済

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