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2025.01.21
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内外経済ウォッチ『アジア・新興国~トルコ中銀は現在の経済チーム下で初の利下げ、リラ相場の行方は~』(2025年2月号)
西濵 徹
実質金利はようやく「プラス」に転じる事態に
トルコ中銀は、昨年12月定例会合で政策金利を250bp引き下げて47.5%とする決定を行った。同行の利下げ実施は2023年2月以来、一昨年の選挙後に行われた内閣改造により発足した経済チームの下で初めてとなる。ここ数年のトルコではインフレが中銀目標を上回るも、エルドアン大統領が主張する「高金利がインフレを招く」という因果が倒錯した理屈の下で中銀は低金利政策を迫られ、インフレ昂進や通貨リラ安に直面してきた。しかし、一昨年以降は経済チームの下、財政、金融政策の両面で引き締め姿勢が採られ、中銀は政策金利を50%に引き上げた。
結果、インフレは今年5月に直近のピークを迎えて頭打ちに転じ、足下では実質金利(政策金利-インフレ)が3年強ぶりにプラスとなるとともに、先月時点ではプラス幅が丸5年ぶりの水準となるなど引き締め度合いが強まっている。内・外需双方が下振れするなかで、足下の景気は2四半期連続のマイナス成長となるテクニカル・リセッションに陥り、一段の物価抑制に資すると期待される。他方、国際金融市場では米ドル高が意識される展開が続いたことでリラの対ドル相場は調整したほか、米大統領選でのトランプ氏勝利を受けて米ドル高が進み、最安値を更新する展開が続く。リラ安に伴う輸入インフレ圧力がくすぶるなか、中銀は度々インフレ見通しの上方修正を迫られるなど、想定以上にインフレ抑制に苦戦を強いられてきた。

追加緩和の可能性も、リラ相場は不安定な環境
こうしたなか、国際金融市場では中銀が早晩利下げに動く可能性が高まっているとの見方が強まった。会合後に公表した声明文では、物価について「基調インフレはほぼ横這い」とした上で「先行指標は基調的な低下を示唆している」としつつ、「インフレ期待と価格設定行動は改善傾向にあるが、ディスインフレプロセスへのリスクは引き続き存在する」との見方を示している。また、政策運営について「断固とした引き締め姿勢が基調インフレの低下、内需の減速、リラ相場の実質的な上昇、インフレ期待の改善を通じてディスインフレプロセスを強化している」としつつ、「基調インフレの低下が顕著、かつ持続的に確認され、インフレ期待が想定範囲に収束するまで引き締めスタンスを維持する」との考えを示している。その上で、「金利水準はインフレ動向の予想と現実を考慮しつつ、ディスインフレの実現に必要な引き締まりを確保する」として、「インフレ見通しに焦点を充てて会合ごとに慎重に決定する」としつつ「大幅、かつ持続的な悪化が予想される場合は政策手段を効果的に用いる」との姿勢を維持している。
よって、中銀が先行きについても緩やかな利下げに動く可能性は高まっていると捉えられる。他方、リラ相場については中東情勢、とりわけ隣国のシリアを巡る混乱が続いているなか、見通しが立たないなど不透明感が上値を抑える展開が続く可能性が見込まれる。

西濵 徹
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 西濵 徹
にしはま とおる
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経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析
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