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「移民」という言葉をニュース等で見聞きすることがあると思いますが、実は、「移民」は国際法で法的に定義されている言葉ではありません。国際的な共通の定義はなく、国連の機関である国際移住機関(IMO)では、「一国内か国境を越えるか、一時的か恒久的かに関わらず、またさまざまな理由により、本来の住居地を離れて移動する人という一般的な理解に基づく総称」と表現されています。そのため、「移民」と一言で言っても文脈によってその範囲は異なり、定住を前提とした移住労働者だけでなく、紛争や迫害から逃れた「難民」や短期旅行者・留学生なども含めて考える場合もあります(注1)。
昨年にIMOが公表した2024年版『世界移住報告書』では、あらゆる移動(移住)の形を網羅した広義の「移民」は、2020年時点で2億8,100万人と推定されており、世界人口の約3.6%にあたります。移民数が最も多い国は米国で、人口の約15%にあたる5,060万人が移民とされています。
移民の増加は、米国内の労働供給や消費を増加させ、経済成長にプラスの影響を与えてきました。しかし、足もとでは、不法移民の増加が問題視されています。米国では、南部の国境における不法移民の増加が経済的負担や治安悪化を招いているとして、先の大統領選の重要な論点の1つとなり、不法移民対策の厳格化を掲げるトランプ氏が大統領戦で勝利しました。トランプ氏は、関税の引き上げを打ち出し、メキシコ・カナダに国境警備の強化を強く求めるとともに、不法移民の強制送還を実行すると宣言しています。「移民の国」としてこれまで多くの移民を受け入れ、経済成長を実現してきた米国が、現在、移民政策を大きく転換しようとしています。
阿原 健一郎
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。