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2026.10.23
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トルコ中銀は6会合ぶりの利下げも、金融市場の混乱が新たな懸念材料に
~インフレ鈍化で引き締め度合いを調整も、株安によるリラ相場や実体経済への波及に警戒~
西濵 徹
- 要旨
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トルコ中銀は10月22日の金融政策委員会において、政策金利(1週間物レポ金利)を100bp引き下げ36.00%とした。利下げは6会合ぶりで、金利水準は2023年10月以来の低さとなる。背景には、原油高や通貨安への懸念があったにもかかわらず、9月のインフレ率が前年同月比+29.73%と2021年11月以来の低い伸びになるなど、物価の鈍化が着実に進んでいることがある。実質金利のプラス幅が拡大して引き締め度合いが強まったため、今回の利下げは、引き締め姿勢を維持しつつその度合いを調整する従来の動きに沿ったものといえる。
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声明文は過去5会合をほぼ踏襲した。基調的な物価の減速を認める一方、地政学リスクによる商品市況の上昇をインフレ見通しの上振れリスクとして警戒し、インフレが著しく悪化した場合の再利上げの可能性にも言及しており、「タカ派」姿勢は維持されている。
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金融市場では、投資信託の流動性を巡る問題に加え、MSCIが10月15日にトルコ株の一部指数変更を暫定凍結し、2027年6月までに市場改革の進展が確認できなければ新興国市場からフロンティア市場への分類変更を協議する方針を示したことから、主要株価指数は下落基調にある。市場の混乱が長期化すれば、家計の外貨・金への資産移動を通じたリラ安圧力や、実体経済・政策運営への悪影響が懸念されるため、今後の動向に注意が必要である。
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トルコ中央銀行は、10月22日に開催した定例の金融政策委員会で、政策金利である1週間物レポ金利を100bp引き下げて36.00%とすることを決定した。同行による利下げ実施は6会合ぶりであり、政策金利も2023年10月以来の低水準となる。背景には、同国のインフレ率が着実に鈍化していることがある。
イラン情勢の悪化を受けた原油高が世界的なエネルギーインフレを招くなか、原油需要の大部分を輸入に依存する同国では、その影響が懸念されてきた。さらに、原油高は輸入額の増加による対外収支の悪化を招いており、リラの対ドル相場はジリ安の展開が続く。そのため、輸入物価の押し上げもインフレ圧力を増幅させることが懸念された。しかし、直近9月のインフレ率は前年同月比+29.73%と2021年11月以来の低い伸びとなった(図1)。

同行は2024年12月に現在の経済チームの下で初の利下げに踏み切り、その後も実質金利をプラスに維持する抑制的なスタンスを維持しながら、断続的な利下げに動いてきた。このところはインフレ率の鈍化を受けて、実質金利のプラス幅が拡大するなど引き締め度合いが強まる動きが確認されていた(図2)。このため、今回の利下げ決定は、引き締め姿勢を維持しつつ、その度合いを調整してきた動きに沿ったものと捉えられる。

会合後に公表した声明文では、物価動向について「足元の動きや先行指標は基調的な減速が続いていることを裏付けている」との見方を示した。そのうえで「経済指標や供給ショックによる物価への影響が限定的なものにとどまることは内需の弱さを反映している」とした。一方で、「地政学リスクによる商品市況の上昇はインフレ見通しの上振れリスクになる」として、「地政学リスクが物価動向、経済活動、インフレ期待に与える影響を注視する」と、前回会合と同じ見方を示した。
先行きの政策運営について「需要動向やリラ相場、インフレ期待を通じた物価安定を実現するまで引き締めスタンスを維持する」との従来からの姿勢を維持した。具体的な政策についても「インフレ見通しと実績、基調的な動きを勘案して決定する」、「会合ごとにインフレ見通しを注視しつつ慎重に見直す」とし、「インフレ見通しが著しく、かつ持続的に悪化した場合は引き締め姿勢を強める」、「インフレの上振れリスクに引き続き高い注意を払っている」と、引き続き再利上げに動く可能性をあらためて強調した。
また、「信用市場や預金市場で予期せぬ事態が発生した場合は、流動性を巡る状況を注視しつつ、マクロプルーデンス政策を強化する」と従来からの考えを繰り返した。そのうえで、「インフレ目標の実現に向けて、入手可能なデータに基づく透明性の高い枠組みの下で必要な環境整備を図るべく政策決定を行う」との考えをあらためて示している。声明文の内容は、過去5会合をほぼ踏襲しているうえ、過去4会合と同様にインフレの上振れリスクに対する警戒感を強調しており、「タカ派」姿勢を維持している。
一方で、トルコ金融市場では、主要株価指数であるイスタンブール100指数(BIST100)が下落基調をたどるなど、不安定な動きが続いている(注1)(図3)。背景には、一部の投資信託の流動性問題をきっかけとする売り圧力に加え、指数算出会社のMSCIが10月15日、トルコ株式に関する一部の指数変更を暫定的に凍結し、2027年6月までに十分な市場改革の進展が確認できなければ、新興国市場からフロンティア市場などへの分類変更に向けた協議を検討する方針を示したことがある(注2)。こうした市場の混乱は家計部門のリスク回避姿勢を強め、外貨や金などへの資産移動を通じてリラ相場の下押し圧力につながる可能性もある。市場の混乱が長期化すれば、実体経済への悪影響が顕在化するとともに、政府の政策運営にも影響が及ぶおそれがあり、先行きはその動向に注意を払う必要性が高まっている。

注1 10月9日付レポート「トルコ金融市場の混乱が収まらない」
注2 10月16日付レポート「MSCI、トルコ株式指数の変更を凍結し、格下げの可能性を警告」
西濵 徹
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一ライフ資産運用経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 西濵 徹
にしはま とおる
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経済調査部 主席エコノミスト
担当: アジア、中東、アフリカ、ロシア、中南米など新興国のマクロ経済・政治分析
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