- 要旨
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- 日経平均株価は先行き12ヶ月43,000円程度で推移するだろう。
- USD/JPYは先行き12ヶ月155円程度で推移するだろう。
- 日銀は半年に一度の利上げを続け、2026年1月までに政策金利は1.0%に到達しよう。
- FEDはFF金利を25年末までに4.0%まで引き下げ、その後は様子見に転じるだろう。
金融市場
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前営業日の米国市場は、S&P500が+0.2%、NASDAQが+0.1%で引け。VIXは15.4へと低下。
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米金利はカーブ全般で金利上昇。予想インフレ率(10年BEI)は2.456%(+1.6bp)へと上昇。
実質金利は2.092%(+5.8bp)へと上昇。長短金利差(2年10年)は+24.1bpへとプラス幅拡大。 -
為替はUSDが全面高。USD/JPYは152半ばへと上昇。コモディティはWTI原油が71.9㌦(+1.1㌦)へと上昇。銅は9472.0㌦(+76.5㌦)へと上昇。金は2931.6㌦(+48.0㌦)へと上昇。
経済指標
- 2月NY連銀製造業景況指数は+5.7となり、1月の▲12.6からプラス転化。ウェイトを調整しISM製造業に換算した数値は53.6と4ヶ月連続で50を上回った。20日に発表されるフィラデルフィア連銀製造業景況指数も上昇傾向を維持すれば、2月の米ISM製造業が1月の50.9から更なる改善を遂げる可能性が高まる。

- 2月NAHB住宅市場指数は42へと低下。木材をはじめとする建材の関税引き上げが警戒された他、住宅ローン金利の高止まりが重荷になったとみられる。なお、Fedの利下げについてウォーラー理事は「過去数年間にわたり、年初にインフレ率が高めの数字となる一定のパターンが見受けられる」として季節調整の歪みを疑い、その上で「25年(のインフレ率)が24年と同じ展開となれば、年内のある時点で利下げが適切になるだろう」とした。もっとも「いずれにせよ、現時点の利下げをデータは支持していない」として3月FOMCにおける利下げに距離を置いた。

注目点
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2月18日、日本の10年金利は2009年11月以来、約15年ぶりの水準となる1.43%に到達。インフレ率が高止まりする中、日銀の連続利上げが意識されていることが主背景。
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同じ1.4%でも現在と15年前は多くの相違点がある。端的に言えば15年前は「下り坂」、現在は「上り坂」となる。奇しくも2009年11月は政府(内閣府の月例経済報告)がデフレを宣言した時期であった。
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15年前の経済環境は、2008年のリーマンショックに端を発する金融危機は最悪期を脱したものの、欧州ではギリシャ危機が表面化するなど世界経済の足腰は弱い時期であった。日本経済は緩慢ながらも回復に向かっていたが、リーマンショックの後遺症が残る中、円高による製造業の打撃がきつい時期であり、日経平均株価は2009年3月を大底とするリバウンド局面が終了。2010年春から夏にかけて1万円を割れて推移した。USD/JPYは90円台から80円台に向けて円高が進んだ。金融政策は2009年後半に「危機対応モード」から「正常モード」への移行を模索する場面もあったが、2009年11月に政府がデフレ宣言をしたこともあって、2010年入り後は緩和路線を突き進み、2010年10月にはETF購入を含む「包括的な金融緩和政策」を導入するに至った。
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ここで市場参加者が予想する「今後10年の平均CPIコア(生鮮食品を除いたベース、消費増税要因を含む、調査回答の平均値)」に目を向けると、2025年1月調査は+1.64%まで上昇している。2022年のロシアによるウクライナ侵攻をきっかけとする上昇が現在も続いており、中央値でみれば+1.70%まで水準を切り上げている。現在のインフレは、人手不足という構造的かつ不可逆的要因に由来する人件費増加によって押し上げられており、粘着性を帯びている。それに対して15年前、当時の市場参加者が予想していた今後10年間の平均CPIは0.6%台であり、しかも数値は低下傾向にあった。デフレ(ディスインフレ)が警戒されていた15年前と決定的に異なる。
- 大きな相違点としては需給ギャップも重要。15年前は、団塊の世代の大量退職問題など人手不足問題は意識されていたものの、「女性と高齢者」の労働参加率が現在より低く、潜在的な労働力はそれなりに存在していた。事実、2013年からの就業者数増加に大きく貢献したのは女性と高齢者であり、これは企業側からみれば「安価な労働力」が豊富に存在していたことを意味する。需給ギャップに目を向けると、15年前はどの尺度でみてもマイナス領域にあった。当然、こうした労働力のプールが枯渇するまで賃金上昇圧力は限定的となる。翻って現在は空前の人手不足が供給制約となり、賃金上昇圧力として作用していることは常識になっている。現在も日銀や内閣府が推計する需給ギャップはマイナスであるが(昨日の当レポートでも指摘したとおり)、日銀は極度の人手不足によって、最近の需給ギャップが過小推計である可能性を認めている。この間、日銀短観の調査項目である雇用人員判断、生産・営業用設備判断DIを合成した「短観加重平均DI」は需給の明確な引き締まりを示しており、15年前と大きく異なっている。
- 金利水準は同じでも、15年前はインフレ率が現実・予想ともに低く、需給ギャップはマイナスで日本経済は「余剰」を抱えていた。こうした変化に加え、足元では日銀が長期国債の買入れ減額を進めていることを踏まえると、当面の長期金利は上昇圧力がかかりやすいと考えられる。
藤代 宏一
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