- HOME
- レポート一覧
- 第一ライフ研レポート
- 内外経済ウォッチ『米国~タカ派姿勢をさらに強めるFRB~』(2022年11月号)
FRBは3会合連続の75bp利上げでも満足せず
米国では、インフレの高止まりが続くなか、FRBがタカ派姿勢を一段と強めている。9月20、21日に開催されたFOMCでFRBは政策金利であるFFレート誘導目標レンジを3.00~3.25%に引き上げることを全会一致で決定した。消費や生産活動が鈍化したものの、インフレ高進、労働市場の逼迫の持続を受け、6、7月に続いて異例の75bpの大幅利上げとなった。FRBは、最大雇用と長期的に2%のインフレ率を目指しており、この目標達成のために今回の75bpの大幅利上げ後も、継続的な利上げが適切になるとの見方を示した。また、パウエル議長は3.00~3.25%のFFレート誘導目標レンジについて、金融引締め水準に入ったばかりであるとの見方を示したうえ、労働市場が逼迫していることやインフレが高すぎることから、痛みを伴う金融引締めを強化していく必要があることを強調した。
ターミナルレートは4.6%に上方シフト
議長は、22年の残り2回のFOMCでの利上げ幅は100bpと125bpで意見が分かれていると発言し、利上げペースの鈍化を示唆した一方、歴史は早まった緩和転換を強く戒めているとし、23年の利下げ織り込みは時期尚早との見方を改めて強調した。
議長は、「インフレは過熱している」とし、「委員会は意味のある制限的な政策スタンスへと移行し、インフレ率が低下しつつあると確信できるまでそれを維持することに注力している」とインフレ率の低下が示されるまで利下げに転じない方針を示した。また、ドットチャートではFFレート誘導目標の適切な水準の予想中央値が22年末に4.4%と前回6月の3.4%から大幅に引き上げられたうえ、23年の利上げ継続が予想され、ターミナルレートは4.6%(前回3.75%)と大幅に上方シフトした。

インフレ高止まりでスタグフレーションリスク
9月に失業率が3.5%と自然失業率と推計される4.0%を依然下回っているうえ、非農業部門雇用者数は前月差+26.3万人と大幅な増加を続けている。また、インフレでは8月のPCEデフレーターが前年同月比+6.2%、PCEコアデフレーターが同+4.9%と高い上昇を続けている。今後、米経済はインフレ高進、金利急騰、ロシアへの経済制裁の強化等の影響によって低成長にとどまり、労働市場の逼迫も緩和しよう。一方、インフレは、食料品のほか、帰属家賃、家賃、医療費などサービス価格の高い伸びによって、FOMC参加者の22年予想中央値を上回る高い上昇を続ける可能性が高まっている。そうなれば、FRBはインフレを低下させるためFOMC参加者の予想中央値を上回る大幅利上げを実施せざるを得ず、米国経済はスタグフレーションに陥る恐れがある。

桂畑 誠治
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 桂畑 誠治
かつらはた せいじ
-
経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済
執筆者の最近のレポート
-
FRBの次の一手はインフレ次第、高止まりなら利上げへ ~「語らない」ウォーシュ新議長の誕生で、議事録の重要性が急上昇~
金融市場
桂畑 誠治
-
米国:非製造業は小幅鈍化も堅調な国内需要が下支え(6月ISM) ~地政学リスクの緩和も根強いインフレ圧力~
米国経済
桂畑 誠治
-
米国:雇用者数が減速も失業率は低下(26年6月雇用統計) ~トランプ2.0の供給制約と根強い労働需要を背景に、失業率は低位安定~
米国経済
桂畑 誠治
-
米国:不確実性下の前倒し発注が指数を下支え(6月ISM製造業) ~コスト増圧力は根強いが、6カ月連続の拡大圏維持~
米国経済
桂畑 誠治
-
ウォーシュFRB議長、インフレリスクの緩和を示唆 ~引き続きフォワードガイダンスを示さず~
金融市場
桂畑 誠治
関連テーマのレポート
-
米国:非製造業は小幅鈍化も堅調な国内需要が下支え(6月ISM) ~地政学リスクの緩和も根強いインフレ圧力~
米国経済
桂畑 誠治
-
米国:雇用者数が減速も失業率は低下(26年6月雇用統計) ~トランプ2.0の供給制約と根強い労働需要を背景に、失業率は低位安定~
米国経済
桂畑 誠治
-
米国:不確実性下の前倒し発注が指数を下支え(6月ISM製造業) ~コスト増圧力は根強いが、6カ月連続の拡大圏維持~
米国経済
桂畑 誠治
-
米国:6月CB消費者信頼感は先行き期待で微増も低い水準 ~和平合意への期待が支えるも、足元のインフレ警戒が重石に~
米国経済
桂畑 誠治
-
米国: 1-3月期GDP確報後の2026年の景気・金利展望 ~「底堅い成長」と「根強いインフレ」のもとFRBはタカ派寄りのスタンス維持へ~
米国経済
桂畑 誠治