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2024.10.17
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市場が抱く RBA の利下げ観測は本物か?豪ドル相場の行方は?
~米ドル安一巡を受けた豪ドル安の動きに変化の兆しも、米 FRB の動きに左右される展開が続こう~
西濵 徹
- 要旨
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- オーストラリアではRBAが高金利政策を維持しており、先月の定例会合でもタカ派姿勢を強調する考えをみせた。しかし、金融市場では実体経済が頭打ちの動きを強めているほか、インフレ鈍化も確認されるなかでRBAが早晩利下げに動くとの観測が強まっている。ただし、インフレ鈍化を促した補助金や減税策に伴い足下の家計消費は底打ちするとともに、不動産市況を下支えするとの期待も高まるほか、雇用環境も堅調な推移をみせており、市場の利下げ観測は行き過ぎ感は否めない。よって、このところの豪ドルの対米ドル相場は米ドル安一服の動きも相俟って頭打ちしてきたものの、変化が生じる可能性がある。ただし、先行きも米FRBの運営に左右される展開が続くほか、日本円に対しても同様の動きをみせると予想される。
オーストラリアでは、準備銀行(中銀:RBA)が高金利政策を維持しており、先月の定例会合においても政策金利(OCR)を7会合連続で4.35%に据え置くとともに、先行きの政策運営を巡っても短期的に利下げを検討していないとの考えを示すなど『タカ派』姿勢を強調する考えをみせている(注1)。しかし、国際金融市場においてはRBAが早晩利下げに動くとの観測がくすぶっており、その背景に4-6月の実質GDP成長率が前期比年率+0.90%とプラス成長を維持するも3四半期連続で1%を下回る伸びに留まるほか、中期的な基調を示す前年比ベースの成長率も+1.0%と3年半ぶりの伸びに留まるなど、足下の景気が頭打ちの動きを強めていることが影響している(注2)。そして、足下の企業マインドを巡っては製造業が好不況の分かれ目となる水準を下回る推移をみせるとともに頭打ちの動きを強めているほか、比較的堅調な推移をみせてきたサービス業においても同様に頭打ちの動きが確認されており、景気は一層勢いを欠いている様子がうかがえる。さらに、アルバニージー政権が今年度(2024-25年度)から実施している電力料金を対象とする補助金政策を通じた物価抑制策の効果も影響して8月のインフレ率は前年比+2.7%と丸3年ぶりに目標域(2~3%)に収束するなど(注3)、ここ数年に亘ってRBAにとって『悩みの種』となってきた物価抑制に一定の目途が立つ動きも確認されている。他方、物価抑制を促している補助金政策に加え、アルバニージー政権が今年度から実施している所得税減税を受けて実質賃金の伸びはプラスに転じるなど実質購買力が押し上げられ、8月の小売売上高は5ヶ月連続で拡大するとともにそのペースも加速しており、力強さを欠く推移が続いた家計消費を巡る動きに変化が生じている(注4)。また、金利高が長期化するなかで不動産供給が細る一方、移民をはじめとする来訪者の堅調な流入を追い風とする不動産需要の堅調さを反映して不動産価格は大都市部を中心に上昇の動きが続いており、過去最高値を更新する展開をみせている。そして、補助金政策や所得税減税を追い風に住宅建設許可件数が拡大する動きが確認されており、足下では地域ごとの跛行色が鮮明になる動きがみられたものの、そうした状況に変化の兆しが出ることも見込まれる。さらに、雇用環境を巡っても9月の失業率は4.1%と横這いで推移する一方、就業者数は前月比+6.4万人と6ヶ月連続で拡大するとともに前月(同+4.3万人)からペースが加速しているほか、非正規雇用者数(同+1.3万人)のみならず正規雇用者数(同+5.2万人)もともに拡大しており、雇用の質の改善が進む動きがみられる。そして、雇用を取り巻く環境の堅調さを追い風に労働力人口は前月比+5.5万人と9ヶ月連続で拡大するとともに、前月(同+3.1万人)からペースが加速しているほか、こうした動きを反映して労働参加率も67.2%と前月(67.1%)から上昇して過去最高を更新するなど、労働市場の堅調さがあらためて確認されている。上述したように、このところの金融市場においては、RBAによる利下げ実施を織り込む形で豪ドルの対米ドル相場は米ドル安一服の動きも追い風に頭打ちする動きを強めてきたものの、当面はそうした一辺倒の動きに変化が生じる可能性が考えられる。とはいえ、豪ドルの対米ドル相場については引き続き米FRB(連邦準備制度理事会)による政策運営に左右される展開が続くことは避けられない一方、日本円に対してもその動向に揺さぶられる展開が続くことになろう。




注1 9月24日付レポート「オーストラリア中銀、当面の金利据え置き示唆でタカ派姿勢を維持」
注2 9月4日付レポート「オーストラリア景気は一段と頭打ち、利下げ観測と豪ドル相場の行方は?」
注3 9月27日付レポート「オーストラリアの8月インフレは鈍化したものの(Asia Weekly(9/23~9/27))」
注4 10月4日付レポート「オーストラリア、減税と補助金で家計消費底入れ(Asia Weekly(9/30~10/4))」
西濵 徹
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 西濵 徹
にしはま とおる
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経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析
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