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時事雑感(2025年5月号)

嶌峰 義清

4月13日開催の大阪・関西万博は、開催期間となる半年間で2820万人の来場者が見込まれており、その経済効果は建設費用も含めて2~3兆円と試算されているが、実現を疑問視する声もある。

万博では様々な国の文化や風習などを知ることができる。しかし、SNSなどを通じて世界は小さくなった。世界の様々な人たちが発する情報に、部屋の中で、あるいは通勤通学の途中で接することもできる。1970年の大阪万博で世界の文化に触れた、あの煌めきはもう感じられないのかもしれない。

もっとも、万博は最先端の技術を披露する場でもある。かつての万博では、電話やテレビ、エスカレーター、ワイヤレスフォン、電気自動車などが披露され、いずれも商用化されて生活に欠かせない技術の一つとなった。未来を切り開く最先端技術を直接見る、触れることは、大いに刺激的な経験だ。万博は世界の人々の交流の場となるだけでなく、新しい技術や商品を世界に発信する場でもある。五輪が「平和の祭典」と呼ばれるように、万博は世界交流のもとに発展を目指す「平和の象徴」と呼ばれる。

一方で、技術開発を加速させてきたものの一つに軍事があったことも事実だ。レーダーやジェットエンジン、核技術は戦争や防衛のための技術として開発された。軍事には国家予算が割かれるため、大規模なヒト・モノ・カネが集まりやすく、技術開発の加速に繋がりやすい。しかし、その開発目的に人々の生活を豊かにする明るい希望はない。米国のトランプ政権は、緊迫化する世界情勢を前に、欧州や東アジア、中東の同盟国に対して少なくとも米国と同等の防衛分野での費用負担を求めていく方針とのことだ。東西冷戦終結から40年も経たず、世界は再び分裂の道を歩み始めているようにみえる。

ネットが世界をつなげたことで万博の意義が問われているが、世界が交流して平和な技術発展を目指すという観点から、万博の意義はまだまだ色褪せてはいない。

(嶌峰 義清)

嶌峰 義清


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