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2024.08.28
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オーストラリアのインフレ鈍化を確認、RBAの政策と豪ドルはどうなる?
~RBAは様子見姿勢を維持を予想、豪ドルは対米ドルで強含むも円には方向感を欠く展開が続くか~
西濵 徹
- 要旨
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- 豪ドルの対米ドル相場は、先月は中国景気の減速懸念などが重石となるも、RBAが今月初めの定例会合でタカ派姿勢を示したほか、米FRBの利下げを織り込んだ米ドル安も重なり底入れしている。他方、日本円には米ドル/円相場が足かせとなる展開が続く。これはRBAが今月の定例会合でタカ派姿勢を示すも、タカ派度合いが「日銀>RBA」と見做されていることが影響しているとみられる。足下の雇用環境は底堅い動きが確認されるなどインフレが警戒される状況が続くが、7月のインフレ率は前年比+3.5%、コアインフレ率も同+3.8%と中銀目標を上回るも鈍化が確認されている。財、サービスの両面で物価上昇の動きが一巡する動きが確認されており、RBAは当面現行のスタンスでの様子見を維持する可能性が高まっている。豪ドル相場は米ドルに対して底堅さがうかがえる一方、日本円には方向感が乏しい展開が続くと見込まれる。
このところの豪ドルの対米ドル相場を巡っては、オーストラリアにとって最大の輸出相手であるとともに、鉱物資源の輸出先である中国景気の不透明感を反映した商品市況の調整が重石となる動きがみられたものの、足下では米FRB(連邦準備制度理事会)による利下げ観測を受けた米ドル安の動きを反映して一転して底入れが進んでいる。こうした背景には、オーストラリア準備銀行(RBA)が今月6日に開催した定例会合において、景気の不透明感が高まっているにも拘らずインフレを警戒する姿勢を維持するとともに、ブロック総裁は利上げを検討した旨の発言を行うなど『タカ派』姿勢を強調したことがある(注1)。その後も米FRB関係者による9月のFOMC(連邦公開市場委員会)での利下げを肯定する発言を相次いだことで米ドル安の動きが進み、こうした事情も豪ドルの対米ドル相場が年初の水準まで底入れする一因になっている。他方、日本円に対しては米ドル/日本円相場が円高(米ドル安)方向にシフトしていることに加え、先行きの金融政策を巡って「日本銀行>RBA」との見方が重石になっているとみられ、ピークを大きく下回る水準に留まる。なお、オーストラリアでは過去3年近くに亘ってインフレが中銀目標(2~3%)を上回る推移が続いているほか、RBAも物価と為替の安定を目的に累計425bpもの利上げを実施し、上述したように足下においても引き締め姿勢を維持するなど物価高と金利高の共存が景気の足かせとなる懸念が高まっている。さらに、昨年7月からは最低賃金が大幅に引き上げられたことで雇用環境に悪影響が出ることが懸念されたものの、直近7月の失業率は4.2%と昨年以降は緩やかに悪化する動きが確認される一方、最大都市のシドニー周辺のほか、鉱物資源関連産業の比率が高い地域を中心に雇用の底堅さがうかがえるほか、正規雇用を中心に堅調な推移をみせるなどインフレ圧力に繋がりやすい環境が続いている。このところのインフレは月次ベースと四半期ベースで異なる動きをみせているが(注2)、RBAは四半期ベースのインフレ動向を重視する姿勢をみせたことでタカ派姿勢を強調する一因になっているとみられる。ただし、月次ベースではインフレ鈍化の動きが確認されている上、7月も前年同月比+3.5%と前月(同+3.8%)から鈍化して4ヶ月ぶりの伸びとなっているほか、コアインフレ率(トリム平均値)も同+3.8%と前月(同+4.1%)から鈍化して6ヶ月ぶりの伸びとなるなど、ともに頭打ちの動きが確認されている。また、RBAが注視している物価の変動の大きい財と観光関連を除いたベースの物価も前年同月比+3.7%と前月(同+4.0%)から鈍化して2年半ぶりの伸びとなっているものの、いずれもインフレ目標を上回る水準に留まっている。前月比の動きを巡っても、食料品やエネルギーなど生活必需品に物価上昇の動きがみられるものの、サービス物価で上昇の動きに一服感が出ているほか、消費財の物価も貿易財、非貿易財双方で上昇傾向が一巡する動きが確認されるなど、全般的にインフレ圧力が後退している様子がうかがえる。上述のように雇用環境の底堅さがインフレ圧力を招く懸念がくすぶるなか、RBAが早々に利下げに動く可能性は極めて低いと見込まれる一方、追加利上げに動くほどの材料はなくなったと判断できる。さらに、今月の定例会合後のブロック総裁の発言(利上げも検討した)は金融市場が年内の利下げを織り込んできたことに対する『けん制』であったと考えられる。その意味では、当面の豪ドル相場については、米ドルに対しては底堅い展開が見込まれる一方、日本円に対しては米ドル/日本円相場の行方に左右される展開が続くことは避けられないと予想される。



注1 8月6日付レポート「オーストラリア中銀、景気に不透明感もタカ派姿勢崩さず、豪ドルは?」
注2 8月1日付レポート「オーストラリア物価は四半期と月次で異なる動き、豪ドルへの影響は」
西濵 徹
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 西濵 徹
にしはま とおる
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経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析
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