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内閣支持率と株価~石破内閣発足時の支持率は、今後の政策運営や市場に大きな影響も~

嶌峰 義清

要旨
  • 内閣発足時の国民の支持率が高いほど、株価のパフォーマンスは良好な傾向にある。

  • 最低支持率が高い内閣ほど、株価のパフォーマンスは良好な傾向にある。

  • 早期解散総選挙を打ち出している石破内閣は、選挙結果次第で政策運営は大きく道が分かれる可能性が高く、特に発足時の支持率には注目が集まる。

石破新内閣始動

第102代内閣総理大臣に石破氏が就任し、石破内閣が始動した。石破氏が自民党総裁選で勝利した段階から、市場は石破内閣の政策運営に注目を集めている。これまでのところ、自民党総裁選挙時を含めた過去の発言などもあり、市場はやや不安定な動きを見せている。特に、税制(法人税や金融所得課税の増税の有無)、外交(日米地位協定の見直しの有無)、金融政策(日銀の金融政策に対するスタンス)といったところが、株式市場や為替市場などで注目されている。一方、各種報道は早期解散総選挙の実現に前向きな姿勢を示したことが国会での「論戦回避」に繋がる懸念や、自民党の政治資金問題へのスタンスなどを問題視しており、これらを含めて世論が石破内閣をどう受け止めるのかは、今後の政策運営のみならず、株式市場にも影響を与える可能性がある。

高い内閣支持率でスタートした内閣は株式パフォーマンスも高い傾向

内閣支持率と株価にはそれなりの相関があるといわれている。すなわち、内閣支持率が高ければ株価のパフォーマンスも高く、逆に支持率が低くなれば株価のパフォーマンスも悪くなる傾向がある、ということだ。

基本的には株価は企業業績、ひいては景気を反映するため、内閣への国民の人気の高さが直接株価に影響するとは考えにくい。ただし、人気の高い政権であれば、政策もスムーズに実施できると考えられ、経済の安定的な発展に繋がる可能性は高まるだろう。また、景気が良いからこそ政府への信任も厚くなりやすいことも考えられる。

実際、バブル崩壊後の宮澤内閣以降の内閣支持率と株価のパフォーマンスについてみると、発足時の支持率が高い内閣ほど、在任中の株価のパフォーマンスも良好な傾向にあることが確認できる。

特に発足時の内閣支持率が50%以上の内閣についてみると、細川内閣と鳩山内閣を除き、在任中に株価は上昇している。この期間、株価は2013年頃までは下落基調を辿っていたことを考えれば、支持率の高い内閣における株価のパフォーマンスは特に目立つ。

逆に、内閣発足時の支持率が40%未満となった内閣は4回あるが、小渕内閣を除いていずれも在任中の株価の騰落率はマイナスとなっている。

内閣支持率と在日中日経平均株価騰落率(宮沢内閣以降)
内閣支持率と在日中日経平均株価騰落率(宮沢内閣以降)

発足時支持率50%以上の内閣在任中の株価騰落率 (宮澤内閣以降)
発足時支持率50%以上の内閣在任中の株価騰落率 (宮澤内閣以降)

発足時支持率40%未満の内閣在任中の株価騰落率 (宮澤内閣以降)
発足時支持率40%未満の内閣在任中の株価騰落率 (宮澤内閣以降)

高い支持を維持することも株価には重要な要素

一般的に、内閣支持率は発足時が最も高く、その後は徐々に低下傾向を辿るケースが多い。こうした傾向は米国の大統領への支持率などにも当てはまるが、当初は未知の手腕に対して高い期待が先行するものの、そうした“過度の”期待は徐々に剥落していくということだろう。特に、スキャンダルなどによる政治不信が高まれば、内閣の支持率も落ち込み、内閣が総辞職する直前に最も支持率が低くなることもある。

そこで、バブル崩壊後の各内閣の最低支持率と在任中の株価のパフォーマンスについてみると、最低支持率が低い内閣ほど、株価のパフォーマンスも悪い傾向にあることが確認された。その傾向は発足時の支持率と株価の関係よりも強く(株価に対する支持率の係数が高い)、高い支持を維持することが株価にも大きく影響する可能性があることが確認された。

特に最低支持率が30%以上の4内閣についてみると、細川内閣を除いて在任中の株価のパフォーマンスはプラスとなった。一方、最低支持率が20%を割り込んだ8内閣については、野田内閣と小渕内閣を除く6内閣で、在任中の株価のパフォーマンスがマイナスとなっており、極端な支持率の低下は株式市場にもマイナスであると言えよう。

内閣支持率と在日中日経平均株価騰落率(宮沢内閣以降)
内閣支持率と在日中日経平均株価騰落率(宮沢内閣以降)

最低支持率30%以上の内閣在任中の株価騰落率(宮澤内閣以降)
最低支持率30%以上の内閣在任中の株価騰落率(宮澤内閣以降)

最低支持率20%未満の内閣在任中の株価騰落率(宮澤内閣以降)
最低支持率20%未満の内閣在任中の株価騰落率(宮澤内閣以降)

安定的な政策運営を維持できるかがカギ

石破内閣発足前後の各種報道を見る限り、新政権に対する期待と不安はそれぞれ相応に高い印象を受ける。

石破首相は10月9日の衆議院解散、同27日に総選挙を行う方針であることを打ち出している。自民党内部での支持基盤はそれほど強くないと言われている石破内閣が、安定的な政権運営を実現できるかどうかは、総選挙の結果に大きく左右されよう。与党内部での支持がグラつけば、政治が一気に流動化する恐れも否定はできず、国民の支持も離れていく恐れが高まる。

不安定な政策運営は市場も警戒するところであり、選挙前の石破内閣の支持率がどの程度の高さとなるかは、総選挙の結果を通じて今後の市場動向にも影響を与えると言えよう。

嶌峰 義清


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嶌峰 義清

しまみね よしきよ

経済調査部 シニア・フェロー
担当: 経済・金融市場全般、地政学

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