株高不況 株高不況

・雇用統計ガチャ発生 ・日銀総裁人事報道あり

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均は先行き12ヶ月28,000程度で推移するだろう。
  • USD/JPYは先行き12ヶ月130程度で推移するだろう。
  • 日銀は現在のYCCを年央までに終了するだろう。
  • FEDは3月まで利上げを続けた後、年後半に利下げを開始するだろう。
目次

金融市場

  • 前日の米国株は下落。NYダウは▲0.4%、S&P500は▲1.0%、NASDAQは▲1.6%で引け。VIXは18.3へと低下。
  • 米金利はベア・フラット化。債券市場の予想インフレ率(10年BEI)は2.230%(▲1.1bp)へと低下。実質金利は1.291%(+14.1bp)へと上昇。
  • 為替(G10)はUSDが全面高。USD/JPYは131近傍まで上昇。コモディティはWTI原油が73.4㌦(▲2.5㌦)へと低下。銅は8980.5㌦(▲72.0㌦)へと低下。金は1862.9㌦(▲53.4㌦)へと低下。

図表1
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図表2
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図表3
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図表4
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図表5
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経済指標

  • 1月ISM非製造業景況指数は55.2へと急回復し12月の急低下を埋めた。事業活動(53.5→60.4)、新規受注(45.2→60.4)が著しく回復したほか、雇用(49.4→50.0)も改善。ただし、類似指標のサービス業PMIの低下基調に鑑みるとサービスセクターの回復にはなお疑問の余地が残る。

図表6
図表6

注目点①

  • 1月米雇用統計によると雇用者数は前月比+51.7万人と市場予想(+18.8万人)を上回り、3ヶ月平均では+35.6万人となった。個人消費の減速をよそにレジャー・ホスピタリティ(宿泊・飲食業、+12.8万人)が大幅に増加し、小売(+3.1万人)も堅調。その他では教育(+10.5万人)や運輸(+2.3万人)等が底堅さを維持し全体として極めて強い結果となった。ただし今回の雇用統計は定例の季節調整替えによって統計が攪乱されている可能性が高い。何れの数値も幅を以って解釈する必要がある。

図表7
図表7

  • 失業率は3.4%へと低下(3.47%→3.43%)、予想外にパンデミック発生以降の最低を更新。失業者を広義の尺度で捉えて算出するU6失業率(フルタイムの職が見つからず止む無くパートタイム勤務に従事している人を失業者と見なす)は6.6%へと小幅に上昇したが、注目の労働参加率は62.35%へと0.06%pt上昇し、労働市場の「厚み」は増した。年代別にみると働き盛り世代の25-54歳(82.4%→82.7%)が2ヶ月連続で上昇した反面、55歳以上(38.8%→38.7%)が再び低下した。人手不足の主因になっている55歳以上の労働参加率回復は遅々としており、パンデミック発生前後の断層は埋まる気配がない。

図表8
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図表9
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図表10
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図表11
図表11

  • 賃金インフレの帰趨を読む上で重要な平均時給は前月比+0.3%、前年比+4.4%となった。前月比の伸びは縮小傾向にあるとはいえ、3ヶ月前比年率(3ヶ月平均)では+4.8%と下向き基調が一服している。この間、フルタイム労働者の比率は低下傾向にあり「平均」に下押し圧力をかけているが、それでもパンデミック発生前の3%台前半までは相当な距離がある。また週平均労働時間は34.7時間へと急激に増加。筆者は12月の週平均労働時間がパンデミック発生前の平均に近い34.3時間まで短縮した際に「企業は人手不足に対する恐怖が強いため、予備的動機で雇用者数を維持したうえで労働時間を削減している可能性がある」と解釈していたが、今回の労働時間長期化を踏まえると「人手不足はなお深刻で賃金の上昇圧力は根強い」との見方に変更せざるを得ない。

図表12
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図表13
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図表14
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図表15
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  • 1月雇用統計はFedの悩み事である賃金インフレのしぶとさを痛感させる結果であった。筆者は3月FOMCにおける追加利上げ(25bp)によってFF金利(誘導目標レンジ上限)が5.00%に達したところで利上げが終了するとの予想を維持するが、2月に発表されるデータが強含めば5月FOMCまで利上げが長引く可能性は高まる。

注目点②

  • 次期日銀総裁人事案について日経新聞朝刊は「雨宮正佳副総裁(67)に就任を打診した」と伝えた。報道の真偽は不明だが、多くの市場関係者が本命候補に挙げていた人物で意外感は小さい。その上で強いて言えば、有力候補として名の挙がっていた人物(中曽氏、山口氏、翁氏、伊藤氏など)の中で最もハト派寄りに認識されていたとみられる。金融政策を「急転換」させる可能性は低いだろう。国会への人事案提出まで不透明感は残存するが、このまま雨宮氏で固まれば日銀要因で金融市場が荒れる可能性は低いと予想される。

藤代 宏一


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