インドは中国を超えるのか インドは中国を超えるのか

トルコの実質金利はいよいよプラスも、リラ相場に明るさみえず

~中銀の利下げも後ズレは避けられず、中東情勢の深刻化で景気もリラ相場も見通しは立ちにくい~

西濵 徹

要旨
  • トルコでは、昨年の内閣改造により発足した経済チームの下、政府と中銀は歩調を併せる形で正統的な政策運営に舵を切る動きをみせてきた。結果、昨年後半のインフレは前年に頭打ちした反動で加速するも、5月以降は再び頭打ちしている。9月のインフレ率は前年比+49.4%となり、実質金利もわずかながらプラスに転じるなど引き締め度合いが強まる様子もうかがえる。景気の頭打ちも確認されるなか、中銀は先月の定例会合で金利を据え置く一方で将来的な利下げに含みを持たせる姿勢をみせた。しかし、足下のインフレ鈍化は前年の反動による面が大きく、インフレ鎮静化にほど遠い状況が続く。さらに、中東情勢の深刻化を受けてリラ相場は最安値を更新するなどインフレへの悪影響も懸念される。利下げの後ズレは不可避の上、中東情勢も見通しが立たないなかで実体経済やリラ相場も見通しが立ちにくい展開が続くであろう。

トルコでは、昨年の大統領選、及び総選挙後に実施された内閣改造により発足した経済チームの下で、政府、中銀が歩調を併せる形で緊縮方向に政策の舵取りが採られる展開が続いている。中銀は累計4150bpもの大幅利上げを実施するとともに、先月の定例会合でも政策金利を6会合連続で50.00%に据え置くなど引き締め姿勢を堅持する姿勢をみせている(注1)。政府もシムシェキ財務相が主導する形で保護預金制度(通貨安に伴うリラ建預金の目減りを政府が補填する制度)の解除のほか、財政運営を巡っても緊縮姿勢に舵を切るなど『正統的』な政策運営を志向する姿勢をみせてきた。こうした政策運営も影響して、昨年後半以降のインフレは前年に頭打ちに転じた反動も影響して加速する動きがみられたものの、5月以降は再び頭打ちに転じるなど落ち着きを取り戻す動きが確認されている。9月のインフレ率は前年比+49.4%と14ヶ月ぶりの伸びに鈍化しており、上述のように中銀が政策金利を高水準で据え置いていることも重なり、長らくマイナス基調で推移してきた実質金利(政策金利-インフレ)も3年強ぶりにわずかながらプラスに転じるなど、引き締め度合いが増している様子もうかがえる。他方、金利高と物価高の共存状態が長期化していることに加え、輸出の半分以上を占めるEU(欧州連合)景気が勢いを失っていることも重なり、足下の景気は頭打ちの動きが確認されている(注2)。さらに、足下の企業マインドは外需を取り巻く環境が一段と厳しさを増すなかで下振れする動きが確認されるなど、景気は一段と減速感を強める可能性が高まっている。中銀は先月の定例会合で政策金利を据え置く一方、将来的な利下げに含みを持たせる考えをみせるなど、金融市場では引き締め姿勢からの転換が近付いているとの見方が広がりつつある。しかし、足下のインフレは鈍化しているものの、これは前年に加速した反動の影響が大きく、生活必需品のみならず、サービス物価にも上昇圧力がくすぶるなかで前月比の上昇ペースは加速するなど、インフレ鎮静化にはほど遠い状況にある。よって、中銀は将来的な利下げに含みを持たせる考えをみせているものの、その時期については一段と後ズレが避けられないなど、中銀にとっては引き続き忍耐が求められる局面となることは避けられない状況にある。他方、政府や中銀は忍耐強く引き締め姿勢を堅持する対応をみせているものの、このところは中東情勢を巡る不透明感が一段と深刻化しているほか、足下では米国経済の底堅さが確認されるなかで米ドル高の動きが再燃していることも重なり、リラ相場は終値ベースで最安値を更新する展開が続くなど輸入インフレ懸念がくすぶる。こうした背景には、エルドアン大統領が一貫して親パレスチナ、親ハマスの姿勢を鮮明にしていることも影響しており、イスラエルとパレスチナ、レバノン、イランを取り巻く環境は一段と厳しさを増していることを勘案すれば、見通しの立ちにくい展開が長期化する可能性にも留意する必要があろう。

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以 上

西濵 徹


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西濵 徹

にしはま とおる

経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析

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