デジタル国家ウクライナ デジタル国家ウクライナ

イタリア地方選で右派が勝利

~メローニ首相の穏健路線が奏功~

田中 理

要旨
  • イタリアでは政権発足後で初の地方選挙で右派会派が勝利。右派内ではメローニ首相が率いるイタリアの同胞が圧倒的な支持を集め、連立パートナーを大きく引き離した。選挙結果は右派会派の優勢と右派内でのイタリアの同胞の権力基盤の強化につながろう。メローニ首相の現実路線が有権者の幅広い支持を集めた格好で、当面は親EU的な政策姿勢が続くことが予想される。

イタリアでは12・13の両日、北部の金融都市ミラノがあるロンバルディア州と、首都ローマがある中部ラッツィオ州で知事・議会選挙が行われた。昨年10月に誕生したメローニ首相が率いる右派の連立政権は、移民・難民問題や治安強化などで強硬姿勢を採る一方、経済運営ではEUに懐疑的な主張を封印し、予算成立や復興基金の追加資金の受け取りを優先してきた。その間、物価高騰がイタリア国民の生活を直撃し、新政権に対する国民の高い支持がいつまで続くかに注目が集まっていた。政権発足後で初となった今回の選挙では、右派会派が両州で50%以上の票を獲得して勝利を固めた。裕福な個人事業主が多い北部のロンバルディア州は元々右派の地盤だが、過去10年にわたって中道左派の民主党が支配してきたラッツィオ州を奪還したことで、20州のうち15州を右派が制したことになる。

ロンバルディア州では、ライバル政党の民主党と五つ星運動の左派勢力が共同戦線を張ったが、中道勢力がこれに合流せず、同盟出身で現職のフォンターナ知事が続投を決めた。同州の議会最大政党の座は、イタリアの同胞が同盟から奪った。同盟はかつて北部同盟という政党名で活動し、北部地域を中心に活動してきたが、メローニ首相が率いるイタリアの同胞に支持基盤を奪われている。ラッツィオ州では、民主党と五つ星運動が統一候補の擁立に失敗し、イタリアの同胞が推す右派の統一候補が勝利した。メローニ首相の穏健化路線が功を奏し、イタリアの同胞は同州でも議会の最大政党となった。右派内で、サルビーニ副首相兼交通インフラ相が率いる連立パートナーの同盟、ベルルスコーニ元首相が率いる同じく連立パートナーのフォルツァ・イタリアを大きく引き離している。

両選挙ともに投票率が40%前後と有権者の関心はそれほど高くなかったが、選挙結果は右派会派の優勢と右派内でのイタリアの同胞の権力基盤の強化につながろう。メローニ首相の現実路線が有権者の幅広い支持を集めた格好で、当面は親EU的な政策姿勢が続くことが予想される。ただ、同盟やフォルツァ・イタリアの一段の党勢低迷が続く場合、政権内でEUに懐疑的な主張が再浮上してくる恐れがある。特に同盟内でサルビーニ党首の指導力が疑問され、同氏がEU懐疑主義に再び傾斜する場合や、同氏が党首の座を退き、後継党首がサルビーニ氏以上に強硬なEU懐疑論者となる場合には注意が必要となろう。左派勢力の迷走も続いている。民主党は総選挙での敗北後、党首(書記長)を務めるレッタ元首相が辞任の意向を固め、後継党首の人選を進めている。選挙戦でも十分なアピールが出来なかったほか、支持率の低下が続き、最近では党勢低迷が続いてきた左派寄りの反エスタブリッシュメント政党・五つ星運動に逆転を許している。

以上

田中 理


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

田中 理

たなか おさむ

経済調査部 首席エコノミスト(グローバルヘッド)
担当: 海外総括・欧州経済

執筆者の最近のレポート

関連テーマのレポート

関連テーマ