武器になる経済指標 武器になる経済指標

9月FOMCは利上げ見送りと予想

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均株価は先行き12ヶ月72,000円程度で推移するだろう
  • USD/JPYは先行き12ヶ月155円程度で推移するだろう
  • 日銀は政策金利を9月に1.25%とした後、27年末までに2.25%とするだろう
  • FEDはFF金利を、年内は3.75%で据え置くだろう
  • 9月FOMCにおける利上げの有無を占う最重要指標は9月11日公表の8月CPIであるが、その前哨戦的な位置付けである8月PPIが9月10日に発表された。ヘッドラインの数値は概ね市場予想通りであったものの、PCEデフレーターに算入される複数の項目が強めの数値となり、同デフレーターの予想値の上方修正に繋がり得る結果であった。なお、8月CPIは前月比+0.4%、前年比+3.4%、コアCPIは前月比+0.2%、前年比+2.4%が見込まれている。前年比の数値はヘッドラインCPIが前月から不変、コアCPIは0.1%pt低下予想となっている。

  • 8月PPIを通過して、FF金利先物が織り込む9月FOMCにおける利上げ確率は70%程度まで約10%pt高まった。先週来、原油価格が上昇していることも利上げ観測の高まりに繋がっているとみられる。トランプ大統領がイランとの戦闘終結が中間選挙後の11月になるとの見通しを示したことでWTI原油は103ドルに到達した。当然のことながら、米国を含む世界のインフレ加速要因となる。

  • 米10年金利は4.96%となり、5%到達が視界に入った。ここで、長期金利上昇を簡便に要因分解すると、8月1日との比較では予想インフレ率(10年BEI)が+15bp、実質金利(物価連動債利回り)が+13bpとほぼ同程度の寄与度となっている。予想インフレ率主導で名目長期金利が上向いているのであれば、Fedが引き締めを強化すれば、長期金利を下げることは理論上可能になるのだが、足もとの金利上昇はそうした単純な構図になく、対処が難しい。それゆえ、市場参加者も米国債買いに慎重にならざるを得ないのだろう。9月9日にトランプ大統領が共和党大会で「上下両院で共和党が勝利すれば、米国の成人一人あたり5000ドルを配当として給付する」としたことも債券市場で嫌気されたとみられる。

  • 8月CPI次第ではあるが、筆者は9月FOMCで利上げが見送られ、政策金利は年内据え置かれるとの予想を維持する。原油価格上昇が賃金インフレに繋がる「二次的波及」の兆候に乏しいことがその理由である。事実、8月雇用統計では平均時給の上昇鈍化が継続していた。労働市場に起因するインフレ圧力は現時点で限定的であり、その点が2022年と決定的に異なる。これはFedにとって安心材料であろう。ただし、9月FOMCで利上げが見送られた場合、予想インフレ率が高まることで米長期金利が上昇する事態となれば、それは年内の利上げ確率を高めることになる。長期金利を見て、Fedが政策判断をする展開も想定しておきたい。

藤代 宏一


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