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- DXの視点『感情分析AIから考えるコミュニケーション』
新型コロナウイルス感染拡大によって、ビジネスにおけるコミュニケーション手段が多様化している。従来は対面、電話、Eメールが主流であったが、テレワークが普及したこともあり、ビデオ会議・音声会議によるコミュニケーションの機会が増えている。
対面で行われる会議では、参加者の表情や態度から雰囲気を把握することが可能だが、小さなパソコンの画面を通じたビデオ会議では、表情や変化に気づきにくい。感情分析AIは、この課題を解消すべく、相手の感情を認識する1つの方法として登場したテクノロジーである。
例えば、スウェーデンのテクノロジー企業が技術提供している感情分析AIでは、リアルタイムで変化する顔の表情を読み取り、数値化することにより人の感情を可視化する。このソフトウェアは長年蓄積された膨大な表情データを基に、認識されたフェイスポイントの動きから性別、年齢、7種類の感情を数値化する。7種類の感情は「幸福」「悲しみ」「怒り」「恐怖」「驚き」「嫌悪感」「中立」から構成され、数値化された感情は、リアルタイムに変化しながら、顔の横に表示される。

音声を活用した感情分析AIにおいても、リアルタイムで音声情報を認識し、数値化するソフトウェアが登場している。音声を活用した感情分析AIでは「穏やか」「怒り」「喜び」「悲しみ」の4種類の感情に分類される。
感情分析AIはどのような分野での活用が見込まれるだろうか。既に活用されている分野の1つとしてコールセンターが挙げられる。コールセンターでは、感情分析AIが顧客の声を解析し、オペレーターは解析結果を参考に、顧客の感情に寄り添った回答を行う。例えば、オペレーターの対応をきっかけに顧客の声色が変化し、感情分析AIが「怒り」を察知した場合、システムは、オペレーターに対して顧客の「怒り」に対応した適切な回答をするよう促す。また、感情分析AIが頻繁にオペレーターの声色から「悲しみ」を察知した場合、上長は、何か仕事上の悩みを抱えているのではないか知ることになり、オペレーターに声かけをするなど離職防止対策をいち早く講じることが出来る。
また、ウィズコロナの時代においては、従来対面での対応が主流であった営業活動にもビデオ会議を活用したオンラインでの商談が普及していくだろう。そこに感情分析AIを取り入れ、顧客とのコミュニケーションを円滑にすることで、営業・商談の場における顧客満足度の向上や、営業成約率の向上に効果的につなげることができるのではないだろうか。たとえば、初対面の印象を良くするための事前ロールプレイングに活用したり、オンライン商談の場において顧客の意図や感情を読み取ってニーズに合わせた商品やサービスの説明をすることなど、営業パフォーマンスの向上に寄与するだろう。
感情分析AIは、ウィズコロナ時代における対人コミュニケーションを強力にサポートするキラーテクノロジーとなる可能性を秘めている。
柏村 祐
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 柏村 祐
かしわむら たすく
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政策調査部 主席研究員
専⾨分野: AI、テクノロジー、DX、イノベーション
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