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2025.01.24
アジア経済
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トルコ中銀は2会合連続の利下げ、「引き締め度合い」が政策のカギに
~当面は実質金利をみながら調整幅を決定の模様、リラ相場はじり安局面が続く可能性に要注意~
西濵 徹
- 要旨
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- トルコ中銀は23日の定例会合で2会合連続の利下げに動き、政策金利を45%とする決定を行った。同行は先月の定例会合で現行の経済チームの下で初の利下げに動いたが、緩和姿勢を強めている。経済チームの下で財政、金融政策の両面で引き締め姿勢を強めた結果、インフレは鈍化して実質金利はプラスに転じ、景気も頭打ちしている。よって、中銀は物価安定を図る一方で景気に配慮すべく緩和姿勢を強めていると捉えられる。ただし、先行きの政策運営に当たって中銀はインフレ鈍化を促すべく引き締め度合いを調整する考えを示しており、当面は実質金利のプラス幅をみつつ利下げ幅を決定すると見込まれる。他方、米トランプ政権の政策運営に加え、隣国シリア情勢を理由にリラ相場はじり安の動きが続くなか、円に対してはドル/円相場の動きが重石になる展開をみせており、当面は上値が抑えられる可能性に要注意と言える。
トルコ中銀は、23日に開催した定例の金融政策委員会において、政策金利である1週間物レポ金利を250bp引き下げて45.00%とする決定を行った。同行は先月の定例会合において、一昨年の大統領選と総選挙後に行われた内閣改造により発足した経済チームの下で初の利下げに動いており(注1)、2会合連続の利下げにより緩和姿勢を強めている様子がうかがえる。ここ数年のトルコでは、インフレが常態化しているにも拘らず『金利の敵』を自任するエルドアン大統領の下で中銀は低金利政策を余儀なくされ、結果的にインフレが一段と深刻化するとともに、リラ相場にも歯止めが掛からない状況が続いた。しかし、一昨年以降は経済チームの下で財政、金融政策の両面で引き締め姿勢に動くなど『正統的な』政策に舵を切ったことで、失墜した国際金融市場からの信任は回復するなど、トルコを取り巻く環境は大きく改善する動きがみられた。事実、インフレは昨年5月に直近のピークを迎えて頭打ちに転じるとともに、実質金利(政策金利-インフレ率)は3年強ぶりとなるプラスに転じるとともに、その後もインフレ鈍化を受けてプラス幅が拡大するなど引き締め度合いが強まった。さらに、物価と為替の安定を目的とする引き締め姿勢の堅持を受けて、足下の景気は2四半期連続のマイナス成長となるテクニカル・リセッションに陥るなど頭打ちしており(注2)、一段のインフレ鈍化に繋がることが期待される。また、政府は今年の最低賃金の引き上げ幅を30%と、昨年(49%)や一昨年(55%)を下回るとともに、事前の市場予想の下限に抑えられており、一時的に物価を押し上げる可能性はあるものの、インフレ率は頭打ちの動きが続く可能性が高まっている。こうしたことから、中銀は先月の定例会合において利下げに動くとともに、一段の利下げを通じて景気下支えに舵を切ったものと捉えられる。会合後に公表した声明文では、足下の物価動向について「12月は鈍化する一方、先行指標に基づけば1月は想定通り上昇した模様だが、コアインフレは相対的に低下基調が続いている」とした上で、引き続き「インフレ期待と価格設定行動は改善傾向にあるが、ディスインフレプロセスへのリスクはくすぶる」との見方を示している。他方、政策運営については「断固とした引き締め姿勢が内需鈍化、リラ相場の実質的な上昇、インフレ期待の改善を通じてディスインフレプロセスを強化している」とした上で、「今後は緊縮財政もこのプロセスを後押しする」としつつ、「引き締め姿勢をインフレの持続的低下により物価安定が実現するまで維持する」との考えを示している。そして、「金利水準はインフレ動向とインフレ予想を考慮した上で、想定されるディスインフレプロセスに必要となる引き締め度合いを確保すべく決定する」としつつ、「各会合ごとに慎重に決定し、大幅、かつ持続的な悪化が予想される場合は政策手段を効果的に用いる」との見通しを示している。したがって、当面の政策運営については実質金利のプラス幅の調整を通じて『やや引き締まっている』環境を醸成する観点で調整幅が決定されるものと予想される。他方、足下の国際金融市場においては米トランプ政権による政策運営に対する不透明感が米ドル高圧力を招く懸念がくすぶるとともに、隣国シリア情勢を巡る懸念も重石になるなかでリラの対ドル相場はじり安局面が続いている。円に対してはドル/円相場の動向が重石になる展開が続いており、シリア情勢の大幅な改善が見通しにくいなかでは上値が抑えられやすい推移をみせる可能性に引き続き留意する必要があろう。



注1 2024年12月27日付レポート「トルコ中銀、現経済チーム下で初の利下げ、リラ相場はどうなる?」
注2 2024年12月3日付レポート「トルコはテクニカル・リセッション入り、中銀の利下げは近付くか?」
西濵 徹
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 西濵 徹
にしはま とおる
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経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析
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