DXの視点『ITエンジニアが「将来なりたい職業」であり続けるために』

丸山 雄平

目次

パソコン(PC)修理の「かかりつけ医」

私事であるが、最近家で使用しているパソコンが故障し、修理に出した。その際、昨今の在宅勤務へのワークスタイル変更により、パソコンの修理依頼が例年と比べて大幅に増加していることを聞き、あらためて新型コロナウイルス感染症の影響の大きさを実感した。

パソコンには写真データ等だけではなく、パスワードなど様々な個人情報も保存していたが、パソコン整備士の資格を持つ専属の担当者がじっくり話を聞き、誠実に応対してくれたため、安心して修理を任せることが出来た。今回信頼できるパソコン修理の「かかりつけ医」に出会えたことは、自分にとって収穫であった。

ITエンジニアが「将来なりたい職業」上位に

話は変わるが、近頃「将来なりたい職業」の上位に、ITエンジニア/プログラマーがランキングされていることを知り、デジタル時代が到来していることをあらためて認識した(資料1)。ITエンジニアとは、コンピュータ、情報通信などを専門とする技術者の総称であり、システム分野毎にシステムエンジニア(SE)、ネットワークやサーバを始めとするインフラエンジニアなど様々な職種に分かれている。

つい最近までSEは「新3K職業(きつい、帰れない、給料が安い)」などと揶揄されていたのが嘘のようだが、今の若い世代は、YouTuberやゲーム制作などと同様、ITエンジニアやプログラマーに対しても良いイメージを持っているのだろう。実際にデータサイエンティストやWEBエンジニアなど脚光を浴びている職種が存在する一方、表には出ない数多くのエンジニアが存在し、社会インフラの安定稼働に関する「縁の下の力持ち」として活躍している。

資料 大人になったらなりたいもの調査結果
資料 大人になったらなりたいもの調査結果

デジタル社会に向けた人材の確保と経営戦略

今後、日本がデジタル社会を迎えるにあたって、顧客のニーズを汲み取り、問題を診断し、対処を施すITエンジニアは、まさにITの「かかりつけ医」として大いに活躍が期待される。

一方、ITエンジニアを始めとするデジタル人材の育成や確保は、社会全体の大きな課題となっている。2016年6月に経済産業省が発表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、2030年の国内IT人材は45万人不足(中位シナリオ)すると推計されている。

今後のデジタル社会を支えるITエンジニアが「将来なりたい職業」としてあり続けるためにも、処遇改善などを含め更に魅力的な職業になるように、官民を挙げて努めていかなければならない。また、デジタル庁が各府省庁に対して勧告権など総合調整の権限を持ったように、企業においてもIT戦略やデジタル改革(DX)が経営戦略の中核をなし、デジタル人材が幅広く活躍することこそ、日本企業のDX化の遅れを挽回し、日本が目指すSociety5.0の社会を実現していくことに違いないだろう。

丸山 雄平


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。

丸山 雄平

まるやま ゆうへい

総合調査部 マクロ環境調査G 主席研究員(~21年12月)
専⾨分野: テクノロジー、DX、イノベーション

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