- 要旨
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日経平均株価は先行き12ヶ月42,000程度で推移するだろう。
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USD/JPYは先行き12ヶ月150程度で推移するだろう。
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日銀は12月に政策金利を0.50%に引き上げ、25年末までに1.0%への到達を見込む。
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FEDは9月に利下げを開始、FF金利は25年末に4.00%(幅上限)への低下を見込む。
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金融市場
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前日の米国株は下落。S&P500は▲1.7%、NASDAQは▲2.6%で引け。VIXは22.4へと上昇。
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米金利はブル・スティープ化。予想インフレ率(10年BEI)は2.035%(▲1.3bp)へと低下。
実質金利は1.672%(▲0.6bp)へと低下。長短金利差(2年10年)は+5.8bpへとマイナス幅縮小。 -
為替(G10通貨)はJPYが最強。USD/JPYは142前半へと低下。コモディティはWTI原油が67.7㌦(▲1.5㌦)へと低下。銅は8996.0㌦(▲96.0㌦)へと低下。金は2501.5㌦(▲18.2㌦)へと低下。
注目点
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8月米雇用統計は、失業率が4.2%へと低下した反面、雇用者数は前月比+14.2人増と市場予想(16.5万人増)に届かず、しかも過去分は8.8万人分が下方修正されるという軟調な結果だった。平均時給は前月比+0.4%、前年比+3.8%と予想比やや高めの数値であったが、もはや利下げの障壁になるような勢いではない。
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9月FOMCを占う上で注目されていた雇用統計は、それなりに弱かったものの、それなりに底堅い面もあり、9月FOMCにおける利下げ幅を決定付けるには至らなかった、と言ったところか。インフレ退治の副反応によって労働市場は確実に軟化しているが、現時点で景気浮揚策が喫緊の課題というほどではない。9月FOMCにおける50bpの利下げを約4割の確率で織り込むFF金利先物と同様、筆者も50bp利下げがあっても不思議ではないと予想しているが、強いて言えば25bpの可能性が高いと思われる。50bpの利下げは、これまでのFedの情報発信から判断すると、やや唐突な印象がある。株価が大幅下落を示した場合などに備えて温存する方が魅力的な選択肢に思える。
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雇用者数は前月比+14.2万人となり、6~7月からは加速したものの、直近3ヶ月平均では+11.6万人増へと減速しており、12ヶ月平均の+19.7万人増から下方乖離が目立っている。悪天候により働けなかった就業者が7月の46.1万人から2.8万人へと急減したことを踏まえると「実需」の弱さを疑わざるを得ない。業種別にみると、教育・ヘルスケア(+4.7万人増)、レジャー・ホスピタリティ(+4.6万人増)、建設(+3.4万人増)が比較的堅調なペースで増加した反面、製造業(2.4万人減)、小売(1.1万人減)が減少した。政府部門は+2.4万人増であった。雇用形態別ではフルタイム労働者が微減となる反面、パートタイムは増加し、企業が固定費削減に取り組んでいる様子が浮き彫りとなった。
- 注目の失業率は4.2%へと0.1%pt低下。もっとも、小数点2桁では7月の4.25%から8月の4.22%までごく僅かの低下に留まっており、改善方向に反転したとは言い難い。寧ろ、失業者を広義の尺度で捉えて算出するU6失業率(フルタイムの職が見つからず止む無くパートタイム勤務に従事している人を失業者と見なす)が7.9%(7月:7.8%)へと上昇したことに鑑みれば、労働市場の悪化速度が加速しているようにもみえる。景気後退を象徴するような水準には至っていないとはいえ、求人件数の減少、求人倍率の低下など労働市場の更なる軟化を示すデータが増えつつある。

- 労働市場の厚みを示す労働参加率は62.69%とほぼ不変であった(7月:62.69%)。高齢化等の影響からパンデミック発生前よりも低い水準にあるが、人口動態を加味した潜在的に達成可能な水準(CBOによる推計値)は凌駕しており、労働供給側の問題は解決している。8月は働き盛り世代の25-54歳(84.0%→83.9%)が小幅に低下した反面、55歳以上(38.3%→38.6)ははっきりと上昇した。
- 賃金インフレの帰趨を読む上で重要な平均時給は前年比+3.8%(7月:+3.6%)へと上昇加速。前月比では+0.40%(7月+0.23%)へと加速し、瞬間風速を示す3ヶ月前比年率は+3.84%(7月+3.73%)、同3ヶ月平均は+3.69%(7月+3.66%)と低下が一服。もっとも、先行きの賃金上昇率は低下傾向に回帰する可能性が高い。求人件数の減少、自発的離職率の低下(数値低下は、労働者が待遇改善を求めて転職活動をするその勢いが鈍化していることを示す)、CB消費者サーベイにおける雇用判断DIの低下、ISMやPMIの雇用項目の低下など賃金インフレの沈静化を示すデータが豊富に存在する。

- こうした雇用統計を踏まえた上で、Fed中枢メンバーであるウォーラー理事とウィリアムズ・NY連銀総裁は講演を実施。結論を先取りすると、両氏は「慎重」なペースで利下げを開始することを示唆。ウォーラー理事は「経済指標で一段と大きな幅での利下げの必要性が示されれば、支持する」との表現に留め、9月の利下げ幅については「経済と雇用が引き続き拡大する中で、慎重に実施される」とした。ウィリアムズ総裁も9月FOMCにおける50bpの利下げについて「現時点では個人的な見解は持っていない」として距離を置いた。
藤代 宏一
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