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時事雑感(2026年9月号)

嶌峰 義清

自民党は、高市首相が主張した食料品にかかる消費税率を、来年4月から2年間限定で1%に引き下げることを了承した。連立を組む日本維新の会も賛同していることから、いわゆる“食料品減税”が実現する見込みとなった。

この政策には、自民党内を含めて様々な懸念の声も聞かれる。第一に、減税によって生じる税収減をどうやって穴埋めするのかが明確となっていない。高市政権が掲げる積極的な財政出動を伴う成長戦略は、人口減少基調にある日本経済が生産性の向上によって成長を維持するためには欠かせない戦略だ。しかし、成長率を押し上げることで財政状況の悪化を抑制するという考え方に懐疑的な見方が多いことも事実だ。財政悪化に目が向きやすい環境では、減税による財政への影響について丁寧に説明することが、金融市場への悪影響を抑えるためにも必要だ。第二に、食料品減税は物価高対策の一環とされているが、食料品価格の引き下げ効果は一時的なものに過ぎない。その多くを輸入に頼っていることを勘案すれば、円安阻止こそが食料品の物価高対策として有効だ。減税が2年間限定ということから、減税終了後に税率が8%に戻されれば、7%の食料品価格押し上げ要因ともなる。以上の二つの要素が、食料品の消費税減税に対する主な懸念事項だ。このほかにも、減税の対象とならない飲食店などへの影響や、レジのシステム改修コストなども、懸念材料として取り上げられることが多い。

こうした懸念はもっともで、エコノミストとしては総合的に見た経済効果はどうなのか、という点に目を向けてしまう。ただし、社会福祉的な側面からは、食料品減税は意義があるのかもしれない。食料品減税は、生きていくために必要不可欠なものに対する負担を抑制することだ。もっとも、その場合は食料品にかかる消費税率を恒久的にゼロとすることが望ましく、代わりとなる財源が求められよう。

(嶌峰 義清)

嶌峰 義清


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嶌峰 義清

しまみね よしきよ

経済調査部 シニア・フェロー
担当: 経済・金融市場全般、地政学

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