株高不況 株高不況

半導体関連の強さが示される(26 年4月鉱工業生産)

藤代 宏一

要旨
  • 日経平均株価は先行き12ヶ月61,000円程度で推移するだろう
  • USD/JPYは先行き12ヶ月155円程度で推移するだろう
  • 日銀は利上げを続け、政策金利は26年6月に1.0%、27年7月に1.5%超となろう
  • FEDはFF金利を、年内は3.75%で据え置くだろう。
  • 筆者が日本経済と株式市場の行方を読む上で定点観測している日本の鉱工業生産は、2026年4月に前月比+0.8%となった。0.6%の減産を見込んでいた市場予想中央値に反しての増産であり、経産省の予測補正値(同▲0.7%)に対しても大幅に上振れた。増産ははん用・業務用機械工業、電気・情報通信機械工業、その他工業など7業種。減産は自動車工業、無機・有機化学工業、化学工業(除く無機・有機化学工業・医薬品)であった。4~5月にかけて上昇した製造業PMIから判断すると、原油関連製品の供給制約を睨んだ駆け込み生産が盛り上がった可能性が示唆されていたが、鉱工業生産統計においては関連業種で目立った動きは観察されなかった。

図表
図表

図表
図表

図表
図表

  • 5月初旬に実施された生産予測調査に基づけば、製造工業の生産計画は5月に前月比+5.1%となった後、6月は同▲0.4%の減産が見込まれている。経産省経済解析室が生産予測指数の上振れバイアスを補正した予測値は、5月が同+2.1%と増産が続く見込みであり、生産の基調は上向くことになる。生産活動全体の方向感を決める輸送機械工業は4月(実績)に前月比+0.3%となった後、5月(計画)は同+7.5%と強い。6月は同▲1.6%の減産計画であるが、均してみれば安心感がある。供給制約に直面する化学工業、石油製品工業は代替輸入の進展などから5~6月にかけて底入れを見込んでいる。

  • なお、鉱工業生産指数は生産の「数量」に重きを置いて生産高を計測する統計であり、「付加価値」を直接捕捉する性格のものではない。例えば、高付加価値を狙った品質向上によって生産数量・重量が減少する場合、統計上はそれを減産と見做し、付加価値を過小評価してしまうこともある。したがって、鉱工業生産統計が示すほど日本経済(製造業)の付加価値創出力が停滞していない可能性を念頭に置く必要がある。事実、過去数年は付加価値の合計である実質GDPと鉱工業生産指数の水準・方向感の乖離が大きくなっている。

  • 株式市場における重要度が高い電子部品・デバイス工業については、前月比+1.6%の増産であった。ICの増産に一服感がみられる一方、コンデンサや電子回路基板などで増産の動きがみられる。この間、生産用機械工業に分類される半導体製造装置は3月に前月比+12.3%と強さをみせた後、4月も同+12.3%と強く伸び、3ヶ月平均値でも同+3.4%とプラス基調に回帰した。生産予測調査に目を向けると、半導体製造装置が含まれる生産用機械工業は5月に同+16.0%と大きく伸びた後、6月は同▲3.6%と反動減が見込まれているが、均してみれば強い。個別企業の業績予想などから判断しても、先行きは半導体製造装置の増産が期待できる。

図表
図表

図表
図表

図表
図表

  • 電子部品・デバイス工業の動向を仔細にみると、4月は出荷が前年比+5.0%と伸びる一方、在庫は同▲4.1%へと減少したことから出荷・在庫バランス(両者の前年比差分から算出)は+9.0ptへと拡大し、3ヶ月平均では+6.7ptとプラス幅を維持しており製品需給の安定化が示唆されている。

  • ここで電子部品・デバイス工業の出荷・在庫バランスと、日経平均株価が長期的に連動性を有してきた事実を再確認したい。株価指数において半導体を直接手掛ける企業の存在感は必ずしも大きくはないものの、半導体製造装置、電子部品、化学品など「広義半導体」で見ればその存在感は大きく、結果的に日本株全体のうねりを作り出す構図があると筆者は理解している。直近の株式市場では通信系の投資会社、半導体製造装置、非鉄金属、化学などに物色の対象が向かっているため、株価指数と電子部品・デバイス工業の出荷在庫バランスとのかい離が大きくなっているが、方向感は一致している。

図表
図表

図表
図表

図表
図表

  • 最後に先行きの出荷・在庫バランスを見極めるために在庫循環図の位置取りを確認すると、直近12ヶ月は、中心点付近で渦を描いてきたが、最近は右方向への動きが明確化している。過去の経験則に従えば、今後は右上領域(在庫増・出荷増)に向けて力強く歩み出すと予想される。

図表
図表

藤代 宏一


本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一ライフ資産運用経済研究所が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命保険ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。