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2024.11.27
アジア経済
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オーストラリア、インフレの粘着度は高く、利下げのハードルも高いか?
~コアインフレは加速も、RBAが重視する指標は鈍化、当面の豪ドル相場は動意の乏しい展開も~
西濵 徹
- 要旨
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- オーストラリアでは、RBAが今月の定例会合でもタカ派姿勢を堅持する姿勢をみせ、その理由にインフレの粘着度の高さを示している。他方、国際金融市場では金融政策の方向性の違いにも拘らず、米ドル高の再燃も追い風に豪ドル相場は上値の重い展開をみせており、RBAが早晩利下げに動くとの見方も影響している。足下のインフレは補助金政策などの影響で下振れする一方、減税や底堅い雇用環境も追い風に家計消費は底堅い動きをみせるなどインフレ懸念はくすぶる。こうしたなか、10月のインフレ率は前年比+2.1%と目標下限で推移する一方、コアインフレ率は同+3.5%と加速して目標を上回るなどインフレの粘着度の高さがあらためて確認されている。他方、RBAが重視する物価変動の大きい財と観光関連を除いたベースでは前年比+2.4%と鈍化しており、幅広く財価格のみならず、サービス物価も下振れする動きが確認できる。よって、RBAの先行きの政策運営に対する不透明感が高まると見込まれ、当面の豪ドル相場は引き続き米ドルの動向如何だが、動意の乏しい展開が見込まれ、日本円に対しても同様の動きが予想される。
オーストラリアでは、準備銀行(RBA)が今月の定例会合において政策金利(OCR)を8会合連続で4.35%に据え置く高金利政策を維持するとともに、会合後の記者会見においてもブロック総裁が『タカ派』姿勢を堅持する考えを示している(注1)。こうした状況ながら、国際金融市場では米大統領選でのトランプ氏勝利を受けて米ドル高の動きが再燃しており、豪ドルの対米ドル相場は上値が抑えられる展開が続いている。なお、米FRB(連邦準備制度理事会)はすでに利下げに動いており、表面的に金融政策の方向性は米国(緩和)とオーストラリア(引き締め維持)と真逆を向いていることになる。こうした状況にも拘らず、足下の豪ドル相場がこうした動きをみせていることは、国際金融市場においてRBAが早晩利下げに動くとの見方が出ていることが影響していると考えられる(注2)。その背景には、足下の景気が頭打ちの動きを強めるとともに、高止まりしてきたインフレもアルバニージー政権が今年度(2024-25年度)から実施している電力料金を対象とする補助金政策に伴う物価抑制策の効果発現を受けて下振れするなど、落ち着きを取り戻していることがある。他方、アルバニージー政権が今年度から実施する所得税減税を反映して、足下の実質賃金の伸びはプラスに転じるとともに、インフレ鈍化に伴う実質購買力の押し上げの動きも重なり、家計消費は底堅く推移している。そして、足下の企業マインドを巡っては、底入れの動きをみせたサービス業に一服感が出る一方、製造業で底打ちの動きが確認されるなど全般的に不透明感がくすぶるものの、労働市場を取り巻く環境に変化の兆しがみられるにも拘らず、雇用環境は全体として堅調な推移をみせるなどサービス物価の粘着度の高さに繋がる動きがみられる。また、足下の不動産価格は高金利政策が長期化するなかで地域ごとに跛行色が生じる動きがみられるものの、全体としては最高値を更新する展開が続いており、アルバニージー政権による移民政策の転換にも拘らず需要の底堅さが市況を下支えするとともに、インフレ圧力がくすぶる一因になっている。よって、上述のように足下のインフレはRBAが定めるインフレ目標に収束している一方、コアインフレ率が高止まりしていることはRBAがタカ派姿勢を維持する一因になっているとみられるなか、その動きに注目が集まっている。こうしたなか、10月のインフレ率は前年同月比+2.1%と前月(同+2.1%)から横這いで推移するなどインフレ目標(2~3%)の下限近傍で推移するなど落ち着いた動きをみせている。前月比も▲0.32%と前月(同+0.08%)から2ヶ月ぶりの下落に転じており、補助金政策の影響でエネルギー価格に下押し圧力が掛かる展開が続いているほか、生鮮品をはじめとする食料品も落ち着いた推移をみせるなど、生活必需品で物価上昇圧力が後退していることが影響している。他方、オーストラリアではトリム平均値(刈り込み平均値)ベースをコアインフレ率としており、10月は前年同月比+3.5%と前月(同+3.2%)から伸びが加速するとともに、目標域から乖離するなどインフレの粘着度の高さがあらためて確認される動きがみられる。ただし、RBAが重視する物価変動の大きい財と観光関連を除いたベースでは前年同月比+2.4%と前月(同+2.7%)から伸びが鈍化するとともに、前月比も▲0.16%と前月(同+0.08%)から2ヶ月ぶりの下落に転じており、財価格に下押し圧力が掛かるなかで貿易財、非貿易財ともに下落しているほか、サービス物価も下落しており、インフレ圧力の後退を示唆していると捉えられる。こうした物価を巡る動きは、RBAの先行きの政策運営に対する見方に対する不透明感に繋がることが予想され、当面の豪ドルの対米ドル相場は米ドル高の動きが重石となる可能性はくすぶるものの、動意の乏しい展開となることが見込まれるほか、結果として日本円に対しても同様に動意の乏しい展開が続くことが考えられる。


注1 11月5日付レポート「RBAはインフレの根強さを意識、しばらくは現行姿勢の維持を見込む」
注2 10月17日付レポート「市場が抱くRBAの利下げ観測は本物か?豪ドル相場の行方は?」
西濵 徹
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 西濵 徹
にしはま とおる
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経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析
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