武器になる経済指標 武器になる経済指標

日銀の利上げ「終了」を先読みするには

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均株価は先行き12ヶ月72,000円程度で推移するだろう
  • USD/JPYは先行き12ヶ月155円程度で推移するだろう
  • 日銀は政策金利を9月に1.25%とした後、27年末までに2.25%とするだろう
  • FEDはFF金利を、年内は3.75%で据え置くだろう
  • 市場参加者が予想するターミナルレートの代理指標として、一般的に参照されている2年先1年金利は2.4%近傍で推移している。ここから判断すると3~4ヶ月に一度の利上げが、2年程度続くことが想定されているようである。

図表
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  • 他方、エコノミスト等を含む市場関係者の中心的な見通しは、やや控えめである。QUICK月次調査<債券>(調査期間:2026年8月25日~27日)によると「今回の日銀利上げ局面における政策金利のターミナルレートはいくらと予想しますか」との質問に対して、中央値と最頻値は1.75%、単純平均値は1.9%であった。「この1カ月でターミナルレートの見通しは変化しましたか」との質問に対しては回答者の47%が「引き上げた」とし、53%が「変化なし」と答えていた。風向きとしてはターミナルレートが上昇する方向にあるものの、あと3回で利上げが終了するとの見通しが現時点における一つのコンセンサスとなっている。なお、筆者は2027年末までに2.25%に到達するとみており、ターミナルレートは2.25%~2.5%を想定している。

図表
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  • 利上げが比較的早期に終了するとしたら、そのきっかけや理由は何であろうか。もちろん最重要変数は物価である。ただし消費者物価指数は、ガソリンの旧暫定税率廃止、電気・ガス代の補助、教育関係費の無償化、そして消費税減税といった政策要因に攪乱されるため、実勢を把握することは困難であり、金融政策を読む上で「使えない指標」に成り下がってしまっている。

  • ところで物価は遅行指標である。過去の経済活動の結果が時差を伴って物価に反映されていく。したがって、金融政策を運営する側にとっては、既往の利上げが現在の経済活動にどういった影響を与えているのかを計測する必要がある。そうした意味において速報性に優れているのは日銀短観の企業金融項目であろう。企業が感じる金融環境は、設備投資などの意思決定に無視できない影響を与えるほか、資金繰りが窮屈になれば倒産が増える事態にも発展する。

  • 日銀短観6月調査(全規模・全産業)において貸出態度判断DI(緩い-厳しい)は+13、資金繰り判断DI(楽である-厳しい)は+11と、双方とも長期的にみて良好な水準にあり、非線形な動きは観察されていない。現時点の評価としては、2024年3月以降の累積的な利上げにもかかわらず、金融環境はほとんど引き締まっていない。もっとも、今後、累積的な利上げの効果がこれら指標に表面化してくる可能性はあり、仮に非線形な悪化を示した場合、政策委員の間では経済・物価のオーバーキル、すなわち過剰な引き締めに対する警戒感が共有されるだろう。利上げ終了を早期に判断する指標として、これらが有効であると筆者は考える。

図表
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藤代 宏一


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