- 要旨
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- 日経平均株価は先行き12ヶ月61,000円程度で推移するだろう
- USD/JPYは先行き12ヶ月155円程度で推移するだろう
- 日銀は利上げを続け、政策金利は26年7月に1.0%、27年7月に1.5%超となろう
- FEDはFF金利を26年9月に3.5%まで引き下げた後、様子見に転じるだろう
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4月20日付でロイターが報じたところによれば、日銀は4月の金融政策決定会合で利上げを見送る。記事内には「中東情勢を巡る不確実性がなお残り、利上げを急ぐ必要はないとの判断が浮上している」、「中東情勢の緊迫化がもたらした原油高は、交易条件悪化を通じて企業収益を下押ししかねない」、「ホルムズ海峡の封鎖の長期化で物流が停滞し、生産活動に悪影響が出ることを警戒する声が出ている」「中小企業を中心に先行きの企業収益が悪化すれば、賃上げに影響が出かねないとする警戒感もある」などとある。為替は利上げ見送りの観測記事を受けてもほとんど反応はみられなかった。次回利上げ時期に関する数ヶ月の違いは、市場参加者の予想形成にさほど重要ではなかったと推察される。
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展望リポートでは、原油高を受けて2026年度の物価見通しが引き上げられる公算が大きい。3月の金融政策決定会合における「主な意見」では「今日のような原油価格上昇に伴う物価上昇局面でも、政府の価格転嫁・賃金上昇に向けた施策による慣性が働きやすく、物価上昇期待を強めやすい」という指摘があり、こうした見方に基づけば、原油高という(一般的には)短期的な物価上昇率の高まりがきっかけとなり、基調的な物価上昇率が上振れることを警戒する必要がある。もっとも、現時点では基調的な物価上昇率の帰趨を見極める時間的余裕があり、利上げの判断を急ぐ必要はないとの結論に至る(至った)とみられる。4月の金融政策決定会合では、短期的かつ外生的な物価上昇と基調的な物価上昇率を区別する姿勢が示されるだろう。
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記事内には「第1次オイルショックのあった1974年は消費者物価(除く生鮮食品、コアCPI)が前年比22.5%上昇し、同年の春闘では32.9%の賃上げとなった。ただ、今回はそこまでの賃金・物価の上昇スパイラルに陥る可能性は低いとの声が日銀内では多い」との記述もあった。3月の金融政策決定会合後の記者会見において「1970年代の日本の対応を復習していた」と発言していたことから、植田総裁が供給ショックをどう取り扱うのか一部で注目が高まっていた。その点、植田総裁は2023年5月の講演(日本銀行金融研究所主催2023年国際コンファランスの挨拶)で「Great Inflationは2度の石油危機を含む時期に発生しましたので、コストプッシュ要因によるものと思われがちです。もっとも、日米を含む複数の国において、金融政策が需要を過度に喚起したことが大きな役割を果たしたのではないか、という指摘も有力です」と言及していた。3月の記者会見で植田総裁が「1970年代」に言及したのは、原油高の影響を見極めている間にビハインド・ザ・カーブに陥り、インフレ率が加速していく展開に一定の警戒感を払ったようにみえた。その点、今回は原油価格が既に落着きをみせていることから、原油高を起点に基調的な物価上昇率が高まる恐れは低下しており、その点において利上げの緊急性に乏しいと思われる。よほどの大逆転を想定しない限りにおいて、4月の利上げは見送りとなる公算が大きい。
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次回利上げは6月か7月の可能性がかなり高い。筆者は背景説明の容易さの観点から展望レポートが更新される7月会合と予想している。正直なところ6月か7月かは極めて微妙であるが、日銀短観(6月調査)で原油高の影響を確認したいといった理由で、7月まで待つ可能性がわずかに高いとみている。
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なお、6月会合では国債買い入れ減額に関する「中間評価」が予定されている。2025年7月に決定された長期国債の買入れ減額計画は「月間の長期国債の買入れ予定額を2026年1~3月まで毎四半期4,000 億円ずつ、2026 年4~6月以降は毎四半期2,000 億円ずつ減額し、2027年1~3月に2兆円程度とする」というものであった。長期金利の上昇圧力が強いなか、買い入れ減額の縮小(=緩和方向への動き)が決定される可能性があり、この点は5月21・22日に予定されている「債券市場参加者会合」(第24回)で方向感が見えてくると予想される。ハト派方向への議論に傾くなら、円安圧力を抑止すべく6月の利上げが俎上に上りそうだが、一方で「情報過多」を避ける意味では7月まで待つ可能性がある。
藤代 宏一
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