- 要旨
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- 日経平均は先行き12ヶ月41,000程度で推移するだろう。
- USD/JPYは先行き12ヶ月145程度で推移するだろう。
- 日銀は7月に追加利上げを実施するだろう(政策金利は+0.25%)。
- FEDは9月に利下げを開始、FF金利は25年末に4.00%(幅上限)への低下を見込む。
金融市場
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前日の米国株は上昇。S&P500は+0.9%、NASDAQは+1.5%で引け。VIXは12.0へと低下。
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米金利はカーブ全般で金利低下。予想インフレ率(10年BEI)は2.233%(▲5.5bp)へと低下。
実質金利は2.083%(▲3.6bp)へと低下。長短金利差(2年10年)は▲44.0bpへとマイナス幅拡大。
- 為替(G10通貨)はUSDが全面安。USD/JPYは157後半へと上昇。コモディティはWTI原油が78.5㌦(+0.6㌦)へと上昇。銅は9944.5㌦(+185.5㌦)へと上昇。金は2336.0㌦(+28.5㌦)へと上昇。
注目点
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5月米CPIが公表され、その5時間半後にFOMCの結果発表があった。概観すると、CPIは予想比下振れでインフレ沈静化の進展を示すものであった。それに対してFOMCはややタカ派。3ヶ月に一度更新される政策金利見通し、いわゆるドットチャートの中央値は2024年に1回の利下げしかないことを示すものであった。なお政策委員は、FOMC2日目までに入手されたデータを踏まえて政策金利・経済・物価見通しを作成することができるが、その点についてパウエル議長の記者会見では「FOMC参加者は、今朝発表のCPIを見通しに反映させることが許可されていたが、ほとんどの政策担当者は更新していない」との言及があった。
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5月CPIは前月比+0.0%、前年比+3.3%と、それぞれ市場予想を0.1%pt下回った。食料が前月比+0.1%、前年比+2.1%と安定を維持する中、エネルギーが前月比▲2.0%、前年比+3.7%と減速した。
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食料・エネルギーを除いたコアCPIは前月比+0.2%、前年比+3.4%であった。瞬間風速を示す尺度は、前月比年率が+2.0%、3ヶ月前比年率が+3.3%、その3ヶ月平均が+4.0%と何れも下方屈折。5月はコア財が前月比▲0.0%、前年比▲1.7%と低下基調を辿り、コアサービスは前月比+0.2%、前年比+5.3%と緩慢ながらも減速を続けた。Fedが重視している、コアサービスから家賃を除いたスーパーコアは前月比▲0.0%、前年比+4.8%であった。瞬間風速は3ヶ月前比年率が+4.2%、その3ヶ月平均が+6.2%と何れも減速基調にあり、(3月データが発表された)4月に一時話題となったインフレ再加速および利上げ再開の可能性が大きく後退したことを示した。
- インフレの基調を決める賃金動向を読むために、6月11日に発表された5月のNFIB中小企業調査に目を向けると、3ヶ月先の計画は人件費が一段と低下、雇用は小幅反発も低水準を維持していた。求人件数が減少基調にあり、自発的離職率も低下していることと併せて考えると、労働市場は全体として需給が弛む方向にあると判断される。賃金上昇率が再加速していく兆候は乏しい。

- それでもFOMC参加者は利下げに関して慎重な姿勢を崩さなかった。ドットチャートの中央値は2024年が5.25%となり、年内1回の利下げ計画となった。最多得票は5.00%(2回の利下げ)の8名であったが、利下げなしにも4名の参加者が投票した(3月時点は2名)。事前の観測では2回の利下げ計画が有力とみられていたので、この点はタカ派な印象であった。その後、2025-26年にそれぞれ4回の利下げが見込まれ、予測期間内に3.25%まで低下する見通しが示された。また今回は中立金利の中央値が2.75%(平均値は2.91%)へと上方修正された。2.50%と推計する参加者が8名から5名へと減少する一方、2.75%と3.00%と推計する参加者が合計で3名増加した。ややタカ派な印象だが、中立金利に関する議論が盛り上がりをみせた過去1年程度、中央値は変わらずとも、平均値は徐々に切り上がっていたため、今回の中央値切り上がりに特段の驚きはない。

- パウエル議長の記者会見では5月CPIを踏まえ「最近の月次インフレ指標は幾分緩和した」としつつも、「インフレの進展が遅いため利下げは後ずれした」、「インフレに対する信頼を高めるにはさらに良好なデータが必要」として慎重な姿勢を維持した。もっとも、利下げを待ちすぎることのリスクにも引き続き言及している。労働需給が弛む方向にある中、このままインフレ率の鈍化傾向が崩れなければ、9月にも利下げが選択されるのではないか。
藤代 宏一
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