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日銀は金融政策の現状維持を決定。筆者は3月会合でYCCの終了があるという奇抜な予想を示していたが、黒田総裁はサプライズを伴う政策変更を見送った。消費者物価上昇率が2%を明確に上抜け、賃金上昇率も着実に高まってきていることから、YCCという極端な金融緩和の必要性は低下している。しかしながら黒田総裁は、良質な物価上昇の持続的実現には粘り強い金融緩和が必要であると判断した模様。
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フォワードガイダンスも据え置いた。現在のフォワードガイダンス(下記)は新型コロナウィルスまん延の初期段階にあたる2020年4月に緊急対応的に導入されたもので、金融政策の基本的方針がコロナの感染状況に紐づいている。筆者は新型コロナウィルスの感染上の分類が変更されることを受け、声明文から「コロナ」が落とされると予想していたが、それら修正は全て植田次期総裁に委ねられた形だ。
当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、企業等の資金繰り支援と金融 市場の安定維持に努めるとともに、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置 を講じる。政策金利については、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水 準で推移することを想定している。
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植田総裁体制で初となる4月27-28日の金融政策決定会合に向けて政策変更を予想する動きが広がるだろう。焦点はフォワードガイダンスの変更と長期金利操作目標の変更が主となろう。YCCについてその選択肢は①変動幅拡大(0.50%→0.75~1.00%)、②対象年限短縮化(10年を5年以下)、③操作終了がある。筆者は、段階的な修正が難しいというYCCの特性を勘案し③が最も有力な選択肢であると考えており、それが4月に決定されても全く不思議ではない。
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植田次期総裁に市場との丁寧な対話・説明を求める声は多い。ただしYCCの修正・終了に限って言えば、それを求めることは難しいだろう。仮に金融政策の「点検」を予告するなどして、それを事前に織り込ませることはオペ運営の難しさを増幅させ、金融市場の混乱を招いてしまう恐れがある。だとすれば植田次期総裁が初回の金融政策決定会合で点検結果とそれを踏まえた政策変更を同時に発表する可能性がある。
藤代 宏一
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