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2025.03.13
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~その18:テクニカル分析の基本①ローソク足とトレンドライン~
嶌峰 義清
- 要旨
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- テクニカル分析は、市場の値動きをグラフにしたチャートの形状などから、投資のタイミングなどを計る分析手法で、多くの投資家が利用している。
- ここでは、市場価格の値動きをグラフにしたローソク足チャートとトレンドラインという、チャートを見るうえで最も基本的なことを解説する。
過去のパターンや相場のトレンドから先行きを予測するテクニカル分析
これまで市場の分析に当たっては、株価や為替の値を理論的な側面やファンダメンタルズ(経済状況)から計る「ファンダメンタルズ分析」について述べてきた。一方で、多くの投資家が運用を行うに当たって利用しているものに「テクニカル分析」と呼ばれるものがある。
テクニカル分析とは、相場の値動きを示すグラフ(一般的にチャートと呼ばれる)の形状から、先行きの値動きを予測し、売買のタイミングを計るものだ。チャートで用いられるグラフは、一般的な折れ線グラフ(ラインチャート)ではなく、ローソク足チャートやバーチャートと呼ばれるものが主流だ(ローソク足チャートは日本で、バーチャートは欧米で一般的)。これらは、一定期間内(例えば一日とか一ヶ月など)の相場の始値と高値、安値、終値(これらを併せて四本値という)を示すことができるため、ラインチャートなどに比べて情報量が多いことが特徴だ。
こうした値動きを示すチャートに、トレンドラインや移動平均線、標準偏差のラインを加えるなどして、相場のトレンドや相場の先行きを予測して売買のタイミングを計るものがテクニカル分析と呼ばれるものだ。相場のチャートは、証券会社などのホームページにも掲載されているほか、相場データを入手できれば、パソコンなどを用いて自分で分析することも可能だ。
テクニカル分析は、プロの投資家の中にも相場を動かす可能性のある様々な情報(たとえば「金融政策が変更された」とか「業績を上方修正した」など)をも無視してチャートの形状のみで運用を行う人も存在すると言われている。実際、市場を動かす要因は数多くあり、それらが複雑に絡み合って価格が上下すると考えられるが、そうした情報を全て的確に把握し、分析することは困難だ。しかし、“数多ある情報を全て内包した上で価格が形成されている”と考えれば、チャート分析にも一定の理があるといえよう。ただし、テクニカル分析で得られる相場変動の“サイン”が必ずしもその後の相場の動きをピタリと当てるとは限らない。相場の世界で“ダマシ”と呼ばれる誤ったシグナルも多々あることを十分理解しておく必要がある。
チャートの基本①:ローソク足
テクニカル分析を行う前に、相場の値動きを示す“独特の”グラフであるローソク足チャートを理解する必要がある。
ローソク足は、日本の資産運用の世界では最もなじみのあるチャートで、その見た目からこの名がついた(図表1)。一つのローソクには始値、高値、安値、終値の四本値が全てわかるような構造となっている。日足(ひあし:一日の価格変動)であれば一つのローソクにその日の四本値が記されている。同様に週足であれば一週間の、月足であれば一ヶ月の四本値が一つのローソクに記される(月足であれば、その月の始値と月間の高値と安値、その月の終値が記される)(図表2)。
ローソク足には白いローソクと黒いローソク(黒以外の色で表記される場合も)がある。白いローソクは、終値が始値よりも高い場合で“陽線(ようせん)”という。一方、黒いローソクは終値が始値よりも低い場合で“陰線”という。多くの場合、陽線は上昇、陰線は下落となる(始値より終値が安くなったため陰線となっているものの、前日終値よりも高い(前日比では上昇した)場合やその逆のケースもある)。
ローソク足の四角い部分は“実体”とよばれ、陽線では実体の上辺が終値、下辺が始値となり、陰線では逆に上辺が始値、下辺が終値となる。実体から上に伸びている線が“上ヒゲ(うわひげ)”、下に伸びている線が“下ヒゲ”とよばれ、上ヒゲの先が高値、下ヒゲの先が安値となる。


ローソク足チャートは、一定期間の四本値が全て把握できるため、その形状から市場の“雰囲気”を感じ取ることも可能だ(たとえば上ヒゲも下ヒゲも無い陽線であれば、一本調子に価格が上昇したことを示しており、非常に強気な展開だったことがわかる)。そのため、ローソクの形状などから先行きの展開を予測する手法もあるが、その解説は別の機会に譲る。
チャートの基本②:トレンドライン
トレンドラインとは、ローソク足チャートの高値や安値を結んだ線のことで、相場の方向性や高値や安値のメドを探る手法として活用される。トレンドラインには、ライン(線)の引き方によっていくつかの種類がある。
図表3は図表2でも取り上げた2025年2月(2/3~2/28)の日経平均株価の日足チャートに、2本のトレンドラインを書き入れたものだ。

■トレンドライン1:サポートライン
図表3の赤い線は2/3と2/13の安値(ローソク足の下ひげの先)を結んだ線だ。上昇トレンドのもとでの安値を結んだ線を「サポートライン」といい、右肩上がりの形状となる。サポートラインでは、上昇トレンドの相場が一時的に下落しても、このライン付近で切り返して上昇することがみられる。相場の下値を支える線ということで、サポートラインは「下値支持線」とも呼ばれる。実際、2/17の安値はこのサポートラインとほぼ接しており、この水準で相場が切り返したことを示している。一方で、相場がサポートラインを切り下がると、相場のトレンドが下落方向に変化することが多いとされている。図表3では、2/19には安値がサポートラインを割り込んだものの、終値ベースではサポートラインの上の水準を維持した。しかし、翌2/20は始値の段階からサポートラインの水準を割り込み、その後下落基調が続く形となっている。
■トレンドライン2:レジスタンスライン
一方、図表3の青い線は2/18と2/27の高値(ローソク足の上ひげ)を結んだ線だ。このような下落トレンドにおける高値を結んだ線は「レジスタンスライン」と言われ、右肩下がりの形状となる。レジスタンスラインでは、下落トレンドの相場が一時的に上昇しても、このライン付近で押し返されて下落することがみられる。相場の上値を抑える線ということで「上値抵抗線」とも呼ばれる。一方で、相場がレジスタンスラインを超えることができれば、上昇トレンドに転換することが期待される。
■トレンドライン3:チャネルライン
チャネルラインは、ローソク足の高値を結ぶ線(レジスタンスライン)と、安値を結ぶ線(サポートライン)の二本が平行になるもので、形成されたチャネル(二本の線の中)で相場が推移する(図表4)。チャネルには上昇トレンドを描く上昇チャネル、下降トレンドを描く下降(下落)チャネル、横ばいで推移する平行チャネル(レンジ相場)がある。チャネル内では高値を結んだライン付近で相場は下落に転じ、安値を結んだライン付近で上昇に転じることで、上昇と下降を繰り返しながらの展開が続く。

チャネル内での相場展開が続く場合は、チャネルの下限付近で買い付け、上限付近で売却することで運用益を得ることも可能だ。しかし、こうしたチャネル内での推移がいつまでも続くわけではない。相場環境の変化(景気への判断の変化、政治や国際情勢の変化、企業など投資対象固有の変化など)によって、いつかは“チャネルの外”に価格が逸脱するときが来る。
一般的には、チャネル上限となるレジスタンスラインを超えればしばらくは上昇トレンドが続き、逆にチャネル下限となるサポートラインを切り下がればしばらくは下落トレンドが続くと言われている。
■トレンドライン4:三角持ち合い
三角持ち合い(さんかくもちあい:三角保ち合いと表記する場合も)は、右肩下がり(下向き)のレジスタンスラインと右肩上がり(上向き)のサポートラインに挟まれて、価格変動が徐々に収束していく相場展開を指す(図表5)。レジスタンスラインとトレンドラインはいつかは収束する(交わる)ため、その形状から三角持ち合いと呼ばれている。

三角持ち合いが形成された場合、相場の変動は徐々に収束していくものの、レジスタンスラインとサポートラインはどこかで重なるため、いずれは上下どちらかにレンジを逸脱する。逸脱した場合、その方向に向かうトレンドがしばらく続くことが多いとされている。一般的には三角持ち合いは1~3ヶ月程度続くことが多く、中期的な相場のトレンド転換を示唆すると言われている。
なお、三角持ち合いには、①レジスタンスラインとサポートラインの角度が比較的大きい、②レジスタンスラインはほぼ横ばいで、サポートラインの角度が大きい、③レジスタンスラインの角度が大きい一方、サポートラインはほぼ横ばい、の3つのパターンがある(図表6)。
このうち、①では相場は最終的に上下どちらに振れるかわからないものの、②ではレジスタンスラインを上抜けて上昇(上放れ:うわばなれ)、③ではサポートラインを下抜けて下落(下放れ:したばなれ)するケースが多いと考えられている。②の場合、下値水準が徐々に切り上がっていることは、高い価格でも買いを入れる投資家が増えていることを示しているため強気相場になりやすく、逆に③の場合は上値水準が徐々に切り下がっているため、安い価格でも売りを入れる投資家が増えているため弱気相場になりやすいと考えられる。

嶌峰 義清
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

