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2026.06.17
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米国: 26年5月住宅着工は大幅減も一時的の見込み
~許可件数は堅調も、金利高やコスト高を背景に先行きの不透明感は継続~
桂畑 誠治
- 目次
1. 住宅着工は大幅減少も一時的の見込み
26年5月の住宅着工件数(季節調整済、年率換算)は117.7万戸となり、前月比▲15.4%(前月:139.2万戸、同▲8.5%)へと減少幅を拡大した。これは、市場予想中央値(ブルームバーグ集計)の143.0万戸(同▲2.0%)を大幅に下回る結果である。
内訳をみると、着工の基調を示す「一戸建て住宅着工件数」が88.2万戸、前月比▲1.9%(前月:89.9万戸、同▲11.6%)と減少が続いた。背景には、販売の伸び悩み、資材コストの高騰、労働力不足といった構造的制約が根強く存在している。一方、月次での変動の大きい「集合住宅の着工件数」は29.5万戸、前月比▲40.2%(前月:49.3万戸、同▲2.4%)と大幅に減少した。
これらは、慢性的な在庫不足に加え、州政府による用途地域制限の緩和を受けた集合住宅プロジェクトの存在や、空室率の低い北東部での堅調な需要があるなか、金利上昇や悪天候によって、一時的に減少したものと判断される。月次でのボラティリティは高まっているものの、これまでの過剰供給(在庫)の調整局面を経て、先行きの需要を睨みながら底固めを探る動きといえる。
地域別では、中西部が増加した一方、最大市場である南部が5月に多発した猛烈な嵐や鉄砲水などの悪天候によって減少したほか、北東部、西部も大幅な減少となった。

2. 許可件数はコスト増への強い警戒感等を背景に先行きの不透明感が継続
先行指標となる5月の住宅建設許可件数(季節調整済、年率換算)は141.3万戸、前月比▲0.7%(前月:142.3万戸、同+4.4%)と、着工件数とは対照的に小幅の低下にとどまった。内訳は、一戸建てが88.6万戸、同+0.6%(前月:88.1万戸、同▲1.6%)と増加に転じた一方、変動の激しい集合住宅が52.7万戸、同▲2.8%(前月:54.2万戸、同+15.8%)と前月の反動で小幅な減少を記録した。集合住宅における前月の急増の反動は限定的なものにとどまった格好である。一方の一戸建ては小幅に増加したものの、建設業者が先行きに対する慎重姿勢を崩しておらず、許可件数全体としては底這い推移の域を出ていない。地域別では、南部、北東部、西部で許可件数が増加した一方、中西部は減少となった。
3. 住宅市場は不確実性の高まりや高い金利を背景に停滞感が漂う
現在の住宅建設を取り巻く環境には、不確実性の高まりや高金利を背景に停滞感が漂う。金利の高止まりや価格上昇に伴う販売鈍化で在庫が増加していることに加え、トランプ政権による関税賦課や不法移民取り締まり強化を巡る懸念が、建設コストの増大や需要減退のリスクとして意識されている。こうした背景から、建設業者は新規着工に対して慎重なスタンスを維持している。
4. 先行き底堅い需要と供給制約が相克
26年の住宅販売は、住宅ローン金利の限定的な低下や実質所得の拡大、建設業者による販促策などにより、小幅な増加が見込まれる。しかし、トランプ関税による資材価格の上昇懸念や、移民規制強化に伴う労働力不足・人件費高騰が、供給側の強い下押し圧力となる。建設業者の悲観的な見方は維持される可能性が高く、26年の一戸建て住宅着工件数は前年比+1%程度(25年前年比▲1.1%)の僅かな拡大にとどまる見通しである。





桂畑 誠治
本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一ライフ資産運用経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
- 桂畑 誠治
かつらはた せいじ
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経済調査部 主任エコノミスト
担当: 米国経済
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桂畑 誠治